フランスで感染が再び上昇し始めた地域 |
政府のスポークスマン・ガブリエル・アタルは、フランス国内のいくつかの地域で、再び感染が上昇し始めたことを発表しました。
これまで、ワクチン接種率の上昇とヘルスパスの起用により順調に減少してきたコロナウィルスの感染状況がペイ・ド・ラ・ロワール(Pays-de-la-Loire)とオード(Aude)の地域で感染状況が増加傾向に転じ始め、10万人あたりの感染症例50のしきい値を超え、警戒が必要な数字に達しています。
政府当局は、感染率がもはや減少しないどころか、増加し始めた、これらの地域の約30県は、危機に瀕しており、今後、より注意を払う必要があることを警告しています。
オード県での発生率はこの一週間で10万人あたり66件を記録し、大学(リムー)も閉鎖することを余儀なくされています。
また、ペイ・ド・ラ・ロワールでもいくつかの県で発生率が10万人あたり50件を超えています。(マイエンヌ55件、メーヌ・エ・ロワール51.2件)
保健当局は主に過去、数週間にわたるこれらの地域部門の感染状況の変化を注視しており、フランス全体としては、低下しているものの、これらの地域(オード県)では9月20日から10月3日までの間に発生率が6.97%増加し、カンタル(オーベルヌ・ローヌ・アルプ圏)では2週間で88%の発生率の増加を示しています。
政府は、現在の一部での地域の感染増加から、冬に向けて気温が低下することに牽引されて起こる可能性のある第5波の到来を懸念しています。
これらの地域で特に感染状況が増加に転じた原因は解明されていませんが、夏のバカンスが終わり、学校も再開され、47の地域では小学校でのマスク義務化も撤回され、ヘルスパスがあることで、日常を取り戻し始めた人々の気の緩みや気温の低下など、これらの地域だけでなく、感染が再び上昇傾向に転ずる危険性はどこの地域にでも潜んでいるということを思い起こさせてくれる事態が起こりました。
ウィルスが気温が低下するごとに活発になることは、これまでの状況からも既に明白な状況で、ワクチン接種は感染を完全に回避できるものでもない上に、ワクチン接種をしてから、半年ほどでワクチン接種の効果が低下し始めることがわかっています。
感染の上昇は、いったん上昇傾向に転じ始めれば、倍々で増加していくので、この気温が低下していく時期に、しかもワクチン接種をしているからといって、油断は大敵なのです。
この一部地域での感染悪化の状況が全国的に警鐘を鳴らす機会になってくれれば良いのですが、フランス全体としては感染状況を示す数字は現在のところは、減少しているために、警戒を強めるどころか、「ヘルスパスを廃止」の期待が大きいことは、憂慮すべき現実です。
一度、規制を緩めてしまえば、再び規制を厳しくすることは、よりショッキングなことであり、さらに反発が強まります。
2022年の夏までは、ヘルスパスを続行することを検討すると発表していたフランス政府ですが、それよりも具体的に11月15日まではヘルスパスによる規制は解除しない方向であることを確認しています。
10月15日からはPCR検査は有料化され、検査数が減少することは確実です。ワクチン接種に追い立てるために、検査を有料化する(もちろん経費削減もあるでしょうが)ことを決めた結果が検査をしないために、感染していることに気付かないまま、感染が増加する危険性も含んでいるのです。
そして、フランスでは、10月末からは万聖節(ハロウィン・フランスではトゥーサン)のバカンスに突入し、家族が集まり、お墓参りをする慣わしがあります。そして、トゥーサンが終われば、その次には、何よりフランス人にとって大変なイベントのノエルが待ち構えています。
これから気温の低下とともに、ワクチン接種の効果が薄れ始めた頃に次から次へと感染悪化を呼び起こしかねない行事が目白押しなのです。
すっかり開放モードのフランスが、この秋から冬にかけて、無事でいられる確証はまだまだないのです。
フランスの一部地域での感染悪化
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