2022年1月9日日曜日

1日の新規感染者が30万人でも閉鎖しない学校の大混乱 来週には学校はストライキの予定

  


 

 ノエルのバカンスあけ1月3日に再開したフランスの学校は、衛生管理を強化し、とにかく検査を徹底することで、始まったものの、まだ1週間も経たないのに、すでに大混乱になっています。

 なにせ、現在のフランスの新型コロナウィルスの発生率は10万人あたり、2391.2人まで上昇しており、単純に計算する限り、約40人に1人は感染しているという計算になります。

 これで、特にワクチン接種があまり行われていない5歳〜11歳の年齢層の生徒が集まる小学校などは、この週数回の検査と隔離の確認、連絡に大わらわになるのも無理からぬことです。

 学校再開以来、約5万人の生徒が陽性。約30の学校と10,800以上のクラスが閉鎖されています。

 学校は、毎日毎日の生徒の陰性確認に加えて、接触者の再検査の連絡、今や薬局や検査場は、どこも長蛇の列で、検査を受けるといっても簡単に受けられるわけではありません。

 それに加えて、教員が感染して欠員の場合の代理教員の手配。エンドレスに続く毎日の煩雑な作業に学校も学生、そして、保護者も悲鳴をあげています。

 特に小学生以下の場合、例えば、前日の夕方にクラスに感染者が発見された場合、翌日の登校前までに検査をしなければならずに、薬局に駆け込んでも、すでに長蛇の列、夜の時間帯ゆえ、子供を連れて並ぶことを諦めて、翌日、朝に検査をしてから遅れて登校。

 また、学校に行ってみると、教員の欠員のために代理教員が午前中には手配できないために授業は、午後から・・または、今日は休講・・などなど、それらすべてに付き添わなければならない保護者は、子供の学校に振り回されて、仕事どころではありません。

 どちらにしても、その全体の調整とチェック、連絡だけでも相当な仕事量です。通常、フランスの学校の先生は、授業の講義を受け持つだけで、その他の仕事は、自分たちの仕事ではないというのが基本的な姿勢です。

 それが、パンデミック以来、生徒の学校内での衛生管理や検査結果のチェック、感染者が出れば周囲の生徒への連絡と隔離状態のチェックなどなど、業務は膨れ上がっています。

 学校再開の前には、検査の徹底のルールとして、初日に全員が検査、陰性の生徒のみの登校、感染者が出た場合は、クラス全員が検査、その後、数日おきに検査を続けることなどが発表されましたが、それは、あくまでも紙の上でのことで、実際にこれを続けるのは、学校側の負担も学生側の負担も計り知れないほどの負担になっています。

 なんといっても、1日の新規感染者は、毎日のように30万人を超えている状況で、子供の間の感染率も例外ではなく、これを続けるのは、学校を閉鎖するよりもよほど大変な状況に陥っているのです。

 今回は、教員が欠員のクラスの生徒を他のクラスに割り振ることも禁止されているために、代理教員が見つからない限り、子供を受け入れることもできません。

 しかも、生徒も教員もいつ感染するかわからないわけで、前もって、準備することもできません。

 この想像以上の混乱に直面し、大多数の教職員組合は、学校の混乱を糾弾するために、1月13日(木)にストライキを行うことを発表しています。

 教職員組合は、「フランス政府は、学校の安全を確保するために労働組合が行った要求に対して耳を貸さなかったという事実を遺憾に思っている」とし、学校とその職員が日ごとに変わる実行不可能なルールに、もはや対処できないことを政府に理解してもらう」とストライキに入る理由を語っています。

 特に、「1件の陽性例=学級閉鎖」という保護規定に戻し、家族内接触例を隔離するという基本的なルールを取り戻すことを求めています。

 この現在の混乱状況に加えて、ストライキ・・1日だけなのか、長期にわたる予定なのかはわかりませんが、この感染者数からいくと、少なくとも彼らの要求している「1件の陽性例=学級閉鎖」が通れば、たちまち、学校は、ほぼ閉鎖状態になると思われます。

 保護者の立場からすると、自分の仕事も合わせて、スケジュールを日々、調整するのは、大変なことで、いっそのこと学校は閉鎖なら閉鎖でリモート授業としてくれる方が、そのたびに右往左往する必要もなく、ひとまず感染状況がもう少しおさまるまでは、閉鎖してくれた方がまだマシかもしれないと思うのです。

 子供の将来を考え、学校閉鎖は、あくまでも最終手段であるとしてきたフランス政府ではありますが、学校を閉鎖せずに検査と隔離を続けながら継続するには、あまりに感染者が多すぎて、どうにも立ち行かなくなっている現状です。


フランス学校ストライキ


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