2020年7月8日水曜日

マスク着用を注意したバスの運転手が暴行を受けた末に脳死状態 フランスの治安 


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 フランスの南西部、ヌーベル・アキテーヌ圏のバイヨンヌで、日曜日の夕刻、乗客の乗車時にマスク着用の注意をしたところ、20代前半の男性の4人組にバスから引き摺り下ろされ、殴打され、重傷を負い、現在、脳死状態という悲惨な事件が起こりました。

 フランスでは、現在のところ、公共交通機関を利用する場合は、マスクの着用が義務付けられていますので、運転手は、当然の注意をしたまでのことです。こんなことってあるんでしょうか? 私は、この話を聞いて、震撼としました。

 この事件以来、バイヨンヌ、アングレ、ビアリッツ及びその周辺の都市に公共交通サービス会社Chronoplus(クロノプルス)の従業員、約300人は、この事件に対して怒りを露わにし、彼らの安全が確保されるまでは、仕事をすることができないと、ストライキ状態で、地域の交通サービスは、混乱状態を引き起こしています。

 彼らは、少なくとも葬儀が行われるまでは、仕事を放棄することを決定し、水曜日には、運転手の家族と同僚の主導で、デモが行われることになっています。
 また、デモです。

 事件が起こったバイヨンヌ地区は、取り立てて危険な地域ではありません。ですから、そのような場所で、こんな悲劇が起こることは、余計に恐怖を覚えます。私は、パリに住んでいるので、パリの様子しかわかりませんが、街中では、マスクをしている人は、本当に減りましたが、さすがに公共交通機関の中でマスクをしていない人は、今のところ、見かけたことはありません。

 どのような国や地域でも、一定の割合でどうしようもない人がいることは、事実ですが、コロナウィルスの感染が犯罪の引き金になってしまうような人災は、これからもしばらくは、続くと思っていた方がよいのかもしれません。それだけ、人の心も荒れている状態なのかもしれません。

 私自身は、これまで、フランスで命の危険を感じるような場面に遭遇したことはありませんが、それでも、知り合いのガイドさんが、日本人の観光客が泊まっているホテルに迎えに行った際に、お金目当ての強盗に襲われて、亡くなってしまったり、中国人の同僚が自宅の近くで携帯電話を強奪するために、いきなり見知らぬ人に殴られたりと身近なところでは、何度か恐ろしいことが起こっています。
 
 もともと、治安がいいとは、言えない国なのです。

 しかし、そのいずれも、これまでは、金品を奪うためのもので、マスクをしていないことを注意されて・・などということではありませんでした。

 コロナウィルスは、そのウィルスそのものによる犠牲者だけでなく、感染状態が引き起こす別の形の災害も起こっているのを見せつけられた気持ちです。

 そして、事件から一週間、運転手さんは、亡くなりました。コロナ渦の中も仕事を続け、コロナウィルスの感染からは、逃れられて元気に仕事をしていた人が、人間によって、殺された事実には、やるせない気持ちにさせられます。


<関連>「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

 


















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