2022年1月12日水曜日

2ヶ月以内にヨーロッパの半数以上が感染する フランスの1日の新規感染者数36万人突破

  

 

 世界保健機構(WHO)のヨーロッパ支部長のハンス・クルゲ氏は、「現在の世界的な感染率からすると、(Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME)の分析)、今後、6〜8週間以内にヨーロッパの人口の50%以上がオミクロン変異種に感染すると予想される」と発表しました。

 感染力の強い変異型の潮流が高速で拡散する中、新規感染者の急増は、すべての大陸で加速しており、パンデミック開始以来の水準に達しています。

 この2週間、米国で新たな感染者数の増加がめまぐるしいですが、欧州でも非常に強い感染者を記録しています。

 医療体制については、入院患者数は増加しているものの、集中治療室への入院率は鈍化しており、死亡率は比較的、安定しているものの、WHOヨーロッパの支部長は、「ワクチン接種率が低い国で、ワクチン未接種者の重症化が進むと、どのような影響が出るかはまだわからない」と懸念しています。

 11月の段階で、WHOが「ヨーロッパが再び感染の震源地になる」と予告したとおりになっている状況です。

 中でもフランスは、そのトップを走っている形になっており、ヨーロッパの中でも最高値を記録、1月11日には、1日の新規感染者数は、再び記録を更新し、368,419人を記録しています。    

2020年10月以来のフランスの新規感染者数


 先週(1月2日〜8日まで)の10万人あたりの発症率は、2,790人を超え、中でもイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の一部の地域では、4,000人を超えています。(単純計算で25人に1人が感染しているということ)

 フランス国立衛生局の発表によると、現在(1月11日現在)のコロナウィルスによる入院患者数は、23,371人(前日から+722人)、集中治療室の患者数は、3,969人(前日から+65人)、1日の死亡者341人を記録しています。

 この莫大な感染者数に比べれば、入院にまで至る確率は、かなり低いとはいえ、確実に病院を圧迫し続けている状況には違いありません。

 また、現在、圧迫しているのは、病院だけではなく、感染者の隔離により、社会のあらゆる場所を圧迫しており、特に、ワクチン接種があまりされていない小学校での感染と検査、隔離の問題は、ことさら深刻になってきています。

 それでもフランスは、「学校は最後に閉鎖する場所であり、最初に再開する場所であるべきだ」という姿勢を崩すことは、ありません。学校は、フランスの未来を担う子供の教育を決して諦めないということに他なりませんが、基本的に、全ての機関を閉鎖せずにこの感染の波を乗り切る姿勢とも重なります。

 この新規感染者数36万人超えという状況からは、2ヶ月以内にヨーロッパの半数以上が感染するという話は、決してあり得ない話ではありませんが、ともすると、「オミクロン株は、感染力は強くても、比較的、症状が軽く、これだけ広がれば、もしかしたら、これが最後の感染の波になるかもしれない」とか、「感染してもワクチンさえしていれば、感染しても問題ない新種の風邪をひいた程度になる」とか、楽観視する意見も持ち上がり始めており、感染症専門家などが出てきて、「その可能性が全くないとは言えないが、現在のフランスの状況は、とても、手綱を緩められる状況ではない。楽観視しすぎてはいけない」と必死でブレーキをかけているような状態です。

 こうした中、コロナウイルスに対するワクチンを統括するWHOの専門家グループは、現在あるワクチンの定期的な増量接種のみに基づく戦略には、「これは適切でも持続可能でもないだろう」と、疑問を呈しています。

 しかし、これだけ、感染が蔓延すれば、周囲の知人にも感染したことのある人が増え続けており、先日、長いこと連絡をとっていなかったフランス人の元同僚から電話があり、昨年、コロナウィルスに感染し、呼吸不全に陥り、味覚も失う経験をした・・」と、「幸い、現在は、回復し、もちろん、その後、ワクチン接種もしたし、感染には、人一倍、気をつけている・・3ヶ月後に4回目のワクチン接種をしなければならないなら、自分はすぐにでもするだろう」と強く語っていました。

 現在のフランスでのワクチン接種の間隔は、3ヶ月後から可能ということになっていますが、4回目のワクチン接種は始められていません。しかし、3ヶ月後にワクチンの有効性が低下し始めることから3ヶ月後からブースター接種が可能ということになっているとすれば、早くにブースター接種をした人は、そろそろ3ヶ月を経過し始めています。

 このヨーロッパ(フランス)の感染のさらなるピークを迎える頃に再び、追加のワクチン接種が必要となる人が増加するとなれば、これはエンドレスな状況になってしまいます。

 現在、赤十字のスタッフなどが、街を歩き、ワクチン未接種者を探し回り、ワクチン接種の必要性を説得し、場合によっては、ワクチンセンターまで付き添って、ワクチン接種を進めるというような地道な努力もしているようです。

 「2人に1人は感染」という状況になったら、私はどうしているのだろうか?と思いつつ、自分にできる感染対策を粛々としていくほかに道はありません。


WHO警告 ヨーロッパの半数以上が感染 36万人突破


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