2020年7月31日金曜日

ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人




 心理学的には、あまりにも強い強制は、強い反発心を生みます。その反発心を露わにするのが、フランス人で、日頃からも、普通なら、なんのことはないことでも問題に発展させるところがあります。

 今回のコロナウィルスによる2ヶ月間のロックダウンは、まさに、フランス人にとっては、あまりにも強い強制でした。しかし、日本のようにロックダウンはせずに緊急事態宣言、外出は、控えて・・などということでは、国民は、全く従うことはなく、感染が減ることは、なかったのです。反発心を煽らないように感染症を封じ込めることは不可能だったのです。

 その強制に対する反発が、外に向けられない場合に家庭内で起こった場合は、悲惨な結果になります。外にも逃げられず、家の中では暴力では、ほんとうに地獄です。フランスでは、ロックダウン中のDV被害の相談電話に45000件もの訴えがあったそうです。これは、フランスのコロナウィルスによる死者数よりも遥かに多い数字です。現実には、電話などできない状態の人もいたでしょうから、実際の数字は、もっと多いのだと思います。

 日頃から、DVは、少なくない国ではありますが、ロックダウン中には、前月までの3倍以上に跳ね上がっています。そのうち、警察等が駆けつけて解決したのは、15610件の約3分の1のみで、他者が介入しにくい問題でもあります。

 フランスには、日本のような大地震もなく、大洪水などの自然災害もあまりなく、現在のようなコロナウィルスによるあまりに大きな緊急事態に慣れていないということもあります。パニックに弱いというか、辛抱ができないというか・・。

 フランスでは、災害は起こっても、大抵、テロとかデモとか、人が起こす人災です。

 以前、日本で東日本大震災が起きた時に、フランス人から、「日本人はスゴいわね、避難所でもみんなが譲り合って、大人しく列に並んで・・フランスだったら、殺し合いが起こるわよ・・」と言われたことがありました。本人たちもわかっているのです。あのような状況が起こったら、フランスだったら大変なことになるということが・・。

 その大変なことが今、起こっているのです。震災のように、目に見える災害ではなく、じわじわと長期間にわたる災害が・・。だから、表面的には、見えづらくても、目立たないところで、強制からのストレスに耐えきれずに発散している場面があちこちにあるのです。

 それがデモだったり、強制に反発して反対のことをする行動(マスクをせずに大勢で集まって騒いだり、踊ったり・・)だったり、バカンスだったり、DVだったりするのです。マスクをするように注意したバスの運転手が殺された事件も起こりました。

 フランス人は、日本人のことを、日本人は黙って我慢すると思っており、それを馬鹿にするようなところがありますが、現在のような災害時においては、日本人の我慢強さ、辛抱強さは、尊いと思うのです。

 そんな中、今週末は、40℃に迫る猛暑、しかも、その暑さの中、マスクの義務化。そして、南仏ビアリッツ近くのアングレにあるピニャーダの森で大火災が発生し、50ヘクタールの松林が焼失し、周囲100ヘクタールに広がり、火は住居にまで迫る勢いで、周辺住民が避難所での生活を強いられる事態に陥る災害が発生しました。

 コロナウィルスの感染に怯える中、この猛暑、そして火災による避難所生活、これによる感染拡大も心配されますが、同時にフランス人が、このストレスにどこまで耐えられるのかを心配しています。


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「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」



 









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