2021年10月31日日曜日

夏時刻・冬時刻はなぜ、なくならないのか?

  


 

 1970年代に起こったオイルショックから、主にエネルギー消費の節減のために導入されたサマータイムの制度はフランスでは1976年から採用されています。

 しかし、サマータイムの導入から時が経過し、実際のエネルギー消費の節約は、0.5%〜2.5%と、大した節約にはなっておらず、むしろ、健康や事故に対するリスクの方が高く、この年に2回の時刻の変更を失くすという方向で欧州連合では議論が進められ、毎年のように、「これが最後のサマータイム・・」などと言われ続け、本来ならば、欧州連合は2021年に夏時間と冬時間の終了を予定していました。

 2018年には、欧州連合はこの慣行を終わらせることに賛成し、各国は夏時間と冬時間のどちらかを選択する必要があり、翌年に行われた国会の協議により、フランス人は夏時間を選択しました。

 しかし、それ以来、時間の変更についての議論は滞ったままで、未だ夏時刻・冬時刻を1時間ずつ進めたり戻したりする奇妙な慣行は続いています。現在、公的には、パンデミックのせいということになっていますが、EU加盟国にとって、この夏時刻・冬時刻問題は、議論すべき優先事項にはなっていません。

 これは近隣する各国が冬時刻を選択するか、夏時刻を選択するかの相違により、輸送手段などにおける非互換性が生まれ、どちらがどの国に歩み寄るかで摩擦が生じることを恐れていることが原因の一つであると言われています。

 ヨーロッパは地続きのために、国境を越えて通勤している人も少なくはなく、例えば、夏時間を選択したフランスと冬時間を選択したドイツの間を通勤している人は1日2回時計を変更しなければならなくなります。

 ヨーロッパ内を移動する航空会社や鉄道などの輸送事業者が時間の変更に伴う新しいスケジュールを適応させて設定するのには少なくとも18ヶ月はかかると言われています。

 ということは、たとえ、それが今、正式に決定されたとしても1年半先のことになります。

 夏時間から冬時間になる時は、1時間余計に眠れる日ができるため、比較的、慣れやすい時間の変更ではありますが、日本との時差を考えた場合には、時差が7時間から8時間と長くなるために、日本との仕事はしにくくなることになります。

 欧州連合各国が夏時間・冬時間を自由に選択することなどせずに、単純にもともとあったサマータイムなしの時間に戻すということで統一すれば良いものを妙なところで、自由に選択できるなどという融通を効かせるために、この1年に2回の時間の変更はいつまでもなくならないのです。

 私は、この時間の変更が苦手で、たったの1時間の変更ながら、身体がそのリズムに慣れるまでに1週間近くかかります。

 この区切りをうっかり忘れていて、(日曜出勤をしたにもかかわらず・・、)(時間の変更は土曜日の夜から日曜日にかけて行われます)1時間早く出社してしまったこともありました。

 会社に着いた時点で何となくおかしいことに気付いてハッとして、近くのバス停で本を読みながら、1時間待ったという苦い経験があります。まあ、これは単なる自分の不注意であったのですが・・。

 時間の変化が健康と体調不良、そしてそれがもたらす交通事故などへの悪影響にもかかわらず、この主題はEUにとって優先事項ではありません。

 現在のフランスでは、この年2回の時間の変更が交通事故の増加や高齢者、子供の睡眠障害を引き起こし、この時間の変更から生じる時差ボケは、不安定な気分を引き起こし、人々の健康に重要な影響を及ぼしていることが問題視されており、特に冬時間への変更は、日照時間の減少と、気温が低下する時期に重なるため、健康管理はさらに複雑になり、ことにパンデミックを背景に、すでにうつ病や不安の症例が増加している現在では、問題は深刻です。

 欧州連合という連合ではありながら、違う国の集まる連合は、やはり一つの国でのような決定事項のように簡単には行かず、とりあえず、この時間変更の問題では連合できていないのです。

 1時間とはいえ、同じ国内で1年に2度の時差ボケを引き起こすこのサマータイムの制度、もういいかげんやめてくれないかな・・とず〜っと思っています。


サマータイム サマータイム廃止


<関連記事>

「サマータイムの終わり」

「新規感染者数5万人突破・2日で1万人増加 サマータイムも終わり 本格的な冬支度」

「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」



0 コメント: