2021年7月27日火曜日

ヘルスパス起用で映画館がガラガラになった・・

   


 7月21以降、フランスでは、50人以上を収容できる全ての文化施設、娯楽施設でヘルスパス(ワクチン接種2回接種証明書かPCR 検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が義務付けられています。

 これには、たとえ50人以上が入場していなくても、50人以上収容可能な映画館、劇場、コンサートホール、プール、スポーツジム、遊園地、展示会、見本市などが含まれています。

 フランス屈指の観光地であるルーブル美術館などでも、ヘルスパスのチェックが開始されています。

 ことさら、この中でもヘルスパスによる被害を被っているのが映画館で、このヘルスパス提示が義務付けられて以来、収益70%減という壊滅的な被害を被っています。

 不謹慎ではありますが、これを聞いて、今なら映画館はガラガラ・・ワクチン接種が済んでいる私は普段は映画館にはほとんど行かないくせに、「たまには、映画でも見に行こうかな?」と思ったほどです。

 しかし、この状況にフランス人が黙っているわけはありません。FNEF(Fédération National des éditeurs de Films)(フランス映画連盟)は、フランス政府に対し「映画館のための大規模な緊急援助」と、「部分的な活動メカニズムを含む援助」を求める声明を発表しています。

 とはいえ、美術館、プール、遊園地など、他にも同じ制限を課せられているのに、映画館ばかりがこれほどの壊滅的な被害を被るには、他にも理由があるに違いありません。

 現在は、バカンスシーズン中、観光先でわざわざどこでも見ることができる映画は、ワクチン未接種の人がわざわざPCR検査を受けてまで見にいく対象に選ばれていないということです。

 それでも、このヘルスパスによって、他の美術館やプール、遊園地などに行くことを断念している人もいるでしょうが、気候の良いシーズンに開放的に楽しむことができるプールや遊園地、ここでしか見ることができない美術館のためなら、検査を受けてでも、行きたいと思う人は多いのではないでしょうか?

 映画ならば、今は、ネットフリックスでもアマゾンプライムでも色々と映画を見る手段は手元にすぐにあるのです。

 ヘルスパスの発表があって、慌ててワクチン接種を受けた人も、2回の接種が終わり、さらに一週間の期間が必要となれば、まだまだ多くの施設でヘルスパスとしてワクチン接種証明書を使用することはできません。

 今後、ワクチン接種がさらに拡大されていけば、気軽に映画を見に行ける人も映画館に戻っては来るとは思いますが、現在の映画業界の別の問題も浮き彫りにしています。

 8月初旬からは、カフェ、レストラン、バーなどの恐らくもっともっと大勢の利用者がいるであろう場所でのヘルスパスの起用が控えています。

 ヘルスパスの起用に関しては、議会でも喧々轟々、議論されていましたが、カフェ・レストラン・バーに関しては、テラス席も含めて、ヘルスパスの提示がない限り、利用できないことになっています。

 これは、映画館以上に利用者が多く、日常的なことでもあるため、これで利用客が減り、減益になることが問題になるより先に、利用者の方が騒ぎ出す=ヘルスパス反対デモが拡大する懸念があります。

 バカンスシーズンでのこの規制は、キャンプや別荘滞在ならば、いざ知らず、ホテルに滞在する予定の人がヘルスパスなしには外食ができないとなれば、大変、不便なことです。

 ヘルスパスについての発表があったのは、7月12日ですから、その発表後、慌ててワクチン接種に走ったとしても、8月のバカンスには、ギリギリ間に合うかどうかのタイミングです。

 ましてや、頑としてワクチン接種に反対している人も一定数いる限り、8月1日以降のヘルスパス反対のデモは、さらに激化することが予想されます。

 しかし、フランスの感染状況は、悪化の一途を辿り続けています。地域別の感染状況を見ると、見事に人々がバカンスに出かけている地域に色濃く表れ始めています。

 つまり、ワクチン接種の拡大、ヘルスパスの起用は予断を許さない状況でもあるのです。

 バカンスシーズンだから、デモも起こりにくかったとも思われていたヘルスパスの起用は、バカンスだからこそ怒りを買うかもしれなかった一面が、これからさらに表れてくるかもしれません。


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