一昨日のフランスの新規感染者数は、9843人と限りなく1万人に近づき、当日夜には、マクロン大統領は、「感染拡大回避の対策案を翌日、発表します。くれぐれもパニックは起こさないでください」とだけ声明を出していました。
まさか、再びロックダウンということはないにせよ、何らかの措置が発表されるものと私も注目していました。ところが、感染拡大回避の対策発表は、大統領からではなく、カステックス首相からのもので、しかも、思ったほどのインパクトのあるものではありませんでした。
内容は、
●パリ・イル・ド・フランスを始めとする42の地域がレッドゾーンに指定されたこと
●逼迫してきた検査体制に関して、症状が出ている人、感染者と接触が認められた人、症状が悪化するリスクが高いと考えられる人、医療従事者を優先して、時間帯によって予約制をとり、感染追跡のための人員2000人を新たに追加すること
●検査の結果、陽性と診断された人、感染者と接触した可能性のある人の隔離期間をこれまでの14日間から7日間に短縮すること
●今後も引き続き、マスク着用義務、ソーシャルディスタンス、手洗い等を守ること
という、何とも拍子抜けな内容でした。
現在のフランスは、感染者が増加しているのは、決して無症状の感染者ばかりではなく、入院が必要な患者、さらには、重症患者も着々と増加しており、ICUの患者は、ここ一週間で150人以上増加しており、地域によっては、ICUの空きがほとんどなくなっているところもあり、とても深刻な状況です。
実際に、家にいても、救急車のサイレンの音が再び、頻繁に聞こえてくるようになり、現在は、ロックダウン中とは違って、交通事故等も考えられるわけですが、それにしてもなかなか騒々しく、夕方には、何やら、ヘリコプターまで飛び出したので、何か起こったのではと慌ててテレビをつけたくらいです。
実際に、コロナ以前の救急車のサイレンがどの程度だったか思い出せないのですが、救急車がかなり忙しく稼働しているらしいことは、家の中からでも感じることができます。
そんな中、カステックス首相の発表に比べて、よっぽどインパクトがあったのは、夏のバカンス中は、中断していた黄色いベスト運動が活動復帰を宣言したことです。12日(土)から、各地でデモが再開されます。
パリでデモが予定されているのは、黄色いベスト運動だけではなく、VTC運転手によるデモ、青少年の非行に関するデモ、人種差別に関するデモ、クルド人に関するデモなど少なくとも5つのデモが予定されています。
パリ警視庁は、すぐにシャンゼリゼ、ポルトマイヨ、コンコルド広場、サンラザール駅、大統領府、内務省、国民議会、オテルマティニョン、ノートルダム人、パリ警視庁、トロカデロ広場、シャンドマルスなどでのデモを禁止する旨、発表しました。
デモに乗じて暴徒化して、店舗等を破壊する人が現れるため、前日の夜からシャンゼリゼの多くのお店は、シャッターを降ろして、バリケードを張る警戒体制を取っています。経済復興のために、感染拡大の危険を侵して営業している店舗もせっかくの土曜日が再び台無しになります。
まったく、1万人近い感染者が毎日出ている国で、デモをやろうとしている人がいることは、ほんとうに理解に苦しみます・・というか、はっきり言って、やっぱりこの人たちは、バカなんじゃないかと再び、呆れています。
ヨーロッパの中でも特に感染拡大が広がっているフランス(とスペイン)です。
今、自粛した生活を送らなければ、いつまでも延々とこの生活が続くのです。もう既にみんなバカンスで発散してきたのではないのですか? 本当に、いい加減にしてほしいです。
これから、秋が深まり、気温も下がり、インフルエンザなどの流行も始まれば、プラスに働く材料は少ないのです。
フランス政府は、コロナウィルスの対応だけでなく、デモ対応に追われています。
主にシャンゼリゼ、バスティーユ、シャンドマルスを囲んだ広範囲に渡り、デモが禁止されていますが、必ずしもそれをおとなしく守るような人たちではありません。
コロナウィルスと闘い、デモと闘い、同時にいくつもの相手と闘うフランス。
ひとまず、コロナウィルスという全世界共通の敵と闘っている間は、他は勘弁してもらいたいです。
<関連>
「フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスはデモの国」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_12.html
「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_17.html
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