大聖堂の中心から赤い火が登る光景には、誰もが、昨年に発生したパリのノートルダム寺院の火災を彷彿とさせるものを感じたことと思います。今回のナントの大聖堂の火災では、短時間での消火活動により、ノートルダム寺院ほどの被害には、至りませんでしたが、出火現場が3ヶ所に渡ることから、放火の疑いがあり、国家警察が捜査に加わることになりました。
大聖堂は、15世紀建立のナント市民にとっては、シンボル的な存在であり、また、教会でもあることから、心の拠り所でもあり、大きなショックを受けています。
この報道で、インタビューを受けている市民を見ていると、人の良さそうな、おっとりしている感じの人ばかり・・パリ・パリ近郊の人としか、接することのない私は、彼らの表情や話し方を見ていて、パリジャン・パリジェンヌが嫌われるわけだな・・と妙なことを考えていました。
ナントといえば、まだ、フランスに来たばかりの頃に、娘の国籍などの手続きがなかなか進まず、夫と娘と義理の兄夫婦とで、車でナントのお役所に出向いたことがあったことを思い出しました。外国で生まれたフランス人の国籍等の管轄は、なぜか、全てナント扱いとなっていて、一日がかりで、長い道のりを車で手続きに出かけたのでした。
結局、娘の出生証明書(アフリカ生まれなので、アフリカで発行してもらったもの)に不備があり、アフリカから、出生証明書を取り寄せ直して送るということで、方はついたのですが、せっかく来たのに、手続きがすぐに済まないことに、フランスのお役所仕事に慣れていなかった私は、大いにショックを受けたのでした。
長い道のりになるので、ランチ用にと大人4人分のサンドイッチを山ほど作って、出かけるときは、ピクニック気分で出かけたのに、結局、事がうまく運ばずに、海辺に出て、暗い気持ちでサンドイッチを食べ、義理の姉に、時間がかかるけど、大丈夫だから・・と慰められたことを思い出しました。
手続きにとても手間取ったこともあり、その上、どんよりとした天気で、なんだか、とても暗いイメージしか残っていないので、私にとっては、あまり良い印象がない場所で、ナントにこんな大聖堂があったことも全然、覚えていませんでした。
今から思えば、何かとスムーズには、運ばないフランスのお役所仕事、ましてや、アフリカからの案件など、すんなり事が運ぶ方が不思議なくらいなことは、充分にわかるのですが、その頃は、かなり絶望的な気持ちになったものでした。
せっかくナントまで行ったのに、観光も何もしなかったことを何も思わないほど、当時の私には、余裕がなかったのです。
今の私だったら、たとえ、手続きが進まなくとも、せっかく来たのだから、ちょっと街を見ていこうくらいの図々しさがあるのに・・と、火災前の大聖堂を見れなかったことを残念に思うのでした。
それにしても、最近のフランス、ノートルダムの火災や、ナント大聖堂の火災、規模は違いますが、先日は、オルリー空港でシャトルバスが炎上する火事が起こり、大騒動になりました。コロナ渦で警戒状態の中、火災までがあちこちで起こるって、何なんだ??
<関連>「フランス人の夫との離婚の危機」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_28.html
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