パリの街並みはやはり美しいです。しかし、街並みは美しくても清潔であるかと言えば、そうでもありません。
JDD(Le Journal du dimanche)の行った世論調査によれば、実際にパリの住民の84%は自分たちの街が汚れていると考えており、73%が清潔さとその維持に不満を感じていると答えています。
パンデミックにより、数回のロックダウンを経て、一時はパリの街も至るところが消毒され、人出が極端に減少し、飲食店も閉鎖されたことから、その間は清潔さを保っていました。
しかし、ロックダウンが解除され、ワクチン接種が進み、ヘルスパスの起用により、人々がほぼ以前の日常と同じように街に出始めると、再び街の清潔さも失われ、不衛生な日常が戻ってきました。
日本人がイメージするおフランスのイメージのパリはシャンゼリゼやサンジェルマンデプレなどのごく一部であり、さすがにそんな場所はキレイに保っていますが、東京に比べれば、決して広いとは言えないパリにも、目を疑いたくなるような不衛生な場所が少なくありません。
日常が戻ってきて、駅の臭いトイレも戻ってきました。トイレだけが臭いならまだしも(それさえも信じがたいのですが)、駅の周辺までもが臭くなるのは、これが先進国なのか?と疑いたくなります。
私が時々、通るパリ・リヨン駅なども駅・構内に入るとそこはかとなく漂ってくるアンモニアを含む不快な匂いが戻りつつあることを感じています。
パリの地下鉄オペラ・オーベール駅も臭い駅として有名な場所です。
これらの匂いが駅に戻ってきたということは、人出が戻ったことが原因ではありますが、同時に駅での清掃、消毒作業がパンデミックが始まった頃のようには、もはや行われていないということでもあります。
また、このパンデミックをもってしても、フランス人の衛生観念は、改善されていないということでもあります。
パリの街中には、多くのゴミ箱がありますが、たくさんあるゴミ箱も利用する人はまだマシですが、そのゴミの捨て方も酷いのです。逆に日本(東京)に行ったことのあるフランス人は、ゴミ箱の少なさに驚いています。(ゴミ箱が少ないのにゴミが落ちていないこと)
また、住宅街の家庭が排出するゴミなどは、ある程度は分類されて、住宅施設ごとに纏めて管理人が出すのが普通ですが、引っ越しの際の大量の粗大ゴミが出されていたりすると、そこから掘り出し物を探すのか?近隣住民が寄ってきてゴミが大散乱していたりします。
パリ市は実に街を清潔に保つために年間5億ユーロを費やしているにも関わらず、パリの住民が不満に感じるほどにしか、その成果は上がっていないのです。
このパリという街を清潔に保つことに目を瞑り、改善しようとしていないパリ市に抗議して、この日曜日にはPlace de l'Hotel de Ville(パリ市庁舎広場)でデモまで行われました。
しかし、言わせてもらえば、パリの街を汚している張本人たちがパリを清潔に保つ努力をパリ市が行っていないと抗議するのは、なんともお門違いな話で、どのツラ下げて誰が物申しているのか?と相変わらず、自分たちがすべきことをせずに、言うことだけ言うフランス人に唖然とさせられます。
パンデミックはまだ終息していないにもかかわらず、以前と同じように街を汚し始めたパリジャンたちは、自分たちの街が汚れていると思い、それを不満に感じているようですが、自分たちの街を自分たちが汚しているとは考えていないようです。
今回のパンデミックにより、実にこれまでに117,052人の犠牲者を出してもなお、衛生環境がどれほど日常生活に大切なものであるか?それを個人個人の心がけにより変えていこうとはせず、問題の責任を国に押し付けようとする彼らには、パリの街を清潔に保つためには、ロックダウンの時と同じように、罰金・罰則が必要なのかもしれません。
フランス人の衛生観念
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