2020年9月27日日曜日

ジャック・シラク元大統領の一周忌


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 私がフランスに来た頃のフランスの大統領は、シラク大統領でした。まだ、フランスという国をよく知らなかった私にも、シラク大統領のカリスマ的な存在は、とても頼もしく、また長身で、スマートでどこかエレガントな姿も、フランスの大統領として、どこか誇らしく、たまに目にする彼の演説を大統領というものは、さすがに話も上手で説得力のあるものだなぁと感心しながら聴いていました。

 彼は、フランス国民に絶大な人気の大統領で、官僚出身のエリートでありながら、気取らず、庶民的な一面も見せつつも、威厳と気品の感じられる圧倒的なオーラがある人でした。

 一般庶民に嫌われている現在のマクロン大統領と違って、下層階級の人にも、とても人気のある大統領でした。シラク大統領からサルコジ大統領へと変わった時に、会社のお掃除のおばちゃんまでが、シラクとサルコジの大統領としての格の違いをとうとうと語り、夫人も含めてべた褒めしていたのをなるほどという気持ちで聞いていました。

 その上、シラク大統領は、大変な親日家でもあり、相撲が好きで、自分の愛犬に「スモウ」という名前をつけているとか、熱燗と天ぷらが好きだとか、ついには、京都に愛人がいるなどという噂まで聞いて(あくまで噂で、本当かどうかは知りませんが・・)、親日家の大統領の国にいて、どこか日本人の私としても、居心地が良いような気分でもありました。

 一年前にシラク大統領が亡くなった日は、追悼の意を表して、夜のエッフェル塔も消灯し、それから数日間、エリゼ宮には、お別れの記帳に訪れる国民の長蛇の列が続きました。これが一年後の今であったならば、あれほどの人出ができたでしょうか?(いや、きっと、フランス人には、コロナは関係なしに、やっぱり凄い人出になっただろうな・・)

 シラク大統領の葬儀には、フランス国民だけでなく、海外からも多くの要人が出席しましたが、それも今年だったら、無理だったかも・・スター性のある人というのは、亡くなるタイミングまで、図られているようだと思ってしまいます。

 モンバルナス墓地の彼のお墓には、今でも多くの人が訪れており、一周忌の昨日には、彼の肖像画が刻印されたジャック・シラク記念切手が50万部限定で発売になり、今度は、郵便局に行列ができています。

 愛国心旺盛なフランス人に人気のあった大統領のパワーは、その死後も光を放ち続けています。コロナやテロに脅かされている現在のフランスにシラクのような圧倒的なパワーを持つ存在がいてくれたらなぁと、切手を見ながら、ぼんやりと思うのです。

 日本では、中曽根元首相の葬儀に1億円近くの予算が計上されていることが炎上しているようですが、どれだけの国民が支持するのか、記念切手でも発売してみたらどいかがでしょうか?


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「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

 

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