フランスは、今週に入って、ロックダウン解除の第一段階が始まったばかり、中学生・高校生が学校に戻り、10㎞以内の移動制限も撤廃されました。
ここ数日、新規感染者数も2万人台までに下がり、集中治療室の患者も一時は、6千人を突破していたものの、現在は、5,106人にまで減少し、全体的にも減少傾向にあります。
そんなフランスは、早くもロックダウン解除モードに一気にアクセルがかかり、早くもバカンスに出かける人や、バカンスの予約をする人も急増し、日常モードに一直線に突き進んでいる感じがします。
今週の初めにインタビューに臨んだオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「コロナウィルスの制御は慎重に加速していますが、油断してはいけません。この意味でも、制限解除のスケジュールは非常に良いスケジュールです」と述べています。
そして、「ワクチン接種は深刻な状況から保護することは確実であり、ウイルスの拡散のリスクから十分に保護すると信じています。充分な数のフランス人がワクチン接種を受けた場合は、警戒を弱めることを検討できます」と続け、「この6月末までのロックダウン解除のシナリオの続きは、何ですか?」と尋ねられた彼は、「屋外でのマスク着用の義務化が夏には撤廃することができるようになることを望んでいます」と答えました。
もともとマスクが大嫌いなフランス人(誰でも好きではないと思うけど・・)にとって、この保健相の「夏には、屋外のマスク義務化撤廃」の発言が、その他の様々な彼の発言をすっ飛ばして、広がる結果になり、次々と屋外でのマスクなしでの感染のリスクについて、語られ始めました。
感染のリスクに関しては、ますます多くの専門家が屋外には存在しないことに発言し始めています。いくつかの研究では、外部の汚染はすべてのケースの0.5〜5%に相当するため、非常に低いことが示されています。したがって、一部のウイルス学者は、屋外でのマスク義務化を撤廃することを要求し始めています。
しかし、保健相が言う、この次のステップ(屋外でのマスク義務化撤廃)は主にワクチン接種の進捗に依存していることは言うまでもありません。
一方、パスツール研究所(Institut Pasteur)(パリにある生物学・医学研究を行う非営利民間研究機関)の生物学的緊急対応ユニットを担当するジャン・クロード・マヌゲラ氏は、感染のリスクが「屋外で低い場合でも、それはまだ存在している。外では、誰かがくしゃみをしてマスクを着用していなければ、充分に感染の危険はあります。従って、外部環境では、必然的に換気が良くなり、したがって非常に大きな希釈効果がある場合でも、エアロゾルによる感染が発生する可能性があります。」と警鐘を鳴らしています。
フランスの公衆衛生局も屋外でのマスク義務化撤廃は、ワクチン接種が国民の60%以上に達しない限り危険であるとしています。
屋内・屋外でもマスクを外せるようになるのは、ワクチン接種率90%以上に達した場合であるとパスツール研究所も発表しています。
現在のフランスのワクチン接種は、25.62%(2回接種した人は11.68%)(5月6日現在)のみ、オリヴィエ・ヴェラン保健相が夏には、屋外でマスクを外せる時が来ることを望んでいると発言すると言うことは、夏までには、国民の60%までのワクチン接種が拡大することをひとまずの目標としているということです。
現在、フランスでは、ワクチン接種拡大の大キャンペーン中。来週の火曜日の夜には、オリヴィエ・ヴェラン保健相自ら、白衣を着てワクチン接種に参加することを(彼はもともと神経内科医)発表しています。
おそらく彼が言いたかったのは、「夏には、外ではマスクが外せるようになるから、それまでは、我慢して!」ということだったと思いますが、思いの外、注目されたのは、肝心な「だから今は我慢して!」ではなく、「夏には外でマスクを外せる!」の方であったことはいかにもフランスな結果です。
昨年、屋外でマスクが義務化されたのが、感染が一時、減少したにもかかわらず、人々がバカンスで感染を撒き散らした結果が出始めた8月のことでした。
今年は、ワクチンという強い味方がつきましたが、その進捗状況によっては、また同じ悲劇が起こらないとも限りません。
どちらにしても変わらないのは、フランス人は、今年の夏も絶対にバカンスに出るということだけです。
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