2021年6月8日火曜日

フランスのショコラティエ ベルナシオンとメゾン・ド・ショコラ

  


 私は、フランスに住み始めて、20年以上経ちますが、我が家の食生活は、フランスでできる限りの和食よりで、恐らく一般的なフランス人家庭のような食事はしていません。

 日本に帰国した際には、運び込める荷物のほとんどは、日本の食料品で占められ、限りある食材を少しずつ使いながら、手に入らない野菜などは、なんとか自分で育て、かなり日本に近いような食事をしています。

 それでも20年以上も経つ間に知らず知らずのうちによく食べるようになっているフランスの食品も、いくつかは、あるのですが、その中で、日本にいた時に比べて、私が圧倒的にたくさん食べるようになっているものの一つはチョコレートです。

 そもそも、私は、以前は全くの辛党で、日本ではほとんど甘いものは食べませんでした。しかし、年齢を重ねるにつれて、お酒の量も減り(減っただけで飲んでいる)、次第に甘いものに手が出るようになってきたこともあるかもしれませんが、その甘いものの中でも圧倒的に食べているのは、チョコレートのような気がするのです。

 いつもいつも贅沢なメゾンのチョコレートを食べているわけではありませんが、家には、必ず板チョコの買い置きを欠かすことはありません。

 なぜこうなったのかはわかりませんが、恐らく、比較的、安価で気軽に手に入るわりには、美味しいからです。スーパーマーケットなどに並ぶチョコレートの数はものすごい量で、しかも、結構、クォリティが高いように思います。

 日本でも有名なショコラティエなどのチョコレートもほとんど網羅していると思います。とはいえ、そんな高級チョコレートは、日本へのお土産や、ノエルやイースター、お誕生日などの特別な機会ぐらいしか、買いませんが、それでもこの20年ほどの間には、かなりのお店を訪れました。

 ジャン・ポール・エヴァンなどは、それこそチョコレートの温度を保つために店内のお客さんの入場制限をするほど、品質管理に厳しく、パトリック・ロジェなどは、お店に入った途端にカカオの香りに包まれ、店内には、美術館かと思われるようなチョコレートでできた彫刻が並んでいたりします。

 しかし、ほとんどの有名なショコラティエは、日本に入ると値段が跳ね上がることはありますが、ほぼ、日本に進出していないお店はなく、日本に行く際のチョコレートのお土産(リクエストも多い)には、悩ましい思いをしていました。

 フランスのパティシエ、ショコラティエなどは、有名になって、海外に進出したい場合、まず、日本を選ぶ傾向にあるような気がします。

 昨年だったでしょうか?偶然、日本でサロン・ド・ショコラをやる際には行列ができ、最近、人気だという「ベルナシオン」というショコラティエがまだ日本には、店舗が進出していないという話を聞いて、一度は行ってみたいとずっと思っていました。

 もともとは、リヨン発祥のお店でパリにもお店ができたと聞いていたので、サイトで店舗をチェックするとリヨンに2軒、パリに1軒、そしてJAPON mitsukoshi-isetan shinjyukuと書いてあります。

 なんだ、日本にもあるのか・・と思いながらも、日本で有名な女性タレントさんがYouTubeで、ここのチョコレートを大絶賛していたりしたのも見かけていたので、とにかく、一度は食べてみたいと思い、ロックダウンが明けると、勇んで出かけて行ったのです。

   

思っていたよりずっとこじんまりとしたお店

 パリの店舗は、思ったよりもずっと小さいお店でしたが、ずっと食べてみたいと思っていたチョコレートにウキウキとした気分でした。

 ちなみに・・と思って、店員さんに、日本にもお店があるんですか?と確認してみると、「日本では、日本のサロン・ド・ショコラの時に出店するだけ」とのこと。

「なら、サイトに日本の店舗みたいに載せるなよ・・」と内心、思いながらも、「これは、日本では、簡単には、手に入らない!お土産にいいじゃない!」と思って、店員さんと話をしながら、店内のチョコレートを眺め、結局、そのお店のスペシャリティで一番人気だという「パレ・ドール」というチョコレートにすることに・・。


 

 そして、ご丁寧にも店員さんが、「一つ食べてみる?」と言ってくれたお言葉に甘えて、パレ・ドールを一つ試食。ワクワクしながら、一口かじって、よ〜く味わって・・「ん???」「えっ???」もう一口かじって、また「ん???」「えっ???」と困惑。

 思っていた感じではありませんでした。

 とりあえず、せっかく来たのだから、家に帰って、娘ともう一度、味見してみようと、その「パレ・ドール」の一番小さな箱と、「パレ・ドール」でできた板チョコを買って帰りました。

 家に帰って、娘も試食。「うん。美味しいけど、なんか普通・・」そうなんです。「美味しいけど、そこまで騒ぐかな?」という感じだったのです。

 期待が大きすぎたせいもあるかもしれませんが、なんだかガッカリしてしまったのです。

 勝手に盛り上がって、勝手に失恋した・・そんな気分でした。

 これは単に私の味覚の好みによるもので、私の味覚がこのチョコレートの良さを理解できるほどではなかったということかもしれないので、特にこのお店のネガティブキャンペーンのつもりはありません。

 あれからも、先日、ちょっと日本の従姉妹に贈り物をしたくて、チョコレートを色々と探して、食べ歩いたのですが、結局のところ、これまでのお気に入りは、クラッシックではありますが、「メゾン・ド・ショコラ」で、このお店ばかりは、いつ行っても、いつ買っても、決して裏切られる(勝手な見解ですが・・)ことはなく、一粒のチョコレートで、極上の至福の時を味わえるのです。

 一人当たり年間約7㎏のチョコレートを消費すると言われているフランス人ですが、私も知らず知らずのうちに、そんな一旦をになっているようになっているのかもしれません。


<Bernachon Paris> ベルナシオン 127 Rue de Sevres 75006 Paris


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