2020年11月11日水曜日

プランタングループ・フランス国内7店舗閉鎖


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 10日、プランタン(Printemps)がグループの7店舗の閉鎖を発表したのは、はなかなかの衝撃的なニュースでした。

 3月のロックダウンに続いて、今回、10月末からの再度のロックダウンにより、多くの営業を許可されない小売店からは、悲鳴があがっており、衛生基準を十分に尊重して営業できるのになぜ? メトロなどの交通機関の利用が許されているのに・・、学校は継続しているのに・・と大きな不満の声があがっています。

 特に今回のロックダウンは、ノエル前の書き入れ時、多くの店舗は、例年、一年のうちで、わずかこの約一ヵ月間の間にかなりの割合の売り上げをあげる期間であるだけに、今回のロックダウンの営業停止は、前回のロックダウン以上に被害は甚大です。

 それが、小さな店舗だけではなく、まさかのプランタンまでがこれほどまでに逼迫した状態であることは、いかに今回のロックダウンによる経済危機が大きいものであるかを物語る衝撃的、象徴的な出来事のような気がします。

 1865年に設立されたプランタングループは、フランス国内に19のデパートと8か所のシタディウムストアを所有しており、約3,000人の従業員を擁しています。

 今回は、そのうちのパリ、ル・アーブル、ストラスブール、メスの4店舗とパリとトゥーロンの3店舗のシタディウムストアが閉鎖となり、(組合筋によると、関係するパリの店舗は、Italie 2ショッピングセンターにある店舗と、Champs-ElyséesとPlace de la Nationのシタディアム)2021年7月までに450人の雇用を削減する計画。これは、従業員の10%以上に相当します。

 プランタンは、一昨年前からのテロ、黄色いベスト運動のデモ、ストライキなどの大きな社会的な危機からすでに煽りを受け続けており、それに加えて、極めつけの今年のコロナウィルスによるパンデミック。

 しかも、ファッション業界では春夏ものが発表される3月からのロックダウン、たくさんの新作の商品が売れ残る中、また、夏のソルド(バーゲン)までもが、バーゲン期間が例年は6月の最終週から4週間のところを7月15日から4週間に延期され、バーゲンが始まったころには、多くの人がバカンスに出てしまっているという憂き目にあいました。

 そして、現在、一年のうちの最も売り上げのあがる時期のロックダウン、一年を振り返ってみても、そのうちのほとんどが開店休業状態。しかも、プランタンともなれば、通常は、その多くの顧客は海外からの観光客。

 現在のフランスに海外からの観光客などほとんどいません。

 その観光客でさえ、ここ数年は、デパートは、まるで博物館を見学するような買い物しない顧客が増え、日本からの観光客でも、プランタンは、ちょっとのぞいてみたいところではあっても、買い物をしたいなどという話はあまり聞かなくなっていました。

 前回のロックダウンの煽りを受けて、老舗食料品店フォションが倒産した時も、あんな老舗でも倒産するのだ・・と驚きを隠せませんでしたが、よくよく考えてみれば、フォションにしても、ここのところの顧客の購買傾向からも経営危機に陥っていたであろうことは、素人の私でさえも、想像がついたことでした。

 この経済危機の中、小さな商店はもっと大変なのかもしれませんが、老舗だからこそ難しいこと、大所帯だからこそ厳しいことも多いのかもしれません。

 今回のプランタンは、倒産ではなく、フランス国内27店舗のうちの7店舗の閉鎖です。経営陣は、「損失を食い止め、市場の動向に適応し、その長期的な持続可能性を確保するために、モデルを変革する義務がある」と述べています。

 特に、顧客基盤を再構築することを目指しており、「今後2〜3年で毎年4000万ユーロの投資を計画している」と発表していますが、大企業とはいえ、また450人の従業員削減となれば、黙っていないのがフランスの労働組合です。

 先日の業績悪化のために、ブリヂストンのフランス国内の工場を閉鎖し、従業員800名ほどを削減することを発表した際の労働組合の大きな抵抗に加えて、政府の大反対にあって、工場の閉鎖がペンディングとなっていることからも、この店舗の閉鎖についても、話が落ち着くまでは、相当な時間を要することになりそうです。

 しかし、コロナウィルスの煽りとはいえ、ショッピングはどんどんネットに移行しています。買い物をしたい人がいなくなったのではなく、買い物の仕方が変わってきているのです。ロックダウンは、さらなる追い打ち、決定打となりましたが、多くの市場がその形態を変えていかなければならない時でもあるのです。

 フランスは、老舗の格調を保ち、維持していくことは、ある程度、国そのもののあり方と似ているようなところがあり、また、老舗がしっくりとくるエレガントさを持っています。

 老舗のプライドと格調を失わずにどのようにプランタンが立ち直り、復興していくのかを私は楽しみに見守りたいと思っています。

 

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/blog-post_17.html


「フランス・夏のソルド(バーゲン)は、コロナウィルスの影響で7月15日に延期」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_23.html

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