2021年10月9日土曜日

もしもフランスで地震があったなら・・それはパンデミックの被害にも表れている

  


 先日、日本で大きな地震があったことは、フランスでも、すぐに報じられていました。私自身、もう長いこと地震のない国にいるので、震度5強という自身がどの程度のものであったのか? 見当も付かなくなっていました。

 私の記憶に残っている日本での大きな地震は阪神大震災と東日本大震災ですが、阪神大震災があった時はまだ、私もまだ日本に住んでいましたが、私は東京に住んでいたため、さほどの影響はありませんでした。

 ただ、当時、祖母の病状がかなり悪く、転勤で関西にいた弟が祖母に会うために東京に来ており、祖母の病状が少し落ち着いたために、また関西に、よりにもよってバスで戻る帰途に着いた直後のことで、テレビで報道される阪神高速道路がぽっきり折れている様子などを見て、連絡がなかなかつかない弟を家族みんなでとても心配したことを覚えています。

 当時、既にあの世とこの世を行ったり来たりしていたような状態だった祖母が地震の起こる少し前に昏睡状態かと思ったら、ぱっちり目を開けて、「大きな地震が来るわよ、本当よ!」などと言っていたのを地震が起こってから、みんなで、「本当だったんだ・・」などと驚いたことを覚えています。

 その後の東日本大震災の時は、もう私はフランスにいたので、地震の様子はニュースでしか知ることはありませんでしたが、朝、起きていつもは見るとはなしに、なんとなくつけているテレビをつけると、「ジャポン!ジャポン!」という声が聞こえてきて、その後は津波で車や家が流されているような、ちょっと一瞬では理解できないような光景に、テレビに釘付けになりました。

 東日本大震災はフランスでも数日間にわたって特集が組まれるほど大きく報道され、フランス人でも知らない人はいないほどの騒ぎぶりでした。

 その頃通っていたスポーツジムで、これまで話をしたこともなかったフランス人から、「あなた日本人でしょ、ご家族は大丈夫だった?」などと話しかけられたりもしました。彼女は、「あんな大変なことが起こったのに、日本人は礼儀正しく、我慢強くお互いに労りあって素晴らしいわね・・フランスであんなことが起こったら、それこそ殺し合いが起こりかねないわよ・・」などと言われて、「なんだ、本人たちもわかっているんだな・・」などと思ったことを覚えています。

 最近は、気候変動のために洪水被害はやたらと増えたフランスではありますが、地面が揺らいだり、分断されたりする地震などの自然災害(天災)というものはフランスでは比較的少なく(というか地震はない)、どちらかといえば、人災の方が多いのではないかと思われます。

 今回のパンデミックは大きな災害ですが、この災害に慣れていないということがフランスの感染拡大を大きくしてしまったことは、大いに考えられる一因であったようにあらためて思います。

 先日の日本の地震について、フランスでも報道されてはいましたが、幸いなことに現在のところは東日本大震災ほどの被害には及んでいないこともあってか、こちらのニュースでは、「日本ではかなり大きな地震があったが、日本人は慣れているから大丈夫・・」などと言っています。

 日本の災害の多い環境が「常に起こりうる危機に備え、何が起こってもいたずらに騒ぎ立てず、周囲を思いやり、我慢強く耐える」日本人の国民性を培ってきたと思わずにはいられず、そんな日本人をやはり私は、誇りに思っています。

 地震などの災害が多い環境は、状況的には大きなハンディではありますが、そのことによって、日本人の尊さが育まれているのです。

 今回のパンデミックに関しても、その違いは明らかで、日本は結局、オリンピック・パラリンピックまで開催したにも関わらず、これまでの犠牲者(死亡者)は17,856人、フランスは116,991人です。単純計算でもフランスは日本の約6.5倍の犠牲者を出していることになりますが、実際は、日本の人口はフランスの人口の倍以上なので、事実上13倍の犠牲者を出していることになります。

 しかも、フランスでは、ほとんどの人が外出も禁止されているという完全なロックダウン状態(罰金・罰則付き)を2ヶ月間、その後も更に2度のロックダウンを行ってのこの数字です。

 約8ヶ月間にわたり飲食店は営業もできずにいたフランスは、「日本は時短営業などは、行っていても営業停止ではないよ・・」などと言うと、それでどうやって感染を回避できているのか?信じられない!とビックリしていました。

 日頃からの衛生的な環境や習慣もフランス人には到底、想像にも及ばないもので、フランスのパンデミック下の衛生状態は、おそらく日常の日本の衛生的な環境には至っていません。

 日本人の生活は日常から常にあらゆる危機的状況に備えられているので、フランス人に「日本人は慣れているから大丈夫」などと言われるのです。(悪い意味ではありません)

 それに比べてフランス人が慣れているのは、デモや暴動で、ちょっとやそっとのデモが起こってもフランス政府は慣れているのでびくともしません。

 この現実は、フランスで生活する日本人としては、なかなか微妙な現実です。

 もしもフランスで日本のような地震が起こったら・・想像するのも恐ろしいことになりそうです。



<関連記事>

「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」

「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」」

「東日本大震災から10年・マクロン大統領の日本へのメッセージ」

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

 

0 コメント: