17日、パリではANRS(Agence National de recherches sur le sida et les hépatites virales・エイズとウイルス性肝炎に関する国立研究機関)の支援により、AP-HP(Assistance Publique Hôpitaux de Paris)がパリの2ヶ所のナイトクラブ・ディスコでのコロナウィルス感染状況の実験を行いました。
すでにナイトクラブは、ヘルスパスの提示義務ならびに通常の75%入場者制限という感染対策のもとに再開されることが許可されていますが、この閉鎖空間でのリスクがどの程度リスクを伴うものであるのか、また、この制限の緩和の可能性を検証する実験です。
つまり、この実験は、閉鎖された場所でワクチン接種された者同士の間で、どの程度の感染のリスクがあるかどうかを科学的に証明するものです。
以前に同様の実験がコンサート会場で行われたことがありましたが、今回はさらに、リスクが高く危険視されている場所・ナイトクラブでの実験です。
この実験には、18歳から49歳までの2回のワクチン接種済みの2,200人が午後4時から11時という時間帯に参加しましたが、すでに、さらなる開放を待ちきれない若者たちでこの実験への参加をめぐって抽選が必要になるほどの希望者が集まりました。
実験の行われたナイトクラブでは、あくまでも通常の状況に近い形で営業され、あえてマスクは着用せず、ソーシャルディスタンスを取ることもありません。コロナ以前のような環境でダンスフロアでは抱き合って踊る人、フロアからそう遠くないソファでは、ドリンクを飲み楽しみます。
参加者は、到着時に唾液のサンプルを提出し、このサンプルは一週間後に提出する必要のある別のサンプルと比較されます。そして、ナイトクラブ内には3つの空気センサーが設置され、参加者のウィルスと空中のウィルスを照合し、クラブ内で人々が感染しているかどうかを検証します。
同時に実験はナイトクラブでの実験に参加したグループとともに、ナイトクラブには行かなかったグループにも協力を求め、2つのグループ間で感染した人々の症例数を比較することになっています。
この実験の主催者は、実験に臨むにあたり、「ワクチン接種を受けた人々の間では、ナイトクラブのような閉鎖され、過密な場所は危険因子はない」という仮説をたてています。
残念ながら、この結果が明らかになるのは年末ということですが、この実験の結果が良好で、ナイトクラブでの感染のリスクが高くない場合は、現在のナイトクラブ営業の制限の見直しが可能になります。
この実験を開催した研究者たちは、「この研究は政府と専門家に、最良の状態でのナイトクラブの長期的な営業を確実にするための科学的手段に基づいた具体的な要素を提供できるものになる」と保証しています。
しかしながら、現在のフランスの感染状況は、ナイトクラブはさておいても、これまで減少を続けてきた感染者数が僅かずつではありますが、上昇傾向に転じている状態で、どうにも楽観的には考えづらい状況にあります。
以前にナイトクラブの営業が許可されてまもない7月の段階でボルドーのナイトクラブでクラスターが発生したこともありました。あの時点から比べるとワクチン接種率は相当、上昇しているので、やはりワクチン接種がどの程度、このナイトクラブという閉鎖で密な空間においてもどの程度の効果があるものかということがこの実験により解明されます。
それでも、少しでも日常を取り戻すために、科学的な検証を続けることは、具体的かつ現実的な対策を取ることが可能になり、ひたすら制限ばかりの環境で我慢をするよりは、どちらの結果になったとしても、皆が納得できるものになると思われます。
しかし、この実験に参加したい人を抽選で選ばなければならないほど希望者がいるとは、そちらの方が私にとっては、驚きでもあったのです。
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