フランスは、6月30日から、いよいよロックダウン解除の最終ステージに入ります。
当初の予定では、この日から夜間外出制限が撤廃されることになっていましたが、想像以上に感染減少が早く進んでいたために、すでに夜間外出制限は解除されています。
今後は、一般の商店、レストラン、スポーツジム、美術館、映画館など、これまで敷かれていた制限なども解除されます。
屋内でのコンサート等のイベントは、入場が収容人数の75%までに制限されますが、屋外での制限はありません。屋内外にかかわらず、1,000人以上のコンサート・イベントに関しては、ヘルスパス(2回のワクチン接種をしているか、48時間以内にPCR検査の陰性結果、あるいは、6か月から2週間前に陽性の検査結果の証明書)が必要になります。
コンタクトスポーツ競技は屋内で再開することができるようになります。
スタジアムやスポーツアリーナでは、観客全員が着席している場合、収容人数の100%を収容できるようになりますが、立った状態の場合は1人あたり4m²を予約する必要があります。
フランスのサッカーやラグビーなどのスポーツ観戦をするスタジアムなどの様子を見ていると、大人しく座って観戦している人など稀なので、これが歩き回らなければ良しとするということなのか?と、ちょっと思います。
このタイミングに6月30日からフランスは、夏のソルド(バーゲン)も始まります。これまで最も警戒されていたディスコやナイトクラブ等の再開は、7月9日からということになっています。
しかし、現在、世界中で猛威を振るい始めたデルタ株がフランスでも確実に広まり始めており、先週までは、感染者のうちの10%であったデルタ変異種感染者が、今週には20%にまで上昇しています。一週間で2倍に増加とは、恐ろしいことです。
地域によっては、これが70%を超える地域もありますが、国全体としては、全体の感染者数には、変化は見られず、集中治療室の患者数も減少を続けているため、ロックダウン解除について、現在のところは、変更はせずにこのまま日常生活を取り戻す方向に進んでいくようです。
現在のところ、このデルタ株に打ち勝つには、なんとしてもワクチン接種を拡大するしかないわけですが、5月以降、ワクチン接種の予約状況は、頭打ち状態で、地域によっては、コマーシャルセンター内にワクチン接種するコーナーを設け、予約なしで買い物のついでにワクチン接種が受けられるところもでき始めました。
そして、さらに、ワクチン接種を拡大するために、これまでパンデミック開始以来、ずっと無料だったPCR検査を有料化するという話も出ているようですが、これはまだ検討段階、観光客向けにもPCR検査を無料にすると公表しているフランス政府が国民向けのPCR検査を有料化するなどという話は、あまり現実的ではありません。
このデルタ変異種の拡大のために一時は、劇的に感染者が減少したイギリスも現在は、1日の新規感染者数が2万人超えという状況になり、ロックダウン解除がペンディングになっていますが、一部の専門家の間では、これまでのデータによると、フランスは、イギリスの8週間遅れでイギリスの感染状況を追っている傾向にあり、フランスに比べると格段にワクチン接種が進んでいるイギリスであの状況なのだから、フランスで同じだけ感染者が増加すれば、大変なことになると分析している人もいます。
デルタ変異種に打ち勝つには、国民の80%が2回のワクチン接種を受けていなければ防ぎきれないと分析されており、まさにウィルスとワクチン接種の速度の競争状態です。
それでもロックダウン解除の予定を変更しないのは、フランスが3回目のロックダウンになかなか踏み切らなかった時の状況に似ているような気がします。
それにしても、フランスがようやく3回目のロックダウンに踏み切った時には、イギリス変異種の拡大が原因で、それが停滞してきたと思ったら、今度はデルタ変異種の出現で、世界中が再び、不穏なモードに突入しつつあります。
次から次へと威力を増して襲いかかるコロナウィルス、イギリス変異種、インド変異種の次には、オリンピック変異種に悩まされることになるかもしれません。
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