2021年10月18日月曜日

意外に注目されないフランスのマスタードの魅力

   

マイーユのラベルを彷彿とさせる黒を基調とした洒落た店構え


 我が家のフランス人の夫は、なぜかマヨネーズを目の敵のようにしています。まぁ、体型上、ダイエットの敵であることは、言うまでもありませんが、それにしても・・と思うほど、なぜか敵視しています。

 私自身はマヨネーズは大好きなのですが、フランスのマヨネーズは概して酸味が足りず、今ひとつこれ!というマヨネーズがなく、どうにか辿り着いたマヨネーズはマスタード風味のマヨネーズ(Mayonnaise à la moutarde)というものでした。

 体型を気にしてマヨネーズを使わないにしては、他の食べ物(チーズやバターなどなど)の食べ方を見ていると、非常に矛盾を感じるのですが、食事をする上であまり必要を感じていない上にそんなものでカロリーを摂取することが許せないのかも知れません。

 その代わりと言ってはなんですが、彼はマスタードを非常に良く使います。肉や魚にはもちろんのこと、茹で野菜などにも欠かすことはありません。

 そんな彼と暮らし始めた頃は、食卓には必ずマスタードが置かれ、何にでもマスタードをつけるのを見て、「この人、変わってるな〜」くらいに思っていたのですが、よくよくフランスでの生活に慣れていくと、ビストロやカフェなどの食事の際には、マスタードが登場することがとても多く、フランス人にとって、マスタードは日本のお醤油やお味噌などのような国民的な存在であることに気付かされました。

  

フランスのスーパーのマスタードコーナー

 そうしてマスタードを食する機会が増えてみると、マスタードというものは、なかなかに味わい深いもので、日本のからしとも違い、独特な風味と酸味があり、なるほど色々な食材に合わせることができる優れた調味料であるとも言えます。

 あらためて、スーパーマーケットなどでマスタードのコーナーを見ても、そこには、膨大な種類のマスタードがあり、また国民食でもあるだけあって、比較的、安価でもあります。

 フランス人のマスタードの年間消費量は一人当たり、年間1キロとも言われ、やはりその人気・・というより彼らの食生活に根付いている底力を窺い知る事ができます。

 また、フランス料理を作る時などにも、マスタードは重用され、簡単に済ませたければ、マスタードに生クリームを加えるだけで、簡単なフランス料理のソースらしくなります。

 個人的には、エシャロットのみじん切りをバターで炒め、マスタードと生クリームを混ぜてちょっとブランデーを垂らしたりしたマスタードソースが気に入っていますが、これを手間を省いて、一気に他の食材と合わせてしまいます。

       


 私が特に気に入っているのは、フライパンにバターを敷いて、フライパンの半分で帆立貝をソテーし、残りの半分でみじん切りにしたエシャロットを炒めて、マスタードと生クリームをエシャロットと合わせて、ひと煮立ちしたら、サッと帆立貝と合わせて、ブランデーを垂らして香りづけをするという簡単で美味しい一品です。

 これは、他の肉や魚などにも応用することができ、なんちゃってフランス料理には、やはりマスタードは欠かせない存在でもあります。また、シチューなどの煮込み料理にも隠し味にマスタードを少し加えます。

 またサラダのドレッシングを作るときにもマスタードは欠かせません。シンプルにオリーブオイルとマスタード、お酢を泡立て器で混ぜ、塩・胡椒で味を整え、我が家の場合はそれにちょっとガーリックパウダーやすりおろした玉ねぎを加えます。シンプルで簡単ですが、飽きの来ない安定の美味しさです。

 恐らく、日本で一番有名なフランスのマスタードはマイーユのものではないかと思われますが、このマイーユのマスタードでさえ、フランスのスーパーマーケットでは、シンプルなものなら、一瓶2ユーロ前後=200円程度で買うことができるので、日本へのお土産としても悪くないかも知れません。(日本では高いみたい・・)

 中でも私のお気に入りは、バルサミコ入りのマスタードですが、他にもトリュフ入りのものやハーブを使ったものやパルメザンを使ったもの、蜂蜜、胡椒など様々なフレーバーのものがあります。

  

その場でマスタードを瓶に詰めてくれます


 マイーユの専門店はパリのマドレーヌ広場の一角にありますが、ここではすでに瓶詰めされたたくさんの種類のマスタードの他、マヨネーズ、ドレッシング、ピクルスなども買うことができますが、せっかくマイーユのお店に行くなら、瓶を買って、その場でマスタードを瓶詰めにしてもらうこともできるので、他では手に入らないものなので、おススメです。

 こうして考えてみると、マスタードはいつの間にか我が家の食卓にもしっかり定着しているもので、年間1キロとまではいかないものの、かなりの量を消費していることは明らかです。

 日本には、他に美味しい調味料がたくさんあり、マスタードは、日本の食卓には登場しないかも知れませんが、ひとたびマスタードの魅力に気付いたら、なかなか奥深い調味料の一つでもあります。

 フランスにいらっしゃる機会があれば、お食事の際は、ぜひ、マスタードに注目してみれば、その魅力に取り憑かれるかもしれません。


<Maille Paris>  6 Place de la Madeleine 75008 Paris


フランスのマスタード


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