2021年7月28日水曜日

柔道は意外とフランスに浸透しているスポーツ フランス人 女子柔道家 クラリス・アグベニェヌ金メダル <フランスの柔道>

  



 現在、開催中の東京オリンピックは、フランスでもライブ中継されていて、国営放送局のどこかで必ず、放送されていますが、当然のことながら、フランスでライブ中継されている競技は、フランス人が出場している種目が中心で、あまり日本人選手の活躍をオンタイムで追うことはできません。

 フランスからは、今回のオリンピックには、378人の選手が出場していますが、オリンピック競技には、33競技もあるうち、各国から全競技に出場するわけでもなく、こうやって海外でオリンピックをあらためて見ていると、国ごとのオリンピックの得意?競技というのは、なかなか違うものだなぁと思って見ています。

 昨日、放送されていたフェンシングや馬術などは、日本ではあまりポピュラーとは言い難いスポーツですが、フランスでは、きっと日本よりは、一般の人でも触れる機会のあるスポーツでもあります。

 東京オリンピックからスポーツクライミングとして新たに競技種目に加わったボルダリングなどもフランスでは、かなり一般的なスポーツで、多くの学校にボルダリングの施設?が備え付けられています。

 現に、娘が小学校に通っていた頃は、学校で乗馬の合宿のようなものがあったし、希望者には、フェンシングなども学校で習う機会もありました。

 逆にフランス(ヨーロッパは概して同じだと思いますが・・)では、野球はマイナーな存在だし、バレーボールをやっているとか、熱狂的に観戦するという話もあまり聞きませんし、フランスの学校には、日本の学校のようにどの学校にもプールがあるわけではありません(むしろ、学校にはプールがないのが普通)。

 ところが、意外なことに柔道というのは、フランスではかなり全国的に浸透しているスポーツで、小学生がお稽古事?にしているスポーツは、女の子は圧倒的にバレエですが、男の子は、サッカーか柔道が一般的なのです。

 実のところ、ご本家の日本よりもフランスの方が柔道人口は、圧倒的に多いのです。

 1933年にフランスに柔道が紹介されて以来、1946年にフランス柔道連盟が設立し、それほど歴史が長いわけでもないのに、柔道がフランスにこれほど浸透していることは、不思議なことでもあります。

 オリンピックの柔道では、見ることはできませんが、フランスの柔道は、帯の色も段階が細かく分かれていて、黄色、オレンジ、グリーン、ブルー、茶色などの日本にはない色も存在します。

 フランス語でも柔道はJUDOですが、競技としての柔道だけでなく、フランス語では、柔道の選手のことを柔道家(JUDOーKA)と呼ぶのも、フランスでの柔道の浸透具合がうかがえます。

 昨日、フランス人の柔道家クラリス・アグべニェヌが63キロ級で金メダルを取ったことは、もうその日の1日だけでも何度、彼女の映像がテレビで流れたか、数え切れないほどです。

 彼女は今回、フランスから東京オリンピックに派遣された選手の中でも、最も期待されていた選手だっただけに、開会式のフランス国旗の旗手にも選ばれていました。

 これまでに(7月27日現在)フランスが取ったメダル7つのうち、4つが柔道であることも恐らく日本が持つフランスのイメージとはかけ離れたものであると思われますが、フランスでの柔道人口の裾野の広さを考えれば、不思議なことではないのです。

 フランス人には、日本の伝統的な文化に対して、畏敬の念を持っている部分があり、○○道、と道のつくスポーツには、少し格別な印象があるようですが、今や柔道はJUDOで、その語源などは、あまり知らない人の方が多いと思います。

 しかし、その礼儀正しさや、いざとなれば護身にもなり、身体や精神を鍛えることができ、何よりもあまりお金がかからないところもフランスで身近な存在へと普及していった理由かもしれません。

 これまでも、全日本の柔道の選手なども、振興試合のためか、かなり頻繁にパリにいらしているのを見かけることも多かったです。

 日本の伝統的なスポーツがこれほど海外で広まり、小さい子供にまで浸透することは、なかなかないことかもしれませんが、柔道は、かなりフランスではメジャーな存在なのです。


フランス柔道


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