2020年11月17日火曜日

認可間近?の新型コロナウィルス対応のワクチンとフランスの現実



 ここ数日、フランスでは、新型コロナウィルス対応のワクチンの話題で持ち切りです。

 先週には、米ファイザー社(Pfizer)と独ビオンテック社(BioNTech)の研究所が、新型コロナウィルスに対するワクチンが90%有効であること、ロシアのスプートニクVワクチンは92%の効果があると発表し、ワクチン問題がヒートアップしてきたところに、昨日は、米モデルナ社(Moderna)が同社の開発中のワクチンが94.5%有効であると発表。

 モデルナ社のCEOは、「米国では、数週間以内に、「緊急使用許可」と呼ばれる承認を加速するためのファイルを提出、これにより、2020年、年内に製品の承認を得ることができます。すでに、欧州医薬品庁(EMA)との話し合いを開始しています。「数週間」以内に米国とヨーロッパで承認書類を提出します。」と発表しました。

(EMAは、欧州の医療製品市場への参入を承認するかどうかを決定する組織です。)

 このモデルナ社の発表により、フランスでもさらに、ワクチンの話題が沸騰しています。

 折りしも、ここ数日、フランスでは、ロックダウンの効果がようやく表れ始め、依然として、病院のICUの病床等は埋まり続けているものの、新規感染者が減少し始めたこともあり、徐々に明るい兆しが見え始めたことに、希望の光を見つけて、まだどうなるかもわからないワクチンの輸送方法(マイナス20℃での保管が必要なため、巨大な冷凍庫とともに輸入しなければならないとか・・)やワクチンを義務化するかどうか? ワクチンは、国民健康保険が負担するかどうか? などと言うことを盛んに話しています。

 世界中が苦しんでいるコロナウィルスのワクチンともなれば、巨大マーケット、各国、各社がフライング気味に次々と新しい前倒しの発表をするのもわからないではありませんし、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはありません。

 しかし、このワクチンが、もしも年内に認証されたとしても、今は、すでに11月半ば、年内には、一大イベントのノエルが控えており、ワクチン以前にフランスには、このノエルをどう乗り越えるかということが、目の前の最大の課題なのです。

 私は、ワクチンの接種が年内に認可され、遠くない将来に可能になるということは、あまり現実的ではないと思っています。たとえ、ワクチンの有効性が94.5%であったとしても、ワクチンというのは、あくまで、予防接種であり、治療薬ではないのです。ある程度、感染がおさまった状態でなければ、難しいのではないかと思っています。

 副作用に関しては、あまり大きくは騒いでいませんが、モデルナ社は、同時にワクチン接種を受けた人の約9〜10%が、2回目の投与後に、注射部位周辺の疲労、痛み、発赤などの副作用があることも発表しています。さらに広い範囲で使用された場合に、より深刻な副作用が出てくることも充分に考えられます。

 現在のところ、フランスは、コロナウィルスの患者だけでも、病院は、いっぱいいっぱいの状態で、ワクチンが登場したとて、予防接種ができるような状況ではないのです。

 現実的には、フランスは、ノエルを始めとした年末年始を国民の反発とともにどう乗り切るのか? そちらの方が現実的な問題です。

 下手をするとおさまり始めた感染がノエル+年末の年越しで再び爆発し、年明けには、ワクチンどころではなく、また、感染者数も増加し、患者の対応に追われる危険性が非常に高いと思っています。

 政府は、レストラン・カフェなどの飲食業に関しては、少なくとも来年の1月半ばまでは営業は無理であろうことを発表しています。

 もしも、感染がおさまってくるとしたら、それは再び、気候も良くなり、気温の上昇によるウィルスそのものの活性化のおさまり始める春頃、そのタイミングでワクチンが使えるようになっていれば・・来年いっぱいには、なんとか感染もおさまり始めるのではないか・・と思っています。

 道のりはまだまだ長い・・。


<関連>

「コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/1500.html



 

 

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