2020年7月23日木曜日

親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由





 私は、人が生きていく上でのその人の軸となる部分を作るものは、家族、主に親子関係だと思っています。それは、経済的に恵まれているとか、いないとか、そういう問題ではなく、絶対的な信頼感とでもいうのでしょうか? 自分は確かに愛されているという感覚を子供が成長過程において、感じることができるかどうか? そのことが、子供にとって、その子がどんな道に進んだとしても、その人の軸となる部分を強く持ち続けることができるかどうかを大きく左右すると思っています。

 家柄とか、経済的にとか、そういうことではなく、家族の絆がしっかりある家庭で育った人は、強いです。そして、それは、何よりの財産です。

 自分の恥部を晒すようで、躊躇いもあるのですが、私は、それを持たずに育ちました。一見、何不自由ない暮らしをさせてもらってきました。しかし、私の育った家庭では、父は、わがままで気分屋で、身体的な暴力を振るわれたことはありませんでしたが、気に入らないと暴言を吐く、家族中が父の機嫌を常に伺う、ピリピリした家庭でした。母の愛情は、感じていましたが、父には逆らえない母にしっくりしないものもありました。

 時代もあったのでしょうが、母も父に刃向かうことはできず、ただ、その場を凌いで紛らわせることを積み重ねてきたのです。

 表向きは、ごくごく普通の家庭に見えるし、母はもちろんのこと、私も弟もそれを特に他の人に深刻に訴えることもせずにいたので、親戚でさえも我が家の実情は、よく知りません。ただ、私と弟は、何度も母に離婚を勧めました。しかし、世間体やそこまでの勇気が母にはなく、そのまま、なし崩しに暮らしてきました。

 弟が大学に入った頃に、とうとう弟は父と衝突し、ほとんど家に帰らなくなりました。当然、家の中の雰囲気は最悪です。私は、自分の気持ちが不安定なことを逆に追求したくて心理学の勉強をしてきました。

 母が小さい頃から英語を教えてくれていたこともありますし、好きになった相手がたまたまフランス人であったり、弟も海外に出て仕事をしたいという目的も確かにありましたが、私も弟も海外で生活しているのは、そんな家族から少しでも遠くに離れたい気持ちがどこかにあったことも否めません。

 私も弟も独立して、それぞれの家族を作って、たまに里帰りするくらいになって、どうにか、自分の育った家庭を外から眺められるようになりました。しかし、ピリピリした環境で育った私の自分自身の軸が弱いこともよくわかっています。

 私が、心理学に続いて、死生学を学んでいた過程でイギリスのホスピスで働いていた時、そこで出会ったたくさんの患者さんたちと話をして、まさに死にゆく瞬間に思う人生にとって大切なものとは、何なのか?・・私が感じたのは、家族でした。

 その後、私は、私自身の家族を作ろうと思い、実際に家族を持ち、子供も生まれました。私は、何よりも娘に対して、「何があってもママは自分を愛してくれている」と感じられるように接してきました。(だからと言って、娘が何をしてもいいというわけではありませんが・・)夫が娘に対して理不尽なことを言っても、決して黙って我慢することは、ありませんでした。とことん、話してきました。

 私は、そんなに口数が多い方ではありませんが、言うことはきっぱりと言います。これは、特に夫に対してだけというよりも、海外生活では、言うことは、はっきりと言わないと暮らしていけないということもありますが・・。

 私がこれまでで自分がすごく幸せだと感じた瞬間は、まだ娘が小さかった頃にお休みの日に朝、なかなか起きてこなかった夫を起こしに行って、3人でベッドでゴロゴロ戯れていた、なんのたわいもない時間でした。家族での心底リラックスした時間を感じた瞬間に私は、このまま死ねたらどんなに幸せだろうと思ったくらいです。

 海外での生活ということで、難しいことは、たくさんありましたし、特に娘は、自分が選択したわけでもないのに、フランスと日本と両方の国の間で生きることになったのです。そうでなくともアイデンティティーの所在が不確かになりかねません。

 それでも、結果、娘は、ちょっと鼻持ちならないほどの自己肯定感の強い、軸がしっかりした人になりました。それは、これから、彼女が生きていく上で、とても大切なことだと思っています。

 先日、三浦春馬さんという日本の俳優さんが自ら死を選んで亡くなったというニュースを見て、人の軸の強さと家族の関係について、少し考えたので、今日は、こんな話題になりました。

 人は、自らの意思で生まれてこられないように、自らの意思で命を断つことは、あってはなりません。少なくとも、娘は、彼女が自ら命を断つようなことがあったら、私が死ぬほど苦しい思いをすることを知っていてくれると思っています。


<関連>
「ハーフの娘の祖国 アイデンティティーの帰属」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_28.html

「ハーフだって楽じゃない・・・ハーフの子」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_4.html

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