イギリスは、ロックダウンと、何よりもワクチン接種のめざましい拡大により、感染状況が劇的に減少し、世界で、アメリカと肩を並べて、いち早く日常生活を取り戻しつつありました。
我が家でも、「ワクチン接種が2回済んだら、ロンドンくらいなら、行けるかもしれないね・・」などと話していたのです。
しかし、ここへ来て、イギリスで今度はインド変異種が拡大し始めた(一部の地域で)というニュースに、ようやく日常生活を取り戻し始めたフランスは、イギリスでのインド変異種の感染拡大を警戒し始めました。
インド変異種への警戒政策のスタートを切ったのは、まずドイツでした。ドイツは、今週の日曜日(5月23日)の段階で、すでにイギリスは、アジア、アフリカ、アメリカの11か国とともに、再び高リスクゾーンに指定され、イギリスとの貿易を制限し、イギリスからは、現在、航空会社、バス、電車は、ドイツ国民またはドイツに住む人々の入国のみが許可されており、イギリスからのすべての旅行者は2週間の強制検疫の対象になっています。
フランスは、ドイツに続いた形になりますが、26日(水)に、ロンドンから戻ったフランス人は、急に自分が隔離状態に置かれることになったことを知り、驚きを隠せないほど、急な決定になりました。
以前にイギリス変異種が拡大し始めた頃、あの時も突然の国境閉鎖で、国境付近で荷物を運ぶトラックが何百台も足止めを食い、大変な騒ぎになりました。
インド変異種は、イギリス変異種に比べて50%も感染率が高いと言われている一方で、現在、イギリスでインド変異種に感染している人々は、ワクチン接種をしていない、あるいは、1回しかしていない人に限られており、ワクチンはある程度、有効であると言われています。(イギリスの研究によると、ファイザーの2回投与はインドの亜種に対して88%効果的だとされています)
とはいえ、歴史的背景もあり、インド・パキスタンコミュニティが一定数存在するイギリスでは、インドとの往来も多く、イギリスでのインド変異種は3月から始まっていたと思われますが、ここ6〜7週間で、イギリス変異種を上回り、インド変異種が優勢になってきています。
せっかく劇的な感染減少を遂げてきたイギリスは、ここ一週間でこのインド変異種のために160%感染が増加しているとイギリスGuardian(ガーディアン)紙が、発表しています。
フランスでのインド変異種は、現在100例程度、38のクラスターが発見されていますが、今のところ、そこまで深刻化はしていないようです。しかし、なんといっても、日常生活がようやく再開され始めて、一気に人が外に出始めたタイミングだけに、ここで再び問題が拡大することを恐れて、今回のドイツよりは少し緩い、イギリスからの旅行者に対しての強制隔離という措置に踏み切ったようです。
この措置を取っている間に、とにかく少しでもワクチン接種を拡大していくことがさらに、必須になってきます。とにかくワクチン!ワクチン!ワクチン!です。フランスでは、このタイミングで、同時に一部の職業に携わる人に限って、ワクチンを義務化する方向で検討が始められています。
イギリスは、EUを離脱し、島国であるとはいえ、実際には、フランスとは陸続きも同然、ユーロスターや海峡トンネルもあり、貿易も人の往来も多い、下手をするとフランス国内の地方都市よりも人の行き来は多い国です。
人口の55.7%がワクチン接種を済ませているイギリスでこのような劇的な感染の再増加が見られている限り、まだ、人口の33.48%しかワクチン接種が済んでいないフランスは、少しでも早く、このインド変異種をシャットダウンしなければ、再びロックダウン状況に逆戻りです。
ようやく取り戻し始めた日常生活を全力で満喫しているフランス人ですが、一度、解放されたものを、それこそ夏のバカンス前に逆戻りなんてことになれば、彼らは、感情を爆発させるに違いなく、なんとか今の段階でインド変異種は食い止めてもらいたいものです。
世界がこの開けたり、閉めたりしている状況で、日本のオリンピック・・どうなることやらと思います。
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