2021年6月1日火曜日

大坂なおみ 全仏オープン(ローランギャロス)トーナメント撤退発表


Naomi Osaka, la numéro 2 mondiale, a décidé de se retirer de Roland-Garros. (ROB PRANGE / SPAIN DPPI)


 昨年からのパンデミックのため、今年の全仏オープン(ローランギャロス)はどうなることやらと思っていたら、予定どおりの5月30日からスタートしていたことに、やはり、毎年の年中行事?とともに、日常が戻りつつあることが感じられ、どこか、ほっこりさせられた思いがしていました。

 今回のローランギャロスは、120回目の大会で、昨年の開催も延期の末に感染が悪化してからの開催など、色々と物議を醸してきましたが、今年は、様々な衛生管理の制限があるにせよ、フランスは、ロックダウンが解除され、今のところ順調に感染も減少しつつあり、ワクチン接種もフランスにしては、なかなかの速度で進み始めて、今週からは、18歳以上の成人は、全てワクチン接種が受けられるようになり、上向きのムードの中、始まった大会でした。

 さすがに、個人的には、現在のフランスの状況で、会場にまで行って、応援することは、ちょっと躊躇われるのですが、テレビをつければ、オンタイムで試合を見ることができるこの全仏オープンは、あまりスポーツ観戦をしない私でも、日本の選手を応援したくなる大会でもあるのです。

 昨日、「ああ〜そういえば・・ローランギャロスが始まっているんだ!」と気づいて、試合のスケジュールを確認してみたら、すでに一回戦が終わっていて、日本の錦織圭選手や大坂なおみ選手は勝ち抜いているのを確認して、「よしよし・・」と次の試合の日程などを見ていたら、急に「大坂なおみ トーナメント撤退」というニュースが入ってきてびっくりしました。

 この大会が始まる前から、彼女が試合後に行われる記者会見に応じないと発表していたことは、聞いていましたが、まさかそれがこんなことにまでなってしまうとは、思ってもみないことでした。


 彼女は、これまでも記者会見を苦痛に感じていて、全ての選手が試合に集中するため、精神衛生上、記者会見を行わないことを主張していましたが、これは大会規定に違反するため、15,000ドルの罰金を課せられることが報じられていました。

 現在、世界ランキング2位という彼女のステータスと影響力から、これまでも、彼女は、様々なことを主張し続けてきて、今回の記者会見に関しても、「現在の規則は古い、選手が試合に集中できる体制をとるべきである」と発表したのでした。

 彼女にとって、15,000ドルの罰金は大した金額ではないにせよ、大会の記者会見は、一般のマスコミとは違う大会運営の公式記者会見でもあり、この大会の大事な一部でもあるため、大会運営側も彼女の訴えを簡単に受け入れることはできません。

 それどころか、この全仏オープンだけでなく、他のグランドスラムと呼ばれる4大大会から、共同排除という脅威が逆に彼女を襲うことにまで発展してしまいました。

 彼女自身は、この彼女の発信が、「試合の内容以上に多くの人の気を逸らすものになり続けて欲しくない」として、結果的には、彼女は今回の全仏オープンのトーナメントを撤退することを発表しました。

 

 彼女は、今回の論争に関しては、「タイミングも、自分の発信の仕方ももっと明解な形にするべきで、最善のものではなかっったために、今回は、これ以上、テニス以外のことで、騒がしたくはなく、私自身が撤退することが一番だと思う。いつも私に親切にしてくれたテニスプレスに謝罪したい。しかし、人前で話すことは私の本質ではなく、それは私に計り知れない不安を引き起こします。今回の大会では、自分はナーバスになっていると感じ、マスコミを避ける方が良いと思いました。この記者会見のルールは古くなっていると思い、人々に知らせたかったので、事前に発表しました。」と語っています。

 そして、「時が来たら、ツアーの関係者と話をして、選手、マスコミ、ファンの両方の状況を改善できることを願っています。」と締めくくっています。

 彼女は、日曜日にはすでに、一回戦のパトリシアマリアティグ(63位)(6-4、7-6 [7/4])に勝利したばかりでした。

 試合に集中するために記者会見を回避したいと言っていた彼女がそのトーナメントから撤退することになってしまったことは、大変、残念なことです。

 アメリカでは、アスリートはマスコミとの取引においてより多くの自由を望んでいると彼女のコーチは彼女を擁護していますが、どちらにしても、これはプロテニスの世界、しかも記者会見も大会の主催する公式記者会見の話。ファンとしては、試合同様、選手からの話を望んでいるのも事実で、この記者会見も含めてのトータルのイベントです。

 プレス側も余計な質問をすることもあるでしょうが、必ずしもネガティブなことばかり発信するわけでもありません。多くのプレス関係者やファンの人に支えられつつ存在している大会でもあるのです。

 スポーツもメンタルを整えることが難しいものではありますが、つい先日、彼女がラケットを折ったことがバッシングされていたりして、彼女自身のメンタルが揺らいでいることが伺えます。彼女自身は、長いことうつ病に苦しんできたと告白していますが、現在も、精神的に苦しんでいる状態ならば、もっとこんな騒動にならずに記者会見を避ける方法は別にあったのではないかと思っています。

 彼女の会見に対するストレスと同様、彼女の発信することの影響力は、彼女自身はより自覚する必要があり、このタイミングだったならば、とりあえずの会見拒否の意向は、ツイッターやインスタグラムではなく、まず大会主催者に直接、伝える必要があったのではないかと思います。

 世界のトップレベルにまで登りつめた彼女は、まだまだ若いのです。こんなことで、潰れて欲しくないと心から祈っています。


大坂なおみ


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