現在のところ、フランスのコロナウィルスの感染状況は、確実に減少してきています。これは、これまでのロックダウン等の数々の日常生活における規制とワクチン接種の拡大、気温の上昇によるものと思われます。
しかし、フランス政府は、9月から10月にかけて、コロナウィルス感染の第4波に襲われることを非常に懸念し続けています。
政府の科学評議会の議長ジャン・フランソワ・デルフラシーは、秋にかけてフランスに第4波が到来することを警告しています。
第一に懸念されているのは、インドで爆発的に感染拡大したデルタ株の存在で、ワクチン接種の拡大に成功したイギリスが、一度は、すごい勢いでロックダウンを解除し始めたにも関わらず、この変異株による感染拡大のために、日常生活に関わる全ての規制を解除することを延期したほどで、フランスにとってもこの感染力がこれまでのイギリス変異種などに比べて格段に感染力が強力な変異種をどれだけ抑えることができるのか?を非常に警戒しています。
現在のところ、フランスでは、1日50〜150例のデルタ株による感染者が発見されていますが、実のところ、現在の一気に開放的になっているフランスでは、検査を受ける人もかなり減っていると考えられ、また、その検査で陽性になった人がどの変異種による感染なのかをきっちりと検査しきれているのかは、甚だ疑問です。
昨年、一度、春から夏に向けて、感染が減少した段階で、一気にフランス人は、バカンスに出かけ、秋には、感染が再拡大したという苦い経験を持っています。昨年と大きく異なるのは、ワクチン接種が始まっているということで、これは大きな違いです。
しかし、フランスにしては、かなり頑張って、これまで凄い勢いで進んできたワクチン接種もここへきて、予約が大幅に減少し始めており、一時は、1日35万人の予約が入っていたものの、現在の予約は、1日20万人ほどまでに減ってきており、当然、これまでにワクチン接種が済んでいる人は、予約しないわけですから、減少するのは、あたりまえといえば、あたりまえなのですが、それでもまだ、フランスでは、ワクチン接種を1回でもした人の割合は、全国民の半数には、至っておらず、まだまだワクチン接種をしなければならない人は、これまで以上に残っているのです。
逆に以前のペースでワクチン接種が進んでいれば、現在は1回目と2回目のワクチン接種をする人が重なって、ワクチン接種の予約は、さらに混雑状態になっていたはずなのです。
ここから先のワクチン接種が滞るのは、ワクチン接種を未だにためらっている人や、アンチワクチン論者の人たちで、この先のワクチン接種の拡大は、これまで以上の難題になります。
そして、最も不安視されているのは、6月30日に再開する1000人以上のコンサートや7月9日に15ヶ月ぶりに再開されるナイトクラブやディスコでの感染拡大です。
一応、コンサートやナイトクラブ・ディスコの再開に関しては、ワクチン接種証明書、あるいはPCR検査の陰性証明書、過去6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書のいずれかの提示が求められることにはなっていますが、収容人数の75%、マスク着用は推奨されますが、義務ではありません。
コンサートやナイトクラブ、ディスコに行くような層のフランス人が義務化されてもいないマスクをするわけはなく、ある程度の実験データに基づく措置ではあるものの、実際にこの場が解放されることは、やはり、かなりリスキーなことであるに違いありません。
現在、フランスで、ここまで感染が減少してきたのには、ワクチン接種の拡大と、かなりの生活制限や気温の上昇からの恩恵によるもので、日常生活がすっかり解放され、人々はバカンスに出かけ、ワクチンの接種もストップすれば、気温が下がり、ウィルスがより活発に飛び回る季節になり、ある一定数の人々がガンとしてワクチンを拒否し続ける状態であれば、再び感染が拡大することも充分に考えられるのです。
昨日、政府からと思われるSMS(メッセージ)が私の携帯に入ってきました。政府からのメッセージが私個人の携帯に入るのは、昨年の3月に最初にロックダウンになった時以来のことです。
「もしも、あなたがまだワクチン接種をしておらず、まだ予約もとっていないなら、こちらのサイトから予約してください。電話予約の場合は、0800730956(8時〜20時)、もしくは、かかりつけのお医者さんに相談してください。」
最初のロックダウンの時にSMSが来た時は、「何で私の電話番号、知ってるんだろう?」とちょっと嫌な気分にもなったのですが、考えてみれば、税金の申告や健康保険証の登録などにも携帯の番号は記載してあるので、いくらでも政府側が持っている個人情報はあるわけです。
それよりも一斉に全国民宛にメッセージを送るという大々的なことをフランス政府がやるということにその深刻さを感じたのです。
ですから、今回のメッセージは、マクロン大統領が「私たちは、今、戦争状態にある」と宣言した後のあの緊張感に満ちた時以来、政府が第4波回避のためのワクチン接種の拡大をどれだけ真剣に取り組んでいるのかをまざまざと感じさせられるものだったのです。
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