フランスには、地震というものがないからか? フランス人は、災害というものに対して、少々、弱いのかな?と思うことがあります。今回のパンデミックは、災害と言ってもよいような規模のものでしたが、これは、ちょっと例外的な出来事で、一般的な災害とは少し違っています。
それでも、最近のフランスでの災害といえば、洪水で、しかも、街中が水浸しになるような、かなりの被害です。
私がフランスに来たばかりの頃(20年以上前)は、大雨が続いたりすると、セーヌ川の水位が上がり、水位が上がるとバトームーシュ(パリ市内のセーヌ川の遊覧船)が橋の下を通れなくなって、欠航になっている・・などという話は時々、耳にすることはあったのですが、街中が水浸しになるなどということはありませんでした。
しかし、ここ5〜6年は特に、洪水の被害の話を頻繁に聞くようになり、すぐにセーヌ川が溢れ、こんなに度々、川の水が溢れ出すのに、なぜ対策を取らないのか不思議に思ってきました。
しかも、街中が水浸しになったり、床上浸水するほどの被害が出ているにもかかわらずです。山の中でもあるまいし、都会の街中での話です。
つい先日もイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)のウイユ(イブリーヌ)という街が集中豪雨のために、通りが浸水し、排水網が水を捌き切れずに、街ごと水浸し状態になり、消防隊要請の電話が600件以上にも上り、終いには、「命の危険がない場合は電話しないでください」とまで言い出す始末に・・。
セーヌ川はパリの真ん中をジグザグしながら、パリの北と南を分けるように約8㎞にわたって流れているので、パリの中心は、どこへ行ってもセーヌ川にぶち当たるような感じもあり、また、この街中を流れる水のある景色がこの街に風情を加えています。
RATP(パリ交通公団)のマークに入っているこのブルーのラインは、パリとパリに流れるセーヌ川を表したものであると言われています。
#PetitJeComprenaisPas que le logo de la #RATP représentait Paris et la Seine. pic.twitter.com/KDJDTE4AYb
— RATP Group (@RATPgroup) March 15, 2016
パリの街に趣を与えてくれるセーヌ川は貴重な存在で、1991年には、世界文化遺産としても登録されています。逆に世界遺産などになると、余計に手を加えにくいところもあるのかもしれませんが、洪水被害がこう頻繁に起きては、このまま放置するわけにも行きません。
以前は、6月にこんなに気温が上がることもなかったし、真夏の猛暑もパリにはありませんでしたが、ここ数年は、夏には40℃を超える異常気象。かと思うとアフリカのような豪雨。
明らかに地球温暖化による気候の変化だと思われますが、フランスでは、対策として、自動車の規制やスーパーマーケットのレジ袋の廃止などのプラスチック問題や、冬場のカフェのテラス席に使われていた暖房器具の禁止や外気が30℃以上の場合の冷房使用時には、ドアを閉めるなどの規制も敷かれています。
しかし、2014年、2015年に制定された地方分権法により、コミュニティ間(大都市圏、都市コミュニティ、自治体)が環境の管理と洪水の防止対策を取ることができるようになっているにもかかわらず、たくさん起こっている洪水被害に対する直接的な対策は何も取られていません。
こう頻繁に水害のニュースが上がってくる映像を見ていたりすると、発展途上国でもないのに、なんでこんなことに??と思わずにはいられません。
さらに被害が深刻になると予想される将来のための壮大な小さな一歩一歩的な対策は、進んでいても、すでに起こっている現実の被害に対する対策が取られていない状態です。
2024年のオリンピックはパリだそうですが、夏場の異常気象とともに、オリンピック開催中に、大雨で洪水・・なんてことにならないように、これを機に何か対策を講じてくれることを願ってやみません。
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