2021年12月18日土曜日

ヘルスパスがワクチンパスになる! 

  


 現在、1日の新規感染者数が平均5万人のフランスは、ノエルのバカンスに入る前に国防会議を開き、カステックス首相がノエル・年末年始に向けての新しい制限を発表しました。

 ワクチン接種の効果から、これだけ感染者が多いにもかかわらず、重症患者は、昨年よりも少ない状況とはいえ、医療体制も限界に近づいており、地域によっては(マルセイユやアルプ・コートダジュールなど)、すでに患者の移送が始まっています。

 この状況の中でノエル・年末年始のバカンスを迎えるにあたって、「大勢での集まりは避ける=大きなパーティーや集まりは避ける」「公道での無許可の集会や飲酒を禁止し、自治体には、公道での集会、特に花火やコンサートの開催を控えるよう呼びかける」ことを発表しました。



 「皆の責任に訴える」という漠然とした発表に「皆の責任は、皆の無責任にはならないだろうか?」と年末年始への対策は、大いに不安です。「人数は少なければ少ないほどリスクは少なくなる」という言い方でしたが、具体的に集まりは、何名程度とか、そんな目安の提示があった方がよかったのではないかと思います。

 まあ、今さら、分かりきっていることではありますが、そうはいかないのがフランスです。

 年末のシャンゼリゼ(だけではないが・・)などでのカウントダウンなども、相当な人混みになるはずなのに、やるのかやらないのか? ヘルスパスのチェックがあるのかどうか、そんなことも発表されてはいません。

 現在のフランスは、デルタ株による第5波のピークを迎えていますが、もうすでに、ものすごい感染力を持ったオミクロン株による侵食が始まっています。イギリスでは、このオミクロン株による感染拡大で、1日の新規感染者数が9万3千人を超えたというニュースからも、このオミクロン株の波が1月にはフランスを襲うのは、もはや避けきれない状態です。

 フランス政府は結局は、国民がノエルを迎えることに対しては、相変わらず、甘々で、そのかわりに、その後に急速に制限を強化する方針が伺えます。

 何と言っても、最も衝撃的であったのは、1月早々にも、これまでの「ヘルスパス」が「ワクチンパス」になるという発表でした。すでに逼迫している病院の状況で、重症化している患者のほとんどがワクチン未接種者であることから、これは、ワクチン未接種者に対するさらなる追い込みであると考えられます。

 現在、ヘルスパスとして、PCR検査の陰性証明書も通用しているものが、来年からは、ワクチン接種者以外は、ヘルスパスで入場できていた場所(レストラン・カフェ、コンサート、映画館、長距離移動の交通機関、映画館、美術館、娯楽施設、スポーツ施設などなど)にワクチン接種者以外は立ち入れなくなります。

 フランスでは、未だワクチン接種を受けていない人が600万人以上残っています。(ワクチン接種を受ける資格のある年齢の人々)

 そして、また、これまで、2回目のワクチン接種から5ヶ月後(これも最近短縮したばかり)であったブースター接種が4ヶ月後に繰り上げられます。

 今年の7月にヘルスパスの発表を聞いた時は、「これではまるで、ワクチン接種の義務化だ・・」と思ったのを覚えていますが、結果的に、ワクチン接種は、77%程度でほとんど上げ止まりの状態で、ガンとしてワクチン接種を避け続けている層が存在しつづけています。

 今回のヘルスパスがワクチンパスになることで、どれほどのワクチン接種率があがるのかは、わかりませんが、この政策に期待したいところです。ヘルスパスがワクチンパスになっても、ワクチン義務化とは言わないのです。

 一方、先日、偽ヘルスパスを入院時に提示したことで、死亡した患者の事件で、偽ヘルスパスに対する警戒が強くなりましたが、それ以前までには、フランスでは、3万6千枚の偽ヘルスパスが流通していると言われていたのに、その後の調査から、実際は、11万以上もの偽ヘルスパスが流通していることがわかり、愕然としています。

 今回のヘルスパスからワクチンパスになることによって、ますます偽ワクチンパスが増えるのではないかと今から心配しています。


フランス ワクチンパス


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