2021年5月30日日曜日

パリ・ベルシーで5,000人参加の実験コンサート開催

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 パリで屋内コンサートが行われたのは、2020年3月以来、およそ14ヶ月ぶりのことでした。この1年以上の間に、もはや、この人混みの映像を見るだけで、思わずギョッとするようになってしまいました。

 このコンサートは、フランスの人気ロックバンド・アンドシーヌというグループのコンサートですが、感染状況が改善している傾向にあり、ワクチン接種も拡大していく中、このような屋内コンサートがどの程度、どんな状態ならば、開催可能であるかを実験するAP-HP(パリ公立病院連合)後援の実験コンサートでした。

 今回のパンデミックで甚大な被害を受けているエンターテイメント業界にとっては、この先、どのような状態で再開が可能なのかを知ることができる非常に期待されている実験です。

 コンサートは、感染した場合のリスクの少ない(肥満、高血圧症などのない人)年代18歳〜45歳の20,000人集められたボランティアの中から、3日間にわたるPCR検査の結果、陰性であった人7,500人が選ばれ、5,000人がコンサートに参加し、2,500人が在宅を義務付けられています。

 これまで、5月19日以来、着席状態、一定のソーシャルディスタンスを配慮した屋内での催し物は再開できるようになっていましたが、このようなライブコンサートは、初めてのテストケースです。

 コンサートは、5,000人の観客が全員マスク着用を義務付けられたものの、通常のライブの感覚により近い着席しない(ソーシャルディスタンスを取らない)スタイルで行われ、場内のカメラでコンサート中のマスク着用も測定されています。

 この実験に参加した人々は、一週間後に再びPCR検査を行い、コンサートに参加できなかった(2,500人)のケースと比較されることになっています。このテストにはTousAntiCovid(フランスの感染者追跡アプリ)のテストも含まれています。

 これまでスペインやイギリスでも同様のテストコンサートが行われていますが、深刻な感染には至っていませんが、各国、感染状況もワクチンの接種状況も異なる中、フランスは、フランスでの実験が必要であったと思われます。

 それにしても、20,000人が集められて、結果5,000人+2,500人にも及ぶ壮大な人体実験には、驚かされますが、これも今後の日常生活再開に不可欠なリスクを最大限控えてのもので、個人的には、とても重要なものであったと思っています。

 結果は、6月に発表され、今後の衛生対策に反映されるということですが、このような科学的な実験結果の数字は、どちらに転んだとしても、国民に対しては説得力のあるものになると思われます。

 これまでパンデミック以来、禁止されているにも関わらず、いくつものコンサートが行われてきたフランスですが、人々がそうまでして参加したかったコンサートをどのようにすれば、開催することが可能になるのかをフランス政府も必死に模索しています。

 東京オリンピックはこのような実験が不可能なことを非常に残念に思います。


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