2021年5月18日火曜日

フランスのニュース番組を見ていて思うこと フランスの政治家の話すチカラ

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 昨年のパンデミックが始まって以来、フランスは、第1波、第2波、第3波と、引いては押し寄せる波をいくつも経験してきました。フランスのコロナウィルスの感染状況の経過は、世界的に見ても、決して誇れる状況ではありませんでした。

 そして、この間に、私には、毎晩、いくつかのチャンネルのニュース番組を見る習慣ができました。特に第1波のロックダウンの際は、ほとんど外に出ることはできませんでしたし、かつて経験したことのない命に関わる深刻なウィルスの蔓延に、現在のフランスの状況を知らずにいることは、不安で仕方なかったからです。

 ネットで調べれば、今は、世界各地の色々な媒体の情報を収集することが可能ですから、色々な情報を調べて、どの情報が正しいのか、色々な情報を見ながら、自分はどうするべきなのかを選択することができます。

 しかし、手っ取り早いのは、やはりテレビのニュース番組ですが、ある程度の情報を自分で調べていれば、これは違うだろ・・などと、全てを鵜呑みにすることもなくなります。

 フランスでは、コロナウィルス関連のニュースだけでなく、毎日のように陰惨な事件が起こっていますが、ここのところ、フランスのニュース番組を見ていて特に感じるのは、大臣クラスの政治家が実に頻繁にニュースの生番組に登場し、国民と向き合おう、国民に少しでも寄り添おうとしている姿です。

 昨日もオリヴィエ・ヴェラン保健相が、BFMTV(フランスのニュース専門の公共テレビ局)の番組に2時間近くも生出演し、直に国民からの質問に答えながら、今後のロックダウン解除の見通しや、ワクチン接種に関してなどの話を専門家を交えて話すようなプログラムでした。

 中には、「わざわざ、大臣にこんなこと聞くのか?」と思うような質問もありましたが、かなり厳しめな質問も容赦なく問いかけられます。予め、ある程度は、準備している項目もあったでしょうが、一つ一つの質問に自分の言葉で、しっかりと答え、少しでも国民の理解を不安を取り除き、政府の政策を説明し、説得している様子は、日本の政治家には、ないことだろうな・・と思いました。

 フランスでは、コロナ関連だけでなく、次から次へと起こる事件に関しても、ここのところ、特にカステックス首相をはじめ、保健相、法務相など、大臣クラスの人が頻繁にニュース番組に出演して、問題に対するフランス政府の対応を語っています。

 フランスのお国柄というのもあるのでしょうが、現在の政権の政策の一つであるとも思われます。彼らは、とても話すことが上手で、ある程度のスクリプトはあるにせよ、自分の言葉で、しっかりと語り、説明します。質問者への理解も示しながら、時には笑いを誘うようなことも交えながら、実に見事に答えていきます。

 フランスの一般市民とは違って、「これは、私の仕事ではない」などと、回答を逃れることもありません。

 今、日本では、コロナウィルス感染に対する緊急事態宣言云々の話やワクチン問題、オリンピック開催問題に対して、日本国民は、大きな不安を抱えていると思います。それに対する日本政府の対応や説明に納得していない人は多いのではないかと思います。

 フランスとて、このような番組があるとはいえ、国民を説得しきれているわけではありませんが、少なくとも国民の不安に答えようとしている政府の姿勢は感じることができます。

 日本にもこんな番組があって、首相でも大臣でも、政府のある程度の責任者がしっかりと答えてくれる機会があればいいのにな・・視聴率だって、かなり取れるだろうに・・しかし、しっかり話のできる大臣はいるだろうか?などと、フランスのニュース番組を見ながら思ったのでした。

 私もオリヴィエ・ヴェラン保健相に聞いてみたかったです・・「東京オリンピックに関してどう思いますか?」と・・。


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