2020年9月23日水曜日

最近のパリのメトロ

 


 コロナウィルスの感染拡大が始まって以来、パリのメトロ、バスには、できるだけ乗らないようになりました。ロックダウンが解除になって以降ですから、5月からの夏にかけての気候の良い時期でもあり、それなら、それで、なんとかなるもので、できる限り、移動は、自転車か徒歩で、かなりの長距離でも移動するようになり、いたって健康的な生活になりました。

 それでも、どうしても自転車や徒歩では厳しい時には、メトロに乗るのですが、今日、久しぶりにメトロに乗って、ロックダウン解除当時の緊張感がなくなっていることに気付いて、びっくりしたのです。

 ロックダウンが解除になって、初めてメトロに乗った時は、私自身もドキドキで、駅やメトロの中に貼られた物々しい色のテープや人と人との間隔を取るための床や座席に貼られたステッカーなどを見つめながら、恐る恐るメトロに乗ったのを思い出します。

 スリやひったくりなど、日常も決して治安が良いとは言えないパリのメトロは、いつでも気を抜けない乗り物ではありますが、特別な緊張感が加わった気持ちでした。

 しかし、今日、久しぶりにメトロに乗ったら、また、別の意味で、びっくり!車内に乗り込んだ時に、やけにみんなが座っているな〜と思ったのですが、気がつけば、一人おきに座るように座席に貼られていたステッカーがなくなっており、なかなかの人混み状態です。

 緊張感というものは、そうそう長く続くものではありませんが、だからこその注意喚起。たとえ、守らずに間隔をおかずに座席に座る人がいたとしても、それなりに注意喚起には、なっていたのだ・・と、改めて思いました。

 路線によっては、座席のステッカーは貼られたままのようですが、この感染拡大が急上昇しているフランスで、ステッカーを外してしまう路線のあるRATP(パリ交通公団)の緩み方。これがフランス全体の傾向なのでしょう。

 おまけにパリのメトロにトラブルはつきものです。今日も駅で車内が真っ暗のまま止まっているメトロに乗るべきか否か少々、迷いながらも、ここで足止めを食いたくない・・いつ、いきなり発車するかもわからない・・とりあえず、車内に乗って待とう・・と乗り込むと、乗客は、慣れたもので、皆、平然と車内で待っています。

 ようやく動き出したメトロは、途中、何回も駅と駅の間で止まったり、車内が真っ暗になったりを繰り返して、なんとか無事に目的地に到着しました。こんなことは、いつものことなので、パリのメトロとしたら、普通のことなのですが、コロナウィルスの蔓延している中、車内に長時間、閉じ込められたら・・と思うとやはり恐怖です。

 いくら自転車を利用する人が増えたとはいい、極端にメトロの利用客が減ったわけでもありません。ソーシャルディスタンスのためのメトロの増便は追いつかないのかもしれません。

 かと言って、自転車にも危険がないわけではなく、ひとたび自転車で出かければ、今度は、自転車の盗難の心配があります。なんと、フランスでの年間の自転車の盗難は、40万件と言います。盗まれたら最後、まず見つかることはありません。

 だいたい、フランスで盗難事件が起こって、警察に駆け込んだとしても、よほどの凶悪事件でない限り、警察は被害届を受け付けるだけで、犯人を探すことはありません。

 そんな中、先日、うちの娘がメトロで奇跡的な体験をしました。

 駅で、お財布を落として、後ろから歩いてきた人が、「落としましたよ・・」と、お財布を拾って、渡してくれたのだそうです。スリやひったくりの横行するパリのメトロで、落としたお財布を「落としましたよ・・」と渡してくれる・・こんな人もいるんだ・・こんなこともあるんだ・・と、一生分の運を使い果たしたかのごとく驚いて帰って来ました。

 スリにあってもビックリしますが、拾ってもらうともっとビックリすること自体に、いささか、苦笑してしまいますが、それが現実。とにかくも、盗難、コロナ・・と危険ばかりのメトロにも、こんな奇跡的なこともあるんだと、住みづらいパリでのわずかにほっこりとした出来事でした。


<関連>

「ロックダウン以来3ヶ月ぶりのパリのメトロ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_85.html

「パリで時々、目にする光景」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post.html

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