2021年12月20日月曜日

2022年1月からのワクチンパスの内容

  


 12月17日にカステックス首相が発表した来年早々にはヘルスパスがワクチンパスになるという話は、実際の施行は、おそらく1ヶ月以上先になるためなのか、私が思ったよりは騒ぎにはなっていません。むしろ、7月の時点でのヘルスパスの発表の方が衝撃的で皆が慌てたと言ってもいいかもしれません。

 そもそもワクチン接種をすでに受けている77.8%の人にとっては、なんら変更のないものであり、これにより影響を受けるのは、残りの22%のワクチン未接種者にのみ限られており、すでにヘルスパスによる生活が浸透しているフランス国民にとっては、大きな変更はありません。

 しかし、これは、日に日に深刻になっている現在の感染拡大による病院等の医療施設の圧迫を食い止めるためのヘルスパスだけでは動じないアンチワクチン論者をワクチン接種を加速させるための施策であることは言うまでもありません。

 これは、これまでのヘルスパスをワクチンパスに変更し、公共の場所への入場はワクチン接種者だけに限定し、たとえPCR検査があってもワクチン未接種者は入場させないということです。

 フランス政府は、「一部の人々(といっても約600万人)のワクチン接種拒否が国全体の命を危険にさらすことは許されない」と、ヘルスパスからワクチンパスへの移行を説明しています。

 特に心配されているのは、50歳から74歳の130万人、75歳以上の高齢者56万5千人が未接種であることで、意外にも高齢者にもワクチン未接種者が多いことです。

 基本的には、ヘルスパスと同様の形態をとり、QRコード形式でデジタルまたは、紙媒体で提供されるとしているので、これまでのヘルスパスの中のワクチン接種の記録をそのまま使用する形になります。

 また、ワクチンパスが必要とされる場所は概ねヘルスパスと同様で、カフェ・レストラン(テラス席を含む)、文化施設、娯楽施設、スポーツジム、病院、高齢者施設、イベント会場などで、ヘルスパス同様、ショッピングセンターは影響を受けることはありません。

 また、飛行機、列車、長距離バスなどの長旅には、必要とされますが、メトロ、RER、TERなど日常的な移動には必要ない。ウィンタースポーツリゾートでは、レストランやスキーリフトでワクチンパスが必要となります。

 また、病院の一般外来に関しても、ワクチンパスが必要になりますが、救急(緊急)外来の場合には、ワクチンパスのチェックはありません。一般外来のワクチンパスについては、緊急ではないとはいえ、物議を醸しそうな問題ではあります。
 
 企業へのアクセスについては、今後、労働大臣がソーシャルパートナーとの会合で直接、話し合いがもたれることになっています。

 しかし、今後、さらに問題をややこしくするのは、ワクチンの有効期限切れの問題で、これまでは、ワクチン接種率を2回のワクチン接種で換算していましたが、(現在は2回目のワクチン接種から7ヶ月後以内に3回目のワクチン接種をしないとヘルスパス(ワクチンパス)が1月15日以降は無効になることになっており、65歳以上の人に関しては、すでに12月15日から、追加接種をしていなければ、(2回のワクチン接種から7ヶ月以降経過している場合)無効になっています。

 ですから、今後、初めてワクチン接種をする人に関しては、2回のワクチン接種で、すでに2回のワクチン接種をしている人に対しては7ヶ月以内に3回目のワクチン接種をした状態がワクチンパスとして通用することになるのです。

 医療従事者に関しては、すでにワクチン接種が義務化されていますが、彼らは、2022年1月30日までに3回目のワクチン(ブースター接種)がさらに義務付けられます。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、パリ近郊でオミクロン変異種の病院クラスターが複数検出されたことをこの理由として説明しています。

 また、医療従事者だけでなく、救急隊員(消防士)の接種義務を強化する予定であることも併せて発表しています。
 
 このワクチンパスへの移行について、「ワクチン接種強制の偽装ではないか?」と疑問の声も上がっていましたが、逆に政府は、はっきりと「これは、ワクチン接種を強制に近づけるものである」とはっきりと認めています。
 
 彼の態度は毅然としており、「我々は、いつまでもワクチン接種を受けない人のために、多くの国民を危険に晒し続け、コロナウィルスの被害を受け続けるわけにはいかない。ワクチン接種を受けていない人がバーやレストラン、一般の人々を迎える場所に行くのを防ぐことは、路上で捕まったら135ユーロの罰金を課すよりも効果的だ!我々は、罰を与えるためにやっているのではない!」と語っています。

 しかし、ワクチン接種が始まって以来、もはや1年以上経っても、未だワクチンを受けない人々の態度は強靭で、「ワクチンパス・・そんなの関係ない!」と息巻いている人が多いのも事実ですが、実際にワクチンを打たないとレストランにも行けない、TGVにも乗れない・・かなり厳しい措置、これにより、ワクチン未接種者は、フランス人にとって何よりも大切なバカンスも満足に過ごせなくなる、もはや兵糧攻めのような立場においやられることと同じことになります。

 このワクチンパスがどの程度の効果を見せるのかは期待したいところです。

ワクチンパス フランス


<関連記事>








 



0 コメント: