先日、数年ぶりにルーブル美術館へ行って、帰り道、あまりに閑散としているリヴォリ通り沿いのお店を気の毒だなぁと思いながら、それでも、久々に通るこのあたりの風景に、そういえば、ここには、こんなお店があったとか、もうちょっと行くとサン・ロック教会だな・・とか、サン・トノーレ通りだな・・とか、少しずつ思い出し、「あぁ・・そう言えば、もうちょっと行くと、アンジェリーナがある!」と思い出して、「久しぶりにアンジェリーナに寄って、モンブランを買って帰ろう!」と名案を思いついたのでした。
本当は、ルーブルの中をさんざん歩いて、本当は、もう歩きたくはなかったけれど、モンブランのためだと思うと、元気に歩けるから現金なものです。
私は、特にモンブランが好きで堪らないというわけでもないのですが、アンジェリーナのモンブランは、別です。というか、私は、アンジェリーナのモンブランを食べて以来、モンブランが大好きになりました。
アンジェリーナは、1903年以来、パリのリヴォリ通りにある、今年で創立118年を誇る老舗の洋菓子のサロンです。店内は、ベル・エポックの有名な建築家、エドワード・ジャン・ニールマンスによってデザインされたもので、その装飾は、優雅さ、魅力、洗練を兼ね備えています。
歴史あるこのお店は、パリの貴族にとって欠かせない有名なお店で、プルースト、ココ シャネルなども通った場所として知られており、ことに「モンブラン」と「ホット・チョコレート」で有名なお店です。
モンブランは、メレンゲの上にのった濃厚な生クリームがマロンクリームに包まれているだけのシンプルなものですが、小細工してない分だけ、生クリーム・マロンクリームそのものの味が引き立つ絶品です。
一見、しつこいような感じもしますが、しっかり固まっているのにふわっとしているクセのない生クリームとマロンクリームは、素晴らしく相性がよく、上品な口どけに、後味もよく、あっという間に食べてしまいます。
しかし、不思議なことに、フランスでは、モンブランを置いている洋菓子店は、そんなに多くありません。一般的なフランスの洋菓子店は、どこへ行っても、まるで決められているかのようにミルフィーユとかエクレアとか、タルトとか、同じものばかり・・モンブランを知らないフランス人も少なくないのではないかと思われます。
意外なことですが、もしかしたら、モンブランという洋菓子自体の認知度は、日本よりフランスの方が低いかもしれません。
我が家の近くの洋菓子店でも、まずモンブランを見かけることはなく、ようやく見つけても、どうしてもアンジェリーナに及ぶものではありません。
一度、冷凍食品のお店PICARD(ピカール)でモンブランを見つけて、喜び勇んで買って帰りましたが、まあ、この値段なら、これで仕方ないか・・と思う程度のもので、また買おうとまでは思いません。(ゴメンねピカール!)
ネットで調べてみたら、アンジェリーナのお店は、フランスで、10店舗。日本に7店舗、シンガポール、上海、ニューヨークにそれぞれ1店舗ずつ。日本にいかに美味しいものが入っているかが伺われます。
フランスの洋菓子店などが海外進出をする場合、まずは、日本に出店して、様子を見る・・フランスにとって、日本は海外進出における大きなマーケットなのがわかります。
しかし、日本に進出するような高級店舗や高級食料品は、フランスの一般庶民には、意外と知られていないのも皮肉なことです。
以前、日本であれだけ高価な値段にも関わらず人気なエシレバターをフランス人は意外と知らないことにびっくりしたことがありましたが、とうとうとフランスの食べ物を語るわりには、意外と美味しいものを知らないフランス人は、食べ物に関しても意外と保守的で、質素です。
灯台下暗しで、フランスにある本当に美味しいものを意外とフランス人は、知らないのです。
お値段もなかなかで、モンブランは1個7ユーロ(現在のレートで約930円)、そうそう気軽に買える値段ではありませんが、モンブラン1個だけ買っていくという人も少なくないらしく、全然、気兼ねすることなく、「モンブラン1つ下さい」と言えるし、モンブラン1個用の箱や紙袋も用意されています。
ここ数年、近くに寄ることがなくて、食べたいと思いつつも食べ損ねていたモンブランは、変わることなく、美味しくて、大満足。以前と全く変わることなく、変わったことといえば、「一緒にスプーン、つけますか?」と言われて、つけてもらったスプーンがプラスチックではなく、木のスプーンになっていたことぐらいでした。
久しぶりのモンブランに寝た子を起こされた気分の私。
また近いうちに、買いに行くつもりです。
アンジェリーナ本店 226 rue de Rivoli 75001 PARIS 10:00~19:00 無休
東京では、日本橋三越に入っているようです。
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