フランスのコロナウィルスの感染拡大により69の地域が警戒地域に指定され、13ヶ所のパリ、ボルドー、リヨン、ニースなどの地域が特別警戒地域に指定され、さらにマルセイユ、グアドループが最大特別警戒地域に指定されてから、一週間も経たないうちに、パリ(イル・ド・フランス)の感染状況に赤信号が灯り始めました。
先週末から最大特別警戒地域に指定されたマルセイユでは、レストランの営業が禁止になり、パリでも22時以降の営業が禁止になりました。
政府からのお達しにも関わらず、大人しく従う人ばかりではないのがフランスです。それでも強引に営業を続けるレストランの様子が報道されていました。
先週の段階では、フランス本土内では、最悪の感染状況だったマルセイユですが、今週に入って、パリ(イル・ド・フランス)の感染状況がマルセイユを上回っています。
感染発生率(10万人あたりの感染者数)がパリを含むイル・ド・フランス地域で、レッドゾーンのライン250例を超え、259.6例に突入しました。これは、警戒基準の5倍、フランスの全国平均の2.5倍の数字です。病院でも、この地域だけで、現在、2000人以上(2064人)がコロナウィルスのために入院しており、集中治療室でのコロナウィルスの患者の割合が32.1%を超え、増加が止まりません。
先週、政府が出した指標により、レストランの全時間帯営業停止に追い込まれたマルセイユの例に習うならば、パリのレストランもいつ営業停止になってもおかしくない状況です。
現在のところは、パリでは22時までの営業は認められていますが、22時閉店でさえも、受け入れられないと、一部のレストランのオーナーが集まって、お鍋を叩きながら、営業時間制限反対を訴えるデモが起こっています。
感染状況から見ても、営業停止になっても不思議はない状態で、22時閉店に抗議するデモ。どうにも危機意識にズレがあるように思えてなりません。
AP-HP(パリの病院の統括部門)は、先週末から、通常の病院操作プログラムを解除し、コロナウィルス患者増加への対応との調整に取り掛かり始めました。ロックダウン時にはなかった交通事故や他の病気の患者に加えて、これからインフルエンザの季節が到来すれば、コロナウィルスの患者と相まって、再び、一気に医療崩壊が起こってしまうことも大いにあり得ることなのです。
現在のところ、フランスでのクラスターの発生している場所の一位は会社、次いで学校とされていますが、それは、レストランやバーでの感染者の追跡ができていないからです。
コロナウィルスとの共存していくには、徹底的に検査を続けることと、感染源を追跡して、感染の拡大を防ぐしかありません。ロックダウン後には、治まりかけた感染が再びこのように悪化してしまったのは、この検査の徹底と感染者の追跡、隔離ができていないからです。
感染が増えたからといって営業停止やロックダウンを繰り返すのは、愚かです。
今ほどの感染状況になってしまえば、一時的にでも、感染を抑えるために、営業時間の制限や停止もやむを得ないかもしれませんが、本来ならば、感染の危険が考えられ、しかもマスクという武器が使えないレストランやバーの営業にあたっては、感染者の追跡が可能になるようにレストランを利用するお客さんに対して、利用した時間帯とともに連絡先を控える等の対策がなされるべきなのではないかと思います。
それができれば、実際にどの程度、飲食店で感染が起こっているのかも測定することができるし、感染者を追跡できれば、むやみやたらに営業を停止する必要もありません。
ただ、ソーシャルディスタンスを取れとか、マスクをしろとか、手を洗えとか、それだけをがなりたてても、フランスでのコロナ感染は止まりません。
3月〜4月のような医療崩壊が起こるようなギリギリの状態にならなければ、フランスはロックダウンをすることはないように思います。ならば、感染者を徹底的に追跡できるシステムを作っていかなければなりません。せっかくお金をかけて作ったコロナウィルス感染者追跡アプリ「STOP COVID」もほとんど活用されていません。
先日、テレビ番組でジャーナリストに「STOP COVID」のアプリをダウンロードしていますか?と聞かれたカステックス首相が、「していない・・」と答えて、皆、唖然となりました。
感染者を追跡し、隔離するように厳しく警戒しなければ、フランス人はおとなしく自粛などしていません。
フランスには、日本のように、自粛警察なる人々はいないのです。
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「フランスの感染拡大対策 69の地域を警戒地域に指定 マルセイユはレストラン・バー営業停止へ」https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/69.html
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