2021年12月4日土曜日

ストラスブールのクリスマスマーケットの超密状態と深刻な感染状況

  


 12月に入り、フランス各地でクリスマスマーケット(マルシェ・ド・ノエル)が開かれています。昨年は、クリスマスマーケットは各地で禁止され、飲食店も閉店されていて、シャンゼリゼでさえ、イルミネーションばかりが輝く、寂しいクリスマスでした。

 ストラスブールのクリスマスマーケットはフランスでも、最も有名で歴史があり(1570年頃〜と言われています)、華やかなクリスマスマーケットの一つとして知られています。

 ストラスブールのクリスマスマーケットは今年はすでに11月26日から始まっていますが、同地での感染がここ一週間で倍増していることから、医療関係者は非常に心配しており、クリスマスマーケットをこのまま継続するかどうかが問われています。

 ストラスブール大学病院(HUS)の医療委員会会長であるエマニュエル・アンドレス教授は、現在の地域の感染拡大にクリスマスマーケットの開催が影響しているとし、「政治家に責任を取るように求めている」と語っています。



 ストラスブールのクリスマスマーケットは市内にいくつもあり、クリスマスマーケットの数だけ密になる人混みがあちこちにできることになり、ほどほどに自制するということが苦手なフランス人のこのクリスマスマーケットを訪れている様子は、ちょっと写真で見るだけでもギョッとするほどの人出、ソーシャルディスタンスなど全く感じられず、食事以外の場面でもマスクをしていない人が目立ちます。

 多くの人のワクチン効果が薄れ始めている中、1日の新規感染者が5万人に到達しようとしている国で、怖がりの私としては、よくもこんな場所に足を踏み入れられるものだと、ちょっと理解はできません。

 この状況を受けて、ストラスブール市長と県知事はクリスマスマーケットに関するコントロールを強化する新しいルールを発表しています。

 具体的には、最も人出が見込まれる二箇所の広場の入り口にヘルスパスによるチェックを導入、そして飲食のできるブースでは特にヘルスパスチェックを強化、そして、クリスマスマーケットは毎晩20時に閉鎖。また、出店者の責任を重くし、仲介者や警察のパトロールも強化されます。

 具体的には、飲食を提供するエリアにはサインや照明付きのバルーンが設置され、食料品のケータリングはそのエリアに限定されています。 市警の2チームも援軍として配置され、ルールを想起させるための定期的なサウンドメッセージが流されます。

 ルールを守らない場合には、135ユーロの罰金を課し、規定を尊重していないと認められた店舗には、小屋を閉鎖するという制裁措置を取る可能性もあると市長は警告しています。

 


 クリスマス気分とはおよそ似つかわしくない警備の状態であり、また、銃まで持った警察が巡回しているということは、単に感染対策だけの警戒ではないと思われますが、いずれにせよ、現在のフランスの感染悪化の状況は、ストラスブールだけに始まったことではありません。

 しかし、このストラスブールのクリスマスマーケットを見るために、多くの地域から人が訪れ、1ヶ月で約200万人がストラスブールに訪れると言われています。

 しかも、この週末、ストラスブールのバス、トラムウェイなどの交通機関がストライキを予定しています。クリスマスマーケットに加え、交通機関が混乱すれば、さらに危険は拡大します。

 ここで、感染が拡大すれば、多くの人が地元に感染を持ち帰り、感染拡大は、さらに全国的に拡大することも考えられます。(すでに、全国的に拡大していますが・・)

 これだけの人が集まる経済効果はストラスブールにとっては大変、大きな位置を占めるもので、引くに引けない経済状況であることも無視することはできません。

 とはいえ、現地の医療従事者は、すでに、第一波の際の悪夢が蘇りつつあると悲鳴を上げています。ストラスブールの病院の医療委員会の会長であるエマニュエル・アンドレス氏は「感染対策以外にも問題があることは理解しています。経済的な問題もありますし、自由を求める市民の声もよく聞きます。しかし、彼らが奪う自由は、他人から奪う自由でもある。」と述べ、クリスマスマーケットに否定的な発言をしています。

 隣国のドイツ、バーデン・ヴュルテンベルク州では、すでに、クリスマスマーケットが中止されています。

 フランス人がノエルを大切にしているのはわかるのですが、ここのところの「日本の1日の新規感染者数」と「フランスでの1日のコロナウィルスによる死者数」がだいたい同じくらいな状況なのを見て、もう全く同じ土俵にはいないことをひしひしと感じているのです。


ストラスブール クリスマスマーケット マルシェドノエル


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