2020年7月25日土曜日

コロナウィルスによる経済危機対応 フランスの若者への支援策




 コロナウィルスの感染が再拡大しつつあるフランスで、感染防止対策とともに、ここ数日、少しずつ経済支援策が発表されています。

 7月の初めに新内閣に変わってから、新首相ジャン・カステックス氏が、精力的に動いています。先日から、奨学金で通学している人に対しては、キャンティーン(学食)が1ユーロになるとか、18歳未満の未成年向けの Pass Imagine R(交通機関利用の際のパス・定期券)が9月から無料になるとか、若者に対する援助策が発表されています。

 中でも、「PLAN JEUNE」(ユースプラン)と銘打った政策は、若者の採用に対する援助を行うというかなり大掛かりなもので、2年間の長期計画で施行されます。

 ジャン・カステック首相は、「経済危機が激化した時に、最初に懸念するべきは、年少で最も脆弱な者であり、可能な限りの最善の準備をするべきだ」と述べており、25歳未満の若者を採用する際に(最低でも3ヶ月以上の契約)、政府が企業支援を行います。

 この若者採用支援金は、8月から来年の1月までの採用に対して、最大で1年間、四半期ごとに1000ユーロ、つまり、最大4000ユーロの支援金が支給されます。現在、そうでなくとも、多くの企業で、現在の従業員でさえも大幅な解雇措置が取られている中、新卒、あるいは、若者の採用を躊躇っている企業を後押しする政策です。

 この計画に当てられるのは、2年間で65億ユーロ。1月までに45万人の採用を促進し、2年間で70万人から80万人の若者が労働市場に参入することを目標としています。

 また、若者のためのワークスタディプログラム支援や高等教育で失敗した若者のために新しい資格取得のためのトレーニングコースが提供されます。

 これらの計画が、実際にどのように機能していくのかは、注目されるところですが、問題も多いフランスで、私が感心しているところは、国が子供の教育費を大きく負担してくれていることです。フランスは、私立でさえも、日本に比べると学費がかなり安く、本人が真剣に勉強をしようと思えば、かなりの高等教育でさえも、少額で受けることができます。

 フランスは、少子化対策に成功していることからもわかるように、子供の扶養に際して税金の軽減措置があり、特に3人以上は、その割合が上がるそうで、娘の友人にも3人兄弟の人が多いです。

 年長者を蔑ろにして良いというわけではありませんが、こうした政策がまず、子供、若者への対策から始まるというところは、私がフランスに対して持っている好印象の一つでもあります。

 実際に、今年の新卒の就職は、何も対策が行われなければ、真っ暗闇な状況。これが、どれくらい良い結果を生むかはわかりませんが、少なくとも政府がこうして、大金を投入して対応してくれるだけでも、希望が持てるではありませんか?

<関連>「フランスの雇用問題」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_6.html










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