「判断するのは、時期尚早だ・・」コロナウィルスの感染拡大が始まって以来、やたらと耳にするフレーズです。そして、今、また同じことを言っています。この大変な局面で、様々な制限等の措置は慎重にしなければならないのはわかりますが、数日の判断の遅れがさらに感染拡大に拍車をかけてきています。
私は、今回のロックダウンのタイミングもいささか遅かったと思っています。しかも、甘い。
フランスは、10月末に2度目のロックダウンに入って以来、ロックダウンの効果は一向に見えず、新規感染者数は増加するばかり、先週金曜日には、60,486人、土曜日には86,852人(前日からのバグにより正確な数字ではないとされている)と日々、新記録を更新しています。
(コロナウィルスによる)入院患者も30,217人にまで達し、第1波の際、4月14日に記録した最高記録 32,292人に迫る勢い、また、死亡者も40,000人(40,439人)を突破しています。
集中治療室の患者も 4,527人とフランスのICU病床の占拠率は91%にも達しています。
特に今回の第2波で、最も感染状態が深刻なオーベルニュ・ローヌ・アルプの地域では、病床の占拠率が144%と、すでに医療崩壊を起こし、次々と患者の他地域への移送が行われており、来週には、200人ほどの患者の移送が必要になると見られています。
このような状況の中、すでに集中治療室に入れる患者の選別も始まっています。第1波の際に医師たちが悲痛な面持ちで語っていた命の選別が再び行われ始めているのです。人出が足りずに急遽、駆り出された医学生などは、初めての現場でいきなりこの命の選択の場面に立ち会うことになり、トラウマとなってPTSDを引き起こしてしまった学生も少なくありません。
フランスの集中治療室の数は5,000床、比較するのもおこがましいですが、ドイツはフランスの5倍の25,000床、フランスの医療体制の貧弱さが再び浮き彫りになっています。
そもそも第2波は第1波よりも深刻な状況になると言われているのに、ロックダウンは第1波に比べてゆるゆるの状況。
前回のロックダウンでは、学校も企業もすべて閉めて、街の中には誰もいない状況で、しかも、気候も春に向かう気温が上昇し始めるタイミングで、どうにか感染がおさまり始めるまでに2ヶ月近くかかったのに、今はともすると、これロックダウンなの?と疑問に思うような街中の様子で、しかもこれからさらに気温も下がり始めるこの時期に、そうそう簡単に感染がおさまるわけはないのです。
そのゆるゆるなロックダウンでさえ、皆、慣れてきていることもあり、日曜日の午後など、外出許可証を持っていればいいだろうと言わんばかりに、家族で散歩に出かける様子などは、日常と大して変わらない風景です。
学校の授業は継続され続けていますが、さすがに学校での感染も増加しています。うちの子供のクラスの子が感染して・・なんていう話を頻繁に耳にします。
政府がノエルのバカンスまでなんとか継続したい方針なのはわかりいますが、あと一カ月半近くもある学校、このままにしてよいのかどうか・・第一波の際は学校もすべてリモートワークをしていたのですから、不可能ではないはずなのです。
緩めのロックダウンで、前回よりも長期間にわたるロックダウンを続けるつもりなのでしょうか?
ノエルを控えていることもあり、とりあえず、約1ヶ月の予定のロックダウンと発表されましたが、これが12月のはじめにロックダウンが解除されることは恐らく無理だろうということは、みんな薄々わかりはじめています。
私は、現在のロックダウンの形態を続けるならば、ロックダウンを解除できる日はまだまだ遠いと思っています。ロックダウンの解除どころか、さらに強い制限が必要になってくるような気がします。
今回のロックダウンの際にマクロン大統領は、目標とする目安は一日の新規感染者数を5,000人程度に抑えたいと言っていました。5,000という数字は、一日5万人、6万人という今の現状からは、想像もつかない遥か遠い道のりです。
ひたすら、検査数を拡大させると言っていますが、検査を拡大させるだけで、ゆるゆると現在のロックダウンを続けるだけでは芳しい効果は期待はできず、検査の結果、陽性になった人を完全にロックダウンする方法を探すことが、フランスには何よりも必要なことだと思っています。
とはいえ、バカンスに次いで、ノエルノエルと騒ぐフランス国民を前にして、政府が毅然としてロックダウンの延長を宣言できるかどうか? また、ノエルにさしかかるロックダウンの延長を国民がおとなしく受け入れるかどうか?
心配は尽きないのです。
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「フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで」
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