医療従事者のワクチン接種が正式に義務化された9月15日から約1ヶ月が経過しました。
7月からヘルスパスの起用が開始され、食事に行くにも、美術館や映画、コンサート、長距離の旅行などなど、フランスではヘルスパスがないと身動きが取れない状態になり、「義務化」という言葉は使わないものの、ワクチン接種はほぼ義務化されたようなものでしたが、医療従事者はきっぱりとワクチン接種は義務化という言葉を使って義務化されました。
この医療従事者のワクチン接種義務化はかなり厳しい措置を伴うもので、ワクチン接種をしないと給与が支払われない状態になるというもので、ここでは、解雇という言葉は使わないものの、ワクチン接種を拒否している医療従事者は停職処分となっています。
7月にこの法令が発表された時点では医療従事者の中でも介護の仕事に携わる人のワクチン接種率は60%程度でしたが、現在は、介護者も含めた医療従事者のワクチン接種率は99.4%にまで上昇しており、ワクチン接種をしていない者は医療従事者全体の0.6%だけとなりました。
頑なにワクチン接種を拒否して退職までに至った者は全体の0.1%程度でかなり例外的なケースのようです。
当初、この医療従事者のワクチン接種義務化=ワクチン接種をしていなければ仕事ができなくなる状況に反発して、多くの医療従事者が停職になったり、退職をしてしまい、医療体制に弊害が起こるのではないかとの懸念もされていましたが、これまでに病院ないし介護施設等が閉鎖されたり、業務が滞ってしまったケースはなく、結果的にここまでの数字まで上昇してきたので、今後、医療従事者のワクチン接種義務化について、これ以上は問題になることもないと思われます。
それでも、ワクチン接種をこの段階にまで至って未だに拒否し続けている0.6%の医療従事者は全体の割合としては、少ないものの、実際の人数に換算すると約15,000人ほどの人数でもあり、停職処分にまでなっても拒否し続ける人をどう説得するのでしょうか?
そして、彼らは拒否し続けて仕事もできずに、どうやって生きていくのでしょうか?
大勢に影響はないものの人道的にどうなのか? 当初は、実際に医療従事者とてワクチン接種を受けるかどうかの選択の権利はあるべきだ!などの声が大きく上がっていました。
しかし、個人の意思を尊重するべきだという声が猛然と上がり続けると思いきや、これらの依然としてワクチン接種を拒否している医療従事者がインタビューに答えていたりすると、かなり露骨に冷たい態度を示すフランス人が多いのにも、ちょっと意外な気がしたりもします。
この背景には、医療従事者にかかわらず、国民全体の85.5%までワクチン接種率が上がっている状況があり、「医療従事者はワクチン接種を受けるのは当たり前だ!」という認識につながっているようです。
時が経つにつれて、ワクチンに対する世論も変化してきていることを感じます。
今回、ワクチン接種拡大のためにフランス政府が取った政策は、ヘルスパス(ワクチン接種2回接種証明書、72時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)がないと多くの場所にアクセスできないという法令や、医療従事者のワクチン接種義務化=ワクチン接種をしなければ停職(給料が支払われない)という、かなりのインパクトのあるもので、日頃のフランスならば、もっともっと反発を生み、暴動でも起こりかねないほどの強硬手段でした。
しかし、パンデミック・数回にわたるロックダウンから、国民も、いつまでの感染の波とロックダウンを繰り返すことはできないという危機感から、どうにか事は政府の思いどおりになり、なんとか結果も伴ってきました。
フランス政府は、0.6%のワクチン未接種の医療従事者への説得とともに、医療従事者に対しては、早めにワクチン接種を開始し始めたこともあり、3回目のワクチン接種を推奨し始めました。
現在のところ、医療従事者への3回目のワクチン接種に関しては、義務化にするかどうかは決定されていません。
医療従事者ワクチン接種義務化
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