厳しい露店の取り締まりにざわつく人々 |
私は、日常の食料品は、近所にある徒歩1分のスーパーマーケットでだいたい済ませているのですが、2ヶ月に一度くらいは、パリ13区にある、いわゆるチャイナタウンにあるアジア系の食材店に普通のフランスのスーパーマーケットでは買えない調味料や食材等の買い出しに行っています。
今は、ずいぶんとフランスの普通のスーパーマーケットでもお醤油やインスタントのお味噌汁、インスタントラーメン、冷凍の餃子、わさびなど、手に入るものも増えてきたのですが、値段の設定も高めだったり、種類も少ないし、やはり、そこへ行かなければ買えないものも多いので、たまには、ちょっと足をのばして、買い物に出かけるのです。
パリに来たばかりの頃は、お店も汚くて、買い物に来ている人もほとんどがアジア人ばかりの場所でしたが、最近は、フランス人も増え(とはいえ、まだまだアジア人が多いですが・・)、お店も若干、綺麗になり、近辺の通りなどもずいぶんと整然としてきました。
私がいつも行くのは、パリ市内には10軒以上チェーン店を抱えるタン・フレールというアジア系食材を集めた大きなスーパーマーケットなのですが、あたりには、たくさんの中華系の食材店やレストランなどもあり、買い物帰りに食事をしてきたりするのも楽しみの一つです。
また、その通り沿いには、たいてい、いわゆるマルシェなどではなく、無許可の露店が出ていて、自分の家で育てたのかな〜?と思われる野菜や、自分の家で作ったんだろうな〜?と思われるちまきやお菓子類、ちょっと意味不明なアクセサリー、わけのわからない中国の薬や、CDなどなどを売っている人たちがいます。
これらの露店は、無許可の露店のため、お店を広げている人も警察の取り締まりがあったときにすぐに逃げられるように、木箱などを積んで商品を並べているだけで、すぐに撤退する準備をしているようで、かなり身軽な感じで、商売をしています。
通りかかると、たまに、警察が取り締まりをしたりしていて、注意されて、引き上げようとしているのを見かけることは、これまでもあったのです。
でも、まあ、警察官が通り過ぎるだけで、彼らはすぐに引き上げるので、まあ、ちょっとは目をつぶるというか、黙認しているようなところがあるのかな?と思っていました。
しかし、今回、見かけた警察の取り締まりは、なかなか用意周到な、今までよりも厳しいもので、警察は、商品として広げていたものも全て没収するためのトラックと、その商品撤廃のための人員まで引き連れた大々的なもので、私がスーパーマーケットに入って行った時には、横目で覗きながら、「これ、タン・フレールとどっちが安いのかな?」などと横目で眺めていた野菜を売っていた露店などが、スーパーマーケットから出てきた時には、一斉に商品を没収されているところで、露店商の人々が違反切符を切られていました。
露天商の商品撤廃のための車 |
トラックに次々と積み上げられていく商品を運ぶ人たちの、どこか、してやったりといったちょっと意地悪な感じの表情と、周囲に集まる見物人。
騒ぎに紛れて、没収された商品をトラックの上から持ち去って盗んでいく人。
その泥棒を呆然と眺めながらも、「あれは、ダメだよね・・」などと、意見する人々。
まあ、日本では、あり得ない光景だと・・この一連の騒ぎをため息をつきながら、見ていました。
ロックダウンが解除されて、日常を取り戻し始めたフランスですが、こんな日常も同時に戻ってきたんだな・・と思ったのです。
しかし、なぜ、今までは黙認同然だったこの場所での露店に厳しい対応をするようになったのか? それは、パリ市内での、路上でのタバコの並行輸入品の販売や、麻薬・ドラッグなどが広く流通するようになったためだと思われます。
麻薬やドラッグなどから比べれば、自分で育てた野菜や料理を売るなんて、まだまだ随分、良心的だと思えないでもありませんが、疑い出せば、それらの商品の中には、麻薬やドラッグも一部、含まれている可能性もないではありません。
13区のそのあたりは、いわゆる麻薬・ドラッグの流通が多いとされているポイントではありませんが、他の地域での摘発が続いている中、ドラッグのディーラーは、摘発されても、結局は、場所を移動するだけで、結局、警察と彼らとのイタチごっこが続いているのです。
無許可の露店を放置することは、この種のドラッグの流通の隠れ蓑にならないとも限らないのです。
最近の、麻薬・ドラッグのディーラーは、武装化しており、銃などの武器も持っています。この平和だった私の食料調達の場の一つがそんなことになっては、たまりません。
無許可の露店ごときに少々、荒療治な気もしますが、今のパリは、こんなことも必要なのかもしれません。
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