2021年7月26日月曜日

「生きながら死んでいる」と言っていたフランスの若者を思う ワクチンで自由を勝ち取れ!

 

   東京五輪開会式の翌日、タヒチの病院を訪問してワクチン接種を呼びかけるマクロン大統領


 東京オリンピック開会式に出席するために来日していたマクロン大統領は、オリンピックに参加しているフランス選手に会ったり、菅総理との日仏首脳会談の他、マンガ作家を訪問し、フランスのカルチャーパスに見られる日本の文化とフランスの結びつきを語ったり、日本のビジネスリーダーに会ってフランスをアピールしたり、ほんの1日のスケジュールを精力的に動き回り、翌日には、ポリネシアに向けて旅立ちました。

 タヒチの病院を訪問したマクロン大統領は、「科学はウィルスに対抗する武器を与えてくれています!ワクチン接種を受けてください!」と訴えていました。

 フランス本土では、バカンスシーズンというのに、「ヘルスパス」反対の大きなデモが起こっていますが、マクロン大統領の叫びは、フランス本土にも届くでしょうか?

 ワクチン接種は、高齢者を優先に開始されたこともあり、若年層へのワクチン接種率が遅れている側面もありますが、感染しても重症化しにくいことや、ワクチン接種による後々の副作用がわかっていないことから、今は大丈夫でも、10年後にはこのワクチンによる影響が表れるかもしれない・・などの不安から、できれば先延ばしにしたいと思っている人も少なくありません。

 将来のある若者にとって、10年後のワクチンの副作用を不安に思う気持ちもわからないではありません。しかし、同時に、いつまでもワクチンをせずに、ウィルスの蔓延を止めないことが、いつまでも制限された生活を続けることであることも忘れてはなりません。

 これは、パンデミックですから、多かれ少なかれ、どの国のどんな世代の人も、やりたいことができない大切な時間も機会も奪われてきました。80歳の一年間も10代、20代の一年間も全然、意味合いは違うけれど、どちらも大切な時間です。

 ことに将来を大きく作用する大切な経験を積み重ねていく年齢である若者にとっては、パンデミックは、その年齢にしかできないことが、制限されてしまう、大変、残念な出来事でした。現に我が家の娘も、長年計画していた、この年齢にしかできなかった日本への留学を断念せざるを得なくなりました。

 私は、以前、学生を大学や学校から締め出すコロナウィルス対応に抗議する内容の手紙をマクロン大統領宛に送った学生の手紙を思い出しています。

「私は生きながら、死んでいるような気がする」「希望がない、自分の人生がないような気がする」と彼女は手紙で訴えていました。

 あの時は、マクロン大統領は、「19歳という年齢にこのパンデミックを迎え、どれだけの困難に直面しているか、多くのものを奪ってしまっているかを深く考え、理解しています。それでも、率直に言って、私たちはまだまだ頑張らなくてはなりません。もう一度、努力することをお願いします」と返事を送っていました。

 そして、現在は、ワクチン接種をすれば、かなりの自由が許されるようになりました。そして、今は、望めば、ワクチン接種は誰にでも受けられるものになっているのです。

 現在、フランスで大きなデモを呼び起こしている「ヘルスパス(ほとんどワクチンパスのような存在)」は、今後、まだまだ当分の間は、世界中でワクチン接種なしには、身動きができなくなる状態が続くでしょう。

 「自由」を叫んで、デモをする人々は、結果的に自分から、「自由」を放棄していることになります。

 私は、若者には、10年後の副作用の心配よりも、ワクチンをせずに失われ続ける時間を考えて欲しいと思っています。

 「ワクチンをしない自由」もたしかに、自由な選択肢の一つであるかもしれませんが、現状の世界中のウィルスとの戦いを見るにつけ、その自由は、誰かの命を危険に晒すものでもあります。

 周囲の人を尊重することができない自由は、身勝手なエゴです。現在のウィルスの拡大の勢いは、ワクチンでしか止めることはできません。

 ワクチン接種を受けることで「自由」を手に入れると考えることはできないでしょうか?

 マクロン大統領に手紙を送ったあの学生は、ワクチン接種を受けたのだろうか? 彼女がワクチン接種を済ませ、今は真に生きていると感じられる生活を送ってくれているといいなと思います。

 マクロン大統領がタヒチの人々に訴えていたように、科学はウィルスに対抗する武器を与えてくれたのです。



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