2021年6月9日水曜日

マクロン大統領 地方行脚中に平手打ちをくらう

                                                              

    Emmanuel Macron a reçu une gifle ce mardi 8 juin lors d'un déplacement dans la Drôme.


 現在、次回の大統領選に向けての地方行脚中のマクロン大統領が訪問地のドローム県(フランス南東部)のタン・エルミタージュで近辺に集まった群衆の一人から突如、平手打ちをくらったという事件にフランスは、一日中、そのニュースで大騒ぎになりました。

 その日、マクロン大統領は、ホテル学校を訪問。本来は、この場所での住民とのふれあいは、予定には入っていなかったために、彼は一度は車に乗ったものの、近辺に集まっていた群衆に挨拶するために車を降り、群衆に駆け寄って、握手を始めてまもなく、突然、その中の一人から腕を掴まれ、平手打ちをくらったのでした。

「モンジョワ、サン・ドニ、マクロニー!」と叫びながら、マクロン大統領に平手打ちをくらわせた男は、その場ですぐに取り押さえられ、周囲のおばちゃんたちからは、「私たちは、痛いことしないから、早くこっちに来て!」などの訳のわからない声も上がり、マクロン大統領は、平手打ちにひるむこともなく、集まっている群衆に笑顔で応え続け、彼らとの握手・ふれあいの時間は続けられました。



 だいたい、このように集まってくる人たちは、マクロン大統領を応援している人々で、マクロンよりの人々、周りの聴衆は、この男に大激怒、一様に非難し、ブーイングが起こり、余計にマクロンを支持する雰囲気が高まりました。

 このマクロン大統領平手打ち事件で、平手打ちをくらわせた本人とその仲間と思われる二人の男はすぐにその場で逮捕されましたが、取り押さえられてもなお、彼はマクロン大統領に向かって、「この場から立ち去れ!消えろ!」と叫び続けていました。

 何か事件が起これば、周囲の人の証言には、よくあることですが、この逮捕された男を知る人は、こぞって、「そんなことをする人ではない・・むしろ、いつも穏やかな人だった」と語っています。

 犯人は、サンヴァリエ(ドローム県)出身の28歳の男で、歴史的武術の信奉者であり、自身のインスタグラムには、彼自身が中世の衣装を身に纏った姿がアップされています。

 また、ル・フィガロ紙は、彼は剣を使った日本の武芸である剣道の実践者でもあると付け加えています。

 しかし、警察からはノーマークであったこの犯人の犯行動機は現在のところ不明です。

 逮捕された二人の男は、黄色いベスト運動に参加しており、ただちに、周囲にいた黄色いベスト運動を呼びかける人々などは、退去を命じられていました。

 彼は、刑法第 222-13 条により、「公権力を持っている人物に対する故意の暴力」で警察に拘留され、3 年の懲役および 45,000 ユーロの罰金に処せられる可能性があります。

 数日後、彼には、懲役18ヶ月(実刑4ヶ月、執行猶予14ヶ月)の判決が下り、すぐに刑務所に移送されました。

 実際に、フランスの政治家があまりに国民と近い場所に、度々、現れることに対して、危険ではないのだろうか?と思っていましたが、この時とて、武器が用いられなかったのは幸いであったにせよ、この血の気の多い人々の中に飛び込んでいく政治家も、これが慣例のようになっているだけに、この事件にひるんで、地方行脚を中断するわけにも行かないだろうし、そんなつもりも毛頭ないことでしょう。

 地方行脚の様子を見ていると、握手をしたり、一緒に写真を撮ったり、どこへ行っても大人気、ちょっとした人気タレント以上の神対応ぶりです。

 こんな事件が起こると、過去に群衆から襲われた政治家の映像が続々と流され、過去にマクロン大統領が卵を投げつけられた映像や、他の政治家が小麦粉を振りかけられたり、(この人はグルテンアレルギーだったらしい)、タルトを投げつけられた映像がテレビでは流されています。

 今回は、平手打ちでしたが、投げつけられるものが、小麦粉や卵・・なんともフランスだな・・と変なことに感心してしまいました。

 それよりも、感染状況は、改善し始めているとはいえ、まだまだ感染がおさまってはいない状況での来年の大統領選挙のための地方行脚。

 このような平手打ち騒ぎ以前に、人が集まる機会を全国で作って歩くことなど、日本だったら、さぞかしバッシングのネタになりそうだ・・と思ったりもするのですが、実のところ、フランスでは、もうすっかり、日常への開放モードで、地方行脚で人が集まる危険などを問題にする人は誰もいないのです。


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