先日、世界経済フォーラムが2年に1度を目処に世界117カ国を対象に行った調査により、観光資源や、交通インフラの利便性や自然や文化の豊かさなどが評価され、2007年の調査以来、初めて日本が1位になったというニュースに日本の観光産業が世界に認められたと、日本人として、とても嬉しく思いました。
ちなみに、2位はアメリカ、3位スペイン、フランスは4位でした。
海外に住んでいても日本が世界的な評価を受けることは、「ほらね・・そうでしょ・・」と誇らしい気持ちなのです。しかし、2年に一度ということは、このパンデミックで日本がほぼ鎖国状態だった期間以来の調査。ちょっと複雑な思いがないこともありません。
しかし、パンデミックで観光がストップしてしまう前までは、フランス人も本当に日本に行く人が増え、2年前までは、日本行きの直行便などは、乗客のほとんどがフランス人だらけというちょっとびっくりするような状態になっていました。
しかし、パンデミック以来、日本の水際対策措置により、外国人は外国人であるというだけで、ほぼ完全シャットアウト状態が続き、この制限の仕方もいかがなものか?と思ってきました。
もっとも、この間、日本人でさえも、日本への入国制限は厳しく、その時の感染状況によって、出発前のPCR検査に加えて、日本の空港到着後の検査、そして強制隔離施設での隔離、公共交通機関使用禁止、その後の自宅隔離期間などが義務付けられていて、日本に行くのはとてもハードルが高い期間が続きました。
ようやく日本到着後に隔離がいらなくなったのが、今年3月に入ってからで、その後も外国人の日本入国は、原則認められていませんでした。
それが、ようやく6月10日から、日本も外国人観光客を受け入れることを発表。それぞれの国や地域を青、黄、赤に区分して、地域ごとに入国条件を区別しています。
日本への観光客が期待できそうな国(欧米、アジア、豪州など)は、ほぼ全て青に区分されています。もちろんフランスも青です。
青に区分された国からの入国に関しては、ワクチン接種の有無に関わらず、72時間前の陰性証明書などの書類は現状通りに求められるようですが、入国時の検査は行われません。
赤の国からの入国は3日間の強制施設での隔離、黄の国からの入国は7日間の自宅等施設での隔離(3日後に検査をして陰性の場合はその後解放)が求められます。
水際対策強化に係る新たな措置に基づく 国・地域の区分について
この日本政府の決定により、多くの外国人が出発前72時間前の陰性結果で、到着時検査なしに日本に入国することになります。また、外国人、完全シャットアウトをしていた日本が極端な方法をとったものだと、ちょっと驚きでもあります。
しかし、よく見てみると、一応、「外国人の観光目的の日本入国は、旅行代理店等を受入れ責任者とする場合に限る」とされているので、ツアー客のみの受入れとなっています。旅行代理店を介しての観光とはいえ、色々なケースがあるので、これでどの程度、外国人観光客を管理できるのかは甚だ疑問ではありますが、基本的に日本人のように従順な国民はいないので、いくら旅行代理店を介在させたところで、そんなに甘いものではないのではないか?とも思います。
だいたい、一番、驚くのは、おそらく外国人観光客で、海外ではほとんどノーマスクの世界で生きている人々が日本のマスク率には、きっとビックリすることでしょう。そこで、日本に来ているのだから、日本のルール?に従う・・と思う人もいるかもしれませんが、そうはならない人もきっと、大勢いることでしょう。まあ、双方で、こんな世界もあるんだ・・ということを知り合うこともよいかもしれませんが、受け入れる日本側からしたら、ギョッとさせられることもありそうな気がしています。
日本は日本で、いい加減、もう少しゆったり構えてもいいと思うし、緩みきっているフランスのような国もいかがなものかとも思うのです。
一方、出発前72時間前の陰性証明書はともかく、「誓約書」や「質問票」などの不要な書類が引き続き求められることも、疑問です。現実的には、まだ入国時の検査を行った方が意味がありそうなものの、経費削減のために検査を省略するのだとしても、やっている感を醸し出すための「誓約書」や「質問票」なのではないか?と思ってしまいます。
これらの書類についてにしても、集めるだけでなく、本当にチェックしたりしているならば、結局は、それを何重にもチェックする人はいるわけで、人件費は必要なはずで、ちょっと理解不能です。
私が日本に行ったのは、今年の3月から4月にかけてでしたが、手続きを簡素化するはずのアプリをダウンロードして、必要な情報は入力しているにも関わらず、それとダブった内容の書類を提出し、そのチェックを何重にも行い、何のためのアプリなのか?と思いました。
せっかく世界経済フォーラムが日本を世界一の観光国と認めてくれたのですから、これから、再び、日本の観光産業が復活してくれることを祈っています。
しかし、考えてみれば、日本から海外旅行をする人に対しても青に分類されている国に行く限りは、日本に再入国の際の検査がなくなるということで、ハードルは少しだけ下がるので、日本からの観光客も少しは増えるかもしれない・・と期待もしています。
もっとも、禁止されているわけではなくとも、逆に日本人がマスクなしの世界に旅行するのは、やっぱりまだ怖い・・と考える人も少なくないのかもしれません。
どうにもこうにも、このギャップ、私はその両方をなんとなく微妙な気持ちで眺めている気持ちです。
しかし、コロナとは別の新たなハードルの一つを忘れていました。現在、パリ⇄日本のフライトは、ウクライナ戦争のために、直行便は再開したものの、迂回経路による長距離フライトのままでした。ただでさえ長いヨーロッパ線、長距離フライトは結構キツいのです。
6月から日本入国水際措置緩和 外国人観光客受入れ再開
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