ここ数日、フランスは、国内でもデモなどが起こり、コロナウィルスの新規感染者数も6万人を突破し、感染状態も一段と悪化し、深刻化しているというのに、ニュースはどこもアメリカの大統領選挙が大きく占め、テレビ局は、各局のメインジャーナリストをアメリカに送り、生のアメリカの大統領選挙の動向を逐一、報道していました。
もともと政治の話題が大好きなフランス人、報道が過熱するのもわからないでもありません。それにしても、前回のアメリカの大統領選挙の際は、あまり記憶にないのですが、ここまで熱くなっていただろうか?と思います。
昨日の夕方(フランス時間18時頃)に、ABC, CBS, NBC, CNN などのアメリカの主要メディアからバイデン氏当確のニュースが流れるとまもなく、フランスのSNS、ツイッターのトレンドは一気にトップにバイデンが躍り上がり、バイデン氏当選の喜びの声で溢れました。
正直、これだけバイデン氏がフランスで好意的に受け入れられていることに、少し驚きましたが、よくよく思いなおしてみれば、思いあたることもあります。
すぐに、マクロン大統領もアメリカの新大統領ジョー・バイデン氏と副大統領候補であるカマラ・ハリス氏に向けて「アメリカの新しい大統領が決まりました。おめでとうございます。今、我々には山ほどの課題がある。一緒に頑張りましょう!」とお祝いのコメントを発表しています。
フランスの大統領がこれだけのスピードでアメリカの大統領当選のお祝いのコメントを発表するのは、異例のことのようです。
テレビ各局もアメリカの選挙結果を喜ばしいこととして、報道しています。
だからといって、フランスは特にバイデン氏が取り立てて素晴らしいと言っているわけではなく、トランプ氏じゃなくて良かった・・正直、そんな感じです。
そして、マクロン大統領がお祝いのコメントをバイデン氏だけではなく、カマラ・ハリス氏との連盟にしていることからも、アメリカでの女性初の副大統領の誕生を大いに祝福していることがわかります。
マクロン大統領は、フランスの組閣に際しても女性を積極的に登用しており、現在のフランスの閣僚は、首相と担当大臣、閣外相を含む32人全体を見ると、女性が17人、男性15人と女性優勢の体制を敷いてきていることから、バイデン氏の大統領就任以上にカマラ・ハリス氏の副大統領就任を好意的に捉えているようにも取れます。
トランプ大統領については、特に、このコロナ禍に突入してからの彼の様々な仰天させられる言動には、もはや、マクロン大統領も正面きって相手にすることもなく、どこか少し斜め上くらいのところから、別の立場をとってきたような気がします。
コロナウィルスが拡散されたとされている中国の研究所(フランスが多額出資している)に関する中国の発表に際して、「中国のいうことをまともに信じてはいけない」と述べ、それに乗じてトランプ大統領が中国に対して攻撃的な言動を始めた際も、それには触れることはせずに、中国とも、アメリカともまともに相手にはしない・・あくまでフランスとしての対応を続けてきたのです。
コロナウィルスの治療薬として、クロロキンが注目され、トランプ大統領が感染してもいないのにクロロキンを服用し始めたときは、もうフランスのメディアはどこも失笑・・その様子を報道はしていましたが、どの局でも、鼻先で笑うような感じが隠し切れませんでした。
あのクロロキン服用で、フランスでは、トランプ大統領のおバカぶりが特に印象付けられたような気がします。
それが、今回のバイデン氏の当確のニュースにマクロン大統領は、「一緒に頑張っていきましょう!」とコメントを発表したのです。彼がこれまで、まともに話ができないトランプ大統領にどれだけ辟易していたのかが、このコメントでわかります。
もともと、フランスはアメリカを毛嫌いし、どこか小バカにするような人(特に年配の人に多い)も少なくない国、ヨーロッパをどこか上に見てヨーロッパの連帯を尊ぶ人が多い中、それでも大きな力を持つアメリカは、常に気になる存在です。
これで、アメリカの大統領も決まって、しばらくは、フランスは自国の悲惨な状況への対応に集中してほしいと私は切に思うのです。
<関連>
「マクロン大統領が警告 「コロナウィルスの中国の発表をバカ正直に信じてはいけない!」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_18.html
「アメリカのものが嫌いなフランス人の夫」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_16.html
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