5月の初旬にようやく10㎞以上の外出制限が解かれて以来、フランスは、あれよあれよという間に、レストラン・カフェのテラス席が再開し、美術館、映画館、デパートなどもオープンし、6月半ばにして、屋外でのマスク義務化が撤廃され、来週からは、夜間外出禁止もなくなり、ますますコロナ前の日常にグングン近づいていく感じです。
もちろん、まだ、屋内ではマスクが義務付けられているし、人数制限なども行われているので、すっかり元の日常というわけにはいきませんが、かなり、これまで失っていた自由を取り戻しつつあります。
それは、ワクチン接種も私が予想していた以上に、「これがフランス?」というほど、どんどん進んでいて、感染者も順調に減少し、一時は、集中治療室の占拠率が140%!と言っていたのがウソのように、現在は、50%ほどまでに下がっている現状に裏付けられています。
しか〜し! 日常が戻り始めると、途端に戻ってくるのがストライキというのが、フランスです。ロックダウン解除の第4段階の繰上げ(夜間外出禁止撤廃や屋外のマスク義務化撤廃)が発表されたのとほぼ同時に、待ってましたとばかりに発表されたのは、SNCF(フランス国鉄)やパリ・シャルル・ド・ゴール空港、病院等のストライキの決行予定です。
SNCF(フランス国鉄)は、6月21日(月)運転手がストライキを予定しています。これにより、大幅な減便になるため、SNCFは旅行者に対して、彼らの旅行を延期するように忠告しています。
これは、経営者側がSNCFの過剰人員を整理しようとしていることに抗議するストライキです。SNCFの労働組合トップは、他のドライバーによる穴埋めを妨げるために、路線ごとに、要求は異なってはいても、ストライキを予定している路線は、全て同じスケジュールで同時にストライキを行うと発表しています。非常にタチが悪いです。
彼らは、鉄道セクターを競争に開放することに反対し、将来の入札を視野に入れ、そのためにすでに開始されている会社側の人員整理の対応に、「鉄道労働者には保証がない」と抗議しているのです。
ここがフランスのダメなところで、国営鉄道が一括して運営しているために、競争がなく、競争がないために、改善されるべきところも改善されず、「鉄道労働者には、保証がない」などと言うのは、一般市民からすると、「ふざけんな!」と言いたくなります。SNCFは、定年退職の年齢が著しく低かったり(特にドライバー)、一般の職業に比べて、特典もかなり多い職業なのです。
しかし、彼らはこれまでの自分たちの権利が侵害されることに抵抗しているわけです。乗客という人質をとって・・。
また、ストライキの予定は、国鉄だけではなく、パリ、シャルル・ド・ゴール空港も2日間のストライキを発表しています。
彼らは、賃金低下に繋がる労働契約を締結させる計画に異議を唱えています。ストライキは、18日から3日間続く予定です。
また、7月1日には、5日間にわたる別のストライキも計画されており、これは、夏のバカンスに出発する人で溢れる7月最初の週末にかかるため、影響はさらに大きくなります。
これらの公共交通機関のストライキの場合、減便や人員不足のために必然的に屋内での混雑が起こり、現段階では感染悪化の危険も孕んでいますが、フランス政府は、ストライキやデモは国民の権利として尊重する態度を取らざるを得ないため、回避することはできません。
これまで、ロックダウン中でもデモ活動は行われ続けていたフランスですが、営業していないセクターも多かったために、労働に対するストライキは影を潜めていました。
しかし、一度、社会が動き出すと、パンデミックによる経営不振からの経営者側の対策として開始される賃金カットや人員削減が始まり、いよいよ労働者によるデモやストライキが始まるわけです。
直に国民に影響を及ぼす公共交通機関や空港などの公共施設に加えて、救急隊、病院、ラジオ局、テレビ局など、ストライキの話は、次から次へと聞こえてきます。
少しずつ日常が戻り始めて、経済も復興していくと思った途端にストライキ、感染が悪化して、営業停止になっていた時は、「このフランス人が働きたいと言っているんだ!」と営業再開を求める人が喚いていましたが、いざ再開すると、労働条件についてのストライキで途端にストップしてしまいます。
フランスの経済復興の道のりは、長くて険しく、騒がしいものになりそうです。
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