2022年1月1日土曜日

マクロン大統領の年末の演説と大晦日のカウントダウン

   


 年末、大晦日の日に大統領が国民に向けて、一年の総括や来年への展望などを語る模様が放送されるのは、フランスの伝統的な行事の一つのようなもので、なぜだか、私は、マクロン大統領以前のオランド大統領やサルコジ大統領を飛び越えて、シラク大統領の年末の演説が印象に残っています。

 あくまでも、個人的な好みですが、私がフランスに来て以来のフランスの大統領の中で、シラク大統領が威厳もゆとりもオーラもあって、立ち振る舞いなども、どこか優雅でカッコよかったなぁと思っているのです。

 個人的な好みは、全くの余談ですが、この4人の大統領の中で、最もたくさんの演説を聴いたのは、マクロン大統領にほかなりません。

 なんといっても、もう2年近くも続くパンデミックのために、彼の演説は、おそらく、どの大統領よりも機会も多く、ロックダウンやロックダウン解除、ヘルスパスシステムの導入などなど、見逃せない内容でもありました。

 また、パンデミック以前もテロや黄色いベスト運動などで、フランスは荒れていましたので、彼が大統領に就任して以来、まさに苦難続き、その度にマクロン大統領は、国民に向けて、話をする必要が多々あったわけです。

 フランスの大統領選挙は2022年4月に行われますが、まだマクロン大統領は、立候補の声明を出していません。今回の演説でも、大統領選に出馬するということは、明言していませんが、「私は、今後もどんな立場にあっても、皆さんを支え続けることを約束します」と語っています。

 今回の演説が彼の任期中の最後の演説とは思えませんが、一貫して、彼の演説は、いつもフランスを称え、自信に溢れ、自画自賛を混じえながら、かなり楽観的なのが特徴です。

 今回も例に漏れない内容で、冒頭は、「現在、私たちは、再び感染拡大に直面し、今後、数週間は、非常に困難な状況が待っています。」と始まりましたが、これは、あたかも想定内のことであったと言わんばかりに、「しかし、昨年と違って、私たちには、ワクチンという武器がある」そして、「5300万人」のフランス人がワクチンを接種し、2400万人のブースターを注射したことを説明し、「この水準は、フランスを「世界のトップグループ」に位置づけるものである。」と語りました。

 しかし、残念ながら、毎日記録を更新しつづけている感染者数や感染率もまた、世界のトップグループでもあるのです。

 そして、2022年に向けて、自分は「楽観的」であると語り、エマニュエル・マクロンは、「2022年は流行が終わる年かもしれない、私はあなたとともにそれを信じたい」と述べました。

 「私たちは、ワクチンのおかげでこの波を乗り越えることができる」と続け、「国の活動を維持するために可能な限りのことをする」「自由を圧迫するような制限を設けない」ことを約束しました。

 また、「フランスは試練を乗り越え、2年前よりも強くなっている」とマクロン大統領は強調し、自身が着手したいくつかの改革を振り返りました。

 「パンデミックの状況下では、すべてを先送りすることもできたが、私たちは決して諦めなかった。この数週間と今後数ヶ月の間だけでも、何十年も前から語られてきた決定がなされたし、これからもなされるだろう」と、「失業保険の改革」「購買力対策」「インフレ手当」「エネルギー券」「最も低所得であった公務員の給与の引き上げ」「環境対策」などを挙げて付け加えています。

 さらに、パンデミックにより、ヨーロッパの繋がりが証明されたとし、フランスが1月には、EU議長国就任することにより、2022年を「ヨーロッパの転機の年」にすると約束しました。

 彼のこの大統領として、フランスの一年を総括する演説とはいうものの、聞きようによっては、彼の業績を振り返り、印象付けるものであった演説であったとも思えるのです。相変わらず、自画自賛と楽観的な展望です。

 案の定、大晦日のカウントダウンの瞬間には、花火も何もないのに、(花火中止を知らなかった人も多かったらしい)シャンゼリゼは物凄い人・人・人・・。花火は禁止されても、人の集まりは、あまり変わらなかったようです。

 テレビでは、世界各国の年明けの花火の様子が繰り返し報道されていて、その時にジャーナリストの一人が、「色々な国に素晴らしい花火があるけど、やっぱり、僕が一番きれいだと思うのは・・」と話し出したので、当然、フランスが一番だと言うのだと思って、「うわっ!また出た!自画自賛!はいはい!パリの花火はきれいですよ・・」と鼻で笑ったら、「僕は日本の花火が一番きれいだと思うんです」と言ってくれたのには、ちょっとびっくりするやら、嬉しいやら・・。



 シャンゼリゼだけではなく、どこもかしこも、この感染爆発を恐れる様子は、まるで、ありません。大勢での集まりの禁止も屋外でのマスクの義務化もまるで、無視されています。取り締まりの10万人の警察官はどうしているのか?と思ってしまいます。

 

 2021年12月31日もフランスは、1日の新規感染者数の記録をさらに更新し、232,200人を記録しています。


フランス年越し マクロン大統領大晦日演説


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