2021年7月25日日曜日

通常の日常に戻れるのは2022年〜2023年 8月初旬には1日の感染者が5万人を超える恐れ


フランス国旗を掲げて、ヘルスパスの反対を訴える人々 マスク率もかなり低い


 フランスの科学評議会(le conseil scientifique)(フランスのコロナウィルスのパンデミック対応のための公共の意思決定に必要な情報を提供する責任を負う独立した諮問機関)の議長であるジャンフランソワ・デルフライシー は、第4波に突入したフランスの1日の新規感染者数は8月初旬には、5万人を超える可能性があることを発表しました。

 そして、さらには、冬には新しい変異種が登場し、2022年〜2023年より前には、通常の日常生活に戻ることはないと語りました。まったくもって、まだまだ感染がおさまりそうもないガッカリする話です。

 このウィルスの特徴は、並外れた突然変異力を持っていることで、さらに強力な威力を持つ変異種が誕生する危険があると指摘しています。

 現にすでにいくつもの変異を繰り返し、現在、世界中のウィルスがデルタ変異種に置き換わり始めてからというもの、フランスも毎週、感染者が倍々に増え続け、ここ1ヶ月で約10倍に急増しています。1ヶ月で10倍って、凄くないですか?

 フランスの現在のワクチン接種率は、58.27%(2回の接種済は、48.26%)で、ワクチン接種も進み始めているにもかかわらず、これだけ感染が拡大してしまうのですから、その威力たるや恐ろしいものです。

 しかし、感染者の96%がワクチン未接種であることからも、ワクチン接種でかなりの感染を回避できるできることは、証明されているようなものです。

 にもかかわらず、週末のフランスは、先週よりもさらに大規模な、全国で16万1千人の人出の「ヘルスパス反対」のデモが起こり、特にパリやマルセイユなどでは、デモが暴徒化し、催涙ガスや放水車まで出動する大騒ぎになりました。


 正直、バカンス中にこれだけの規模のデモというのもなかなか珍しいことですが、今回のデモに参加した人々は、フランス国旗を掲げ、一見、ぱっと見には、オリンピックの応援??と勘違いしそうになるような光景でもあります。

 今回のパリでのデモでは、バスティーユからシャンゼリゼにかけてがルートに選ばれたため、先日のパリ祭ではこの上なく美しいパレードで彩られたシャンゼリゼは、催涙ガスや放水車で煙がモクモクと立ち上がり、終いには、水浸しになり、警察とデモ隊の攻防戦になりました。

 何も知らずにシャンゼリゼに立ち寄った観光客などにも、容赦なく放水車が水で追い立てる結果となってしまいました。


 このヘルスパスの件だけでなく、フランスでは、土曜日にデモが起こる可能性が非常に高いため、パリ(フランス)を観光する際には、土曜日が日程に含まれている場合は、予めデモが起こる予定があるかどうかをチェックして出かけることが必要です。

 このデモは、単にアンチワクチン派だけではなく、かなり強行なほぼワクチン接種に追い込むような形の政府のやり方に反対している人々も多く、現実的に9月からはワクチン接種が義務化される医療関係従事者の人々=ワクチンをしなければ仕事が続けられない人々なども含まれています。

 ですから、このデモは、ヘルスパスに反対するデモでもあり、政府の強行的な政策に反対するデモ、デモクラシーを叫ぶデモでもあるのです。

 フランス国旗を掲げているのは、「フランスは民主国家であるべきだ!」との主張から、本来のあるべきフランスの姿?を訴えているという意味だと思います。

 フランス人のデモは、単に、ある物事に反対する側面と、フランスは、こうあるべきだ!とフランスを愛するがゆえに、これは個々が主張しなければならないと義務感、使命感にかられて行っている不思議な?側面もあります。

 しかし、どちらにせよ、今のパンデミックの状況で、端的にどうすればいいのかは、残念ながら、現在のところ、他に選択肢はありません。

 ワクチン接種を拡大し、ヘルスパスの制度が拡大することで、政府は100%ロックダウンは解除できると言っているのです。

 ワクチンは嫌!でも、ロックダウンは嫌、では、どうしたいのか?全く理解に苦しみます。

 科学評議会の議長は、それでもワクチン接種ができる国は、まだ救われる道がある。しかし、世界には、まだワクチン接種がほとんどできていない国もあり、それらの国では感染拡大が続き、そこで新しい変異種が誕生する危険も指摘しています。

 とりあえず、フランスでは、1ヶ月で感染が10倍にも広がっているウィルス対策に一刻も早く対策を取らなければならないのは必須です。

 ワクチンもロックダウンもイヤイヤと言っている人は、感染が悪化した場合は、病院に行かないつもりなのでしょうか? 権利ばかりを主張して、義務は果たさず、結局は国におんぶに抱っこになる、いつでも問題になる、ある一定の層の人々は、どんな時にも同じなのです。


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