消えた生ハムの塊 |
冷蔵庫・冷凍庫というのは、厄介なもので、中のものが減ってくると、補充しなければと思うし、満杯になっていれば、なんとか、消費していかなければと食材に追い立てられるような気持ちになります。
我が家の冷蔵庫は、きれいに整頓されてはおらず、そもそも冷蔵庫には、調味料に近い瓶詰めの調味料やお味噌、ピクルスやお漬物、佃煮等、また、冷凍庫にも日本から持ってきている大切な日本食の一部など(明太子や塩辛、しらす、うなぎなどなど)の長期保存の食料がかなりの割合を占めていて、まずまず大きな冷蔵庫でありながら、少し買い物をすれば、あっという間に満杯状態になってしまうのです。
特に肉類などは、まとめて買って、小分けにして冷凍したり、作り置きしたお料理を冷凍してあったり、おまけに、たまにPICARD(ピカール・冷凍食品店)に行ったりすれば、場所を取ることはわかっていても、ついつい買ってしまうと、かなり、満杯状態であることが多いのです。
約2年間、時々、バカンスの時期には、帰ってくることはあっても、しばらく家を出て、一人暮らしをしていた娘が帰ってきて、しかも、リモートワークで一日中、家にいて、我が家の食料のサイクルが大幅に崩れ、なんだか、冷蔵庫の中身を満たしたり、減らしたりするペースがせわしなくなって、日頃から乱雑な我が家の冷蔵庫は、ここのところますます酷いことになっていました。
そんな言い訳をしつつ、我が家の冷蔵庫の中は、とても人様には、お見せできるような状態ではなく、しかも、夏の終わりに、ベランダで育てていたきゅうりも、もうそろそろ終わりに近づいて、去りゆく夏の日本のきゅうりを惜しむ気持ちから、パンとビールと昆布を使ってぬか床などまで作ったことから、ますます冷蔵庫は、混雑状態なのです。
現地の食材をできる限り使いつつも、和食に偏りがちな我が家の食卓ですが、フランスのものが、全く嫌いなわけでもなく、ここのところ、しばらく食べていなかった18ヶ月のコンテ(チーズ)やカマンベール、ミモレット、サラミなどを買ったりしていました。
そんな、俄かに起こっている我が家のフランス食品フェアの中でのハイライトは生ハムの塊でした。
いつもは、生ハムは、薄切りになっているものを買うのですが、大きな生ハムの原木に憧れがあったものの、さすがにまるまる原木を買うのは少々ためらわれ、単行本ほどの塊を買ってきたのです。
少しずつ自分で削るように切って食べる生ハムは、赤ワインにもよく合い、切りたてのものを食べられるので、風味もよく、しかも、薄切りのものを買うより、結局は割安なのではないか?と大変、満足していました。
毎日、食べたくなる気持ちを抑えつつ、(ということは毎日、飲むことになるので・・)今日は、もう夜は、お料理したくないから、冷凍のピザでも焼いて、あとは、生ハムとサラダ、あとは、ミモレットがあったね・・と言いながら、ごちゃごちゃの冷蔵庫の中、生ハムの発掘作業に取りかかったのです。
切りかけの少し小さくなった生ハムの塊は、ラップに包んで、ジップロックに入れて、冷蔵庫に入れておいたのです。ところが、どこに埋まってしまったのか? いくら探しても見つかりません。とにかく、満杯の冷蔵庫、もしかして、場所がなくて、野菜室に入れてしまった? と野菜室まで探しました。(だいたい、自分の記憶にも自信がない)
まさか??と思って、娘に問いただしたところ、あの生ハムの塊は、いつの間にか全部、彼女が食べてしまったとのこと!「えっ??全部??」「ソースィソン(サラミ)もあったよね! あれも?全部、食べちゃったの??」
楽しみにワインを用意していた私は、呆然・・娘は、少々、ばつが悪そうにしていましたが、あの塊をいつの間にか(といっても一週間もたってない)食べてしまった娘のガッつきぶりに、ちょっとヤバい主人のDNAを感じるわ、私自身、楽しみにしていた生ハムが消えていたことにあまりにガッカリして、動揺する自分の気持ちの持っていきように困った夜でした。
常日頃は、フランス料理嫌いで、フレンチと言えば嫌な顔をする娘ですが、美味しいフレンチ食材に、ひとたびスイッチが入った時には、一気に主人のDNAが活性化したような状態になることに、少々、恐怖を感じたのです。
小さい頃には、幼稚園で夜中に冷蔵庫を漁る主人のことを「家にはねずみが出るんです!」と先生に言いつけた娘です。
まさか彼女自身がねずみになるとは、DNAとは恐ろしいものです。しかし、考えてみれば、生ハム一つにこれだけ気持ちをかき回される私のガッつきぶりも相当なものなのです。
<関連>「パパのダイエット メガネをかけた大きなねずみ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_12.html
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