2021年7月11日日曜日

「スペインとポルトガルには、行かないで下さい!」 今年の夏のフランス人のバカンス

   


 フランス人にとって、一年中で一番のイベント「夏のバカンス」に突入し、週末には、フランス全土で、1,000キロの交通渋滞が発生しました。

 今年の夏のバカンスは、一年半の間に3度のロックダウン、数々の制限された生活から、ようやく解放されたこともあって、一段と気合が入り、例年のバカンスよりもバカンスに当てる費用(予算)も平均20%増なのだそうです。

 フランス人の夏のバカンスといえば、短くても3週間、長い人なら1ヶ月間の長期のバカンスです。多くは、7月組と8月組に分かれています。学校に至っては、2ヶ月以上がお休みですから、子供たちも1ヶ月はコロニー(合宿のようなもの)に参加して、もう1ヶ月は、家族とバカンス・・と、1ヶ月単位の区切りです。

 しかし、まだまだ終息してはいないコロナウィルスの影響から、バカンスに出ると行っても、83%の人は、国内旅行なのだそうで、フランス政府にとっては、国内消費が増加する不幸中の幸いなのかもしれません。

 そんな中、フランス政府は、現在、デルタ変異種のために、急激に感染状況が悪化している「スペインとポルトガル」への旅行は、避けるように呼びかけています。

 フランスでも、デルタ変異種の拡大は毎週毎週、増え続け、現在は、50%以上がデルタ変異種に置き換わり、一時は1日の新規感染者が1,000人前後まで下がったにも関わらず、あっという間に現在は、4,000人を超えてしまっています。

 しかしながら、現在のところ、フランスでは、感染者は増加しているものの、集中治療室の患者数は減少を続け、さらなる深刻な状態には、至っていません。

 感染者は増えても重症化していないのは、何よりもワクチン接種の拡大の成果で、現在のフランスのワクチン接種率は52.75%、さらにデルタ変異種が拡大する前になんとかワクチン接種を拡大していくことに躍起になっています。

 ですから、1日の感染者数が2万人超えに跳ね上がってしまっているスペインなどに対しては、当然、警戒体制をとっているのです。比較的近いバカンス地として、スペインやポルトガル、イタリアなどはフランス人には人気の場所でもあり、すでに予約してしまっている人、これから予約しようとしている人も多く、SNCF(フランス国鉄)は、スペインやイタリア行きのチケットは、100%払い戻しをすることを発表しています。

 しかし、払い戻しをしてくれるのは、SNCFだけで、その他の航空券、ホテル等に関しては、予約時の契約次第ということになるわけで、フランス政府とて、はっきり禁止というわけにもいかず、「避けれるものなら、避けてください」という呼びかけに留まっています。

 また、ポルトガルは、感染悪化を受けて、リスボンやポルトを含む45の自治体で夜間外出禁止令を復活、ポルトガルにバカンスに出かけても、夜の外出はできない不完全燃焼のバカンスになりかねません。

 そして、地中海に浮かぶマルタ島(マルタ共和国)などは、非常に厳しい入国制限を敷くことになり、ワクチン接種証明書(しかも、2回目のワクチン接種から14日以上経過していなければならない)に加えて、マルタ行きの飛行機搭乗の際に検査の陰性証明を提出することが義務付けられています。

 人口50万人の地中海の小さな島であるマルタは、EU圏内で最もワクチン接種が進んだ国の一つであり、成人国民の79%が2回のワクチン接種が完了しています。にもかかわらず、感染者が再び増加して100人近くになり始め、しかも感染者の90%はワクチン未接種の人であったこともあって、現在のヨーロッパ全体のデルタ変異種の拡大を鑑みて、この措置を決定したと思われます。

 しかし、すでに近々のマルタ行きを予約していた観光客で、ワクチン接種が済んでいない人、または、済んでいても2回目のワクチン接種から14日間経過していない人は、入国できないわけで、この急なマルタの入国制限に憤っています。

 結局のところ、フランス国内でのバカンスが今のところは、一応、安泰なわけで、概ね83%のフランス人は、予定どおりに例年よりも2割り増しの贅沢なバカンスを楽しむことになると思います。

 しかし、フランス国内とて、第4波は7月末か8月初めか??などと言い始めていて、今まで、私たちは、第1波から第3波を経験してきて、今、第4波の前にいる・・などと、もう第4波ありきの感じになっています。

 下手をすると、8月には、国内でも、また再度、制限が加わって、「7月に行っときゃよかった・・」なんてことになるかもしれません。 

 日本人である私は、今はことあるごとに、もうすぐ始まる日本でのオリンピックに伴う入国制限のことを考えてしまうのですが、やっぱりオリンピックともなれば、世界中のオリンピック関係者が日本に入国するわけで、そりゃあもう、デルタ変異種はもとより、様々な変異種の巣窟になりかねないわけで、小さなマルタ島でさえ、観光客の受け入れに、2回のワクチン接種済み(しかもワクチン接種後14日以上経過要)+陰性証明書と制限しているのだから、オリンピック関係者にも同等の制限を敷いても良かったんじゃないかな?などと思ってしまいます。


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