フランスは、日々、確実に感染者数も減少し続け、今では、ほぼ日本と同レベルの数値にまで達しています。一時は、フランスの感染者数は日本の20倍以上もあったことを考えれば、飛躍的な回復です。
そんな上向きの状況にフランスは、すっかりウキウキモードです。サッカーのヨーロッパ選手権の試合に熱狂し、昨日は、ラグビーの試合がスタッド・ド・フランス(スタジアム)で行われ、試合開始前には、マクロン大統領まで現れ、マスクはしているものの、選手一人一人と言葉を交わしながら握手。
これまでは、握手は避けて、肘と肘を付き合わせる挨拶をしていたのに、握手???と、大統領もすっかりリラックスモードになっていることを感じずにはいられませんでした。
しかし、そんなウキウキモードに忍びよってきているのが、デルタ変異種で、今やフランスの感染者の10%はデルタ変異種によるものに移行しており、フランスでも、とうとうデルタ変異種による2名の死亡者が確認されました。
デルタ変異種により死亡した42歳と60歳の2人には、感染した場合に悪化するリスクが高いと言われる既往症があり、ワクチン接種は受けていなかったということです。
この2名が死亡したジェール県や近辺のランド県(フランス南西部)では、デルタ変異種の感染者が大幅に増加していることが確認されています。
「本格的なバカンスシーズンで多くの人が国内外を行き来し始める前に、この感染性も強く、威力も強いデルタ変異種の感染拡大を止めなければならない」とこの地域の保険機構は、行動制限の強化とスクリーニングとワクチン接種を急ピッチで拡大していくことを発表しています。
そして、このデルタ変異種を警戒する世界各地のデルタ株対応のニュースが日々、新しく舞い込んできます。
インドはもちろんのこと、イギリス、ポルトガル、南アフリカ、ロシア、オーストラリア、イスラエルなど、デルタ変異種は、これまでのイギリス変異種に置き換わって、威力を拡大しています。
南アフリカでは、1日に18,000件を超える新規感染者が報告されており、第3波が第2波のピークを超える可能性が高いと発表しています。
また、ポルトガルでは新規感染者の51%以上がこのデルタ株によるものになっており、完全なリバウンド状態を起こしています。ポルトガルでは(スペインも)検疫なしでのイギリスとの国境を解放しはじめていたのです。
そして、これまでのところ、かなりコロナウィルス感染を封じ込めてきたオーストラリア・シドニーでは、このデルタ変異種による感染者が80名以上も発見され、デルタ変異種を封じ込めるために、週末から2週間の再ロックダウンの措置を取ることを発表しました。
また、ロックダウンです!
シドニーでは、これまでに感染はほぼ抑えられており、普通の日常生活が戻ってきていただけに、500万人以上のシドニー市民にとって、このデルタ変異種の拡大と再度のロックダウンは、衝撃的なものでした。
あれだけ飛躍的なワクチン接種率を誇っていたイスラエルでさえも、このデルタ変異種の感染拡大を警戒し、一度は、外されたマスクが屋内の公共施設やオフィス内で義務化が復活されることになりました。
EU圏内でも、バカンスシーズンが本格的に突入する前に、デルタ変異種をはじめとする衛生対策、制限措置を共有・調整することが決定され、「未だ薄い氷の上を歩いている状態である」とし、共通の認識の上に検疫等の一定の制限措置を置きつつ解放し、パンデミックが再び拡大した場合には、「緊急ブレーキ」をかけるという同意を確認しています。
世界保険機構(WHO)は、「デルタ変異種は、これまでに特定された変異体の中で最も伝染性が高く、現在少なくとも85か国に広がっている」と警告しています。
それにつけても、世界中がこんな状態なのに、「東京オリンピック・・・」想像するのも恐ろしくなってきました。
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