2020年11月14日土曜日

フランスの感染がおさまらないのは政府の責任というフランス人

  

街中ではけっこう行列も見かけます


 ロックダウンから2週間後のカステックス首相の現状報告によると、ロックダウンの効果は、恐らくロックダウンを開始した時の政府の予想に比べると、どうやら芳しくなかったようです。

 というのも、ロックダウン発表時には、2週間後の感染状況によっては、最初の2週間で開店できなかった店舗についても開店できるようにすると言っていたのが、結局のところ、2週間では、感染のスピードは若干下がったものの、劇的な変化は見られず、現状が維持されることになり、開店できる業種は拡大されなかったのです。

 恐らく政府は学校と企業と一部の商店を継続することで、ここまでの人が街に出ることを予想できていなかったと思います。

 今回のロックダウンの効果が劇的に表れないのも当然のことで、前回のロックダウンは、約2ヶ月間、学校も企業も全て閉めて、まさに街中がシンとした状態であったのに比べて、今回は、街中はほぼ普段と変わらないほどの人出。そんなに甘いわけはないのです。

 しかも、調査によるとフランス人の約60%が少なくとも1回はロックダウンに違反したことがあると回答。外出許可証に虚偽の理由を記載して、半数以上のフランス人が家族や友人とあったりしたことがあるというのです。

 たしかに外出許可証は、生活必需品の買い物に加えて、子供の送り迎えや介護が必要な家族のケア、ペットの散歩、健康維持のための1時間以内の散歩などの運動などかなり広範囲に渡っていて、ちょっと出かけるには、どれかにこじつければ、いつでも外出は可能で、実際に街中は、かなりの人で溢れています。

 私は、家の近所の様子しか直に見ることはできませんが、明らかに今回のロックダウンは、全く軽視されている印象ですが、驚くことにロックダウンが一番、守られているのは、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)なのだそうです。 

 違反というからには、単なる外出ではなく、理由をこじつけて、友人や家族に会う・・人と接するということなのでしょうが、これだけ人が出ていれば、取締りもできる状態ではありません。取締りがなければ、規則はないも同然のフランスです。私自身も今回は、買い物等で出かけても、一度も取締りをしている警官等を見かけたことはありません。

 そのくせ、フランス人は、フランスの感染拡大、ロックダウンの効果が表れてこないのは、政府のやり方が悪いせいで、自分たちの自由は奪われて、感染は一向に治らないと怒りの矛先を政府に向けます。やり方が悪いのは、たしかなのですが、(感染者の隔離がなされていないことなど・・)強いて言うのならば、意識の低い国民を甘く見ているという点が一番の政府の失敗なのではないかと思います。

 実際に、在仏日本人の日仏カップルの家庭などでは、フランス人パートナーが家族や友人との会食などの約束を勝手に入れてしまって・・とか、孫を預かることにしてしまったり・・という事態に困惑して、家族の安全をガードするのにかなり強固な態度を撮り続けなければならなかったりと、苦労しているケースが多いのです。

 甘い顔をすれば、すぐにでも人を家に呼んだり、呼ばれたりする結果に陥ってしまうのです。

 これからさらに2週間後、一応の期限の12月1日を迎えても、そうそう劇的に感染が治ることは考えづらく、それでも、感染状況が少しでも改善されれば、多くの経済危機を迎えている店舗等の現状を考慮して、現在、開店できていない店舗が開けられることでしょう。

 そして、さらに2週間が経てば、そろそろノエルのバカンスに突入です。いつもとは違うノエルになるだろうと言いつつも、ノエルに家族との接触を一切禁止するとも考えづらく、また、せいぜい人数を規制したりする程度で国民には節度を持ってほしいなどといいながら、ノエルを迎えることになるのではないかと睨んでいます。

 医療関係者は、現在の逼迫した病院の状況に苦しみながら、すでにノエル後に訪れるであろう第3波を懸念し始めています。

 こうして近い未来を予想してみると、やっぱりフランス政府のやり方がまずいかな?という気持ちも強くなってもくるのですが、日本がGO TOキャンペーンなどを行いつつも、感染がフランスのようには広がらないのを外から眺めるにつけ、日本で、あの状況を可能にしているのは、ひとえに国民の衛生観念や意識の高さによるものだと思うと、基本はやはりそこなんだな・・と思うのです。

 自分たちは、ロックダウンを守らなくても、うまくいかないのは、政府のせいと責任転嫁しておいて、どうにもならないと政府になんとかしろ!と騒ぐ・・それがフランスなのです。


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「権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人」

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