2021年10月15日金曜日

フランスでは知らない人に話しかけられる確率が高い私

  


 フランス人、特にパリジャン・パリジェンヌはツンとしていて、お高くとまっているイメージがあるかもしれません。たしかにそういう感じの人もいるにはいますし、同じフランスの中のフランス人同士でも、パリジェンヌ・パリジャンは感じが悪いと評判が悪いのも事実です。

 しかし、実際に生活していると、そうでない人も多く、あくまで私は日本(東京)と比べてのことですが、パリでは、知らない人に話しかけられることが多いのです。

 最近は、Googleのおかげで随分と減りましたが、私は実によく道を聞かれることが多かったのですが、実のところは、私は、大変な方向音痴で、特別よく知っている場所は別として、方向感覚がなく、道を説明するということが大変苦手なのです。

 最初は、「外国人の私になぜ道を聞くかな?」などと思ったりもしたのですが、フランスには、そもそも移民も多く、外国人が普通に生活しているので、外国人だからといって、よそ者だというような感覚が彼らには、あまりないのです。(もっと、別の意味での区別はあるとは思いますが・・)

 道を尋ねられやすいタイプの人というのがあるそうですが、どうやら、私はその一人のようです。

 しかし、私は、日本ではあまり知らない人に話しかけられるということはないし、日本で道を聞かれたこともほとんどありません。

 道を聞かれるだけでなく、フランスでは知らない人によく話しかけられます。

 例えば、買い物をしていて、知らないおばさんから、「それ、どうやって食べるの? 美味しい?」とか、逆に聞いてもいないのに、「これいいわよ!」と言われたり、「これは気をつけなきゃダメよ!」とか言われたりします。

 この間もバターを見ていたら、「このバターとこっちのバターはどう違うの?」(フランス人が私にバターについて聞くか?と思ったけど・・)とか、すれ違った女性に、「そのスカーフ素敵ね!どこで買ったの?」とか、骨折して矯正用の靴を履いていた時も、「うわぁ〜私と一緒!どうしたの?」とか、先日もバス停でバスを待っていたら、青年から「バス・・もうすぐ来るはずなんですけどね・・この間もね・・」などと話しかけられて、ナンパでもなかろうに・・と思ったりもしました。

 薬局で顔見知りの店員さんと話していたら、別の見知らぬ人が会話に加わってきて、話に花が咲いたり、なかなか知らない人と話す機会は少なくありません。だからと言って、それはその場限りのことなのですが、とにかく、フランス人が話好きなことに間違いはありません。

 考えてみれば、バスに乗ったりする時も、運転手さんに「ボンジュール!」と挨拶している人も少なくないし、運転手さんの方から「ボンジュール!」と言われることもあります。知らないバスの運転手さんにも気軽に挨拶する、そんな文化なのです。

 うちの母は日本でも、わりと気軽に誰とでも話をする人で、私が若かった頃には、そんな母を「ママは全くおしゃべりなんだから・・」と、ちょっと恥ずかしいような気持ちでいたのですが、まさに、私は自ら望んでというわけでもないにもかかわらず、これではまるで母のようだと現在の自分に苦笑してしまいます。

 だからと言って、私が日本に行った時には、やはり、知らない人から話しかけられることはないので、やはり文化の違いなのか?とも思います。

 自分自身がフランス語や英語を話している時と、日本語を話している時は、無意識のうちに何か自分の中で違うスイッチが入る気がすることもあります。

 それでも、やはり、フランス人が知らない人にわりと気安く話しかけることは間違いないのですが、しかし、それも誰にでもというわけでもなさそうなのです。

 先日、家のプリンターのインクが切れて、娘がインクを買いに行った時、「じゃあ、ついでにこの空っぽになったインクのボックス捨ててきて!」と頼んだのです。空のインクのボックスはどこにでも捨てられるゴミではないので、売っている場所なら専用のゴミ箱があるためです。

 娘は、その空のインクのボックスを持ってゴミ箱を探してウロウロ・・ようやくゴミ箱を見つけて捨てに行ったら、近くにいた警備のおじさんが、「ゴミ箱、探しているみたいだったから、場所を教えてあげようかと思ったけど、怖くて話しかけられなかった・・」と。

 イカつい警備のおじさんに怖がられる娘には、ちょっとウケましたが、どうやら、だれも彼もが誰にでも気安く話しかけるわけでもなさそうです。

 イカつい警備のおじさんが意外とシャイだったのか?はたまた娘がよっぽど怖い顔して歩いていたのか? 

 黙って歩いているだけで、話好きなフランス人を怖がらせる娘と、やたらと知らない人から話しかけられる母親、妙な親子です。


フランス人は話好き

 

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