2020年11月16日月曜日

スーパーマーケットの日用必需品以外のコーナー閉鎖による部分的な失業手当申請の悪循環

 

日用必需品以外のコーナーがシートで覆われているスーパーマーケットの店内


 今回のフランスのロックダウンでは、前回のロックダウンのように全面的なロックダウンではなく、生活必需品以外の一部店舗、電化製品、通信機器、メガネ屋、ガーデンセンター、DIYショップ(日曜大工用品)などが営業を認められています。

 前回のロックダウンのように、薬局か、スーパーマーケットしか開いていない状態とは違って、営業許可と営業禁止の境界線の意味の理解が難しいこともあり、不公平感が高まり、結果として、不公平感を是正するために、政府は、大型スーパーやFnacなどの総合小売店(フランスの書籍、情報機器、電化製品等を扱う店舗)に対して、閉店を余儀なくされている店舗が扱っている商品(書籍やおもちゃ、洋服など)のコーナーを閉鎖させるという奇妙な政策を取りました。

 スーパーマーケットなどは、ついでに色々な買い物ができるところが利点なのですが、その一部を閉鎖しなかったたからといって、新しい人の流れを作るわけでもなく、感染対策には大した変化はなく、不公平感を是正するためだけの一部コーナーの閉鎖は、単に売り上げが減少するだけで、あまり実質的な賢明な対策とは思えません。

 その上、大手スーパーマーケット、カーフール、オーシャン、カジノなどは、この日用必需品以外のコーナーの閉鎖による売り上げ減少のために、部分的失業手当(活動の減少により、出勤時間を減らしたりして、減らされた分を国が補償するというシステム)を申請し、この措置が開始されています。

 カーフールグループだけでも9万人がこれに該当しています。当然、政府の負担も相当な金額です。

 前回のロックダウンでは、スーパーマーケットの一部を閉鎖するなどという面倒なことはしていなかったのに、今回のロックダウンでは、わざわざオープンしている店舗の一部を閉鎖させて、当然、売り上げが上がるはずの部分を不自然にストップさせ、しかも、さらにその分の補填を政府がするという悪循環。

 だいたいスーパーマーケットは、前回のロックダウンで逆に売り上げは増加したはず、今回のロックダウンのための今のところ一ヶ月の売り上げ減少などは充分に相殺されるはず、しかし、当事者にとっては、「それはそれ、これはこれ、今回のロックダウンでは、お前らがコーナーを閉めろと言って、閉めたおかげで売り上げが下がったのだから、その分は補填しろ!」という理屈です。

 どんな状況でも、自分たちが受けられるべき権利はとことん主張するのがフランスです。そしてまた、それが通ってしまうのです。

 それならば、どうせ、食料品等の日用必需品のために開店するべき店ならば、一部のコーナーを閉めるなどということはせずに開放すれば、部分的失業手当の補償などする必要もなく、その分を開店できない小規模の店舗に上乗せする方がどれだけ実質的かわかりません。

 不公平を唱える店舗とて、スーパーマーケットの一部コーナーが閉鎖されて、同種の商品が他店でも売れなくなることだけで納得できる問題でもないのです。

 それでもノエル前のこの時期、実際に消費が低迷するわけでもなく、店舗で買えない商品は、その分、アマゾンなどのネットショッピングに移行してしまうだけなのです。

 不公平感是正のためにとった、店舗内の一部コーナーの閉鎖が、不必要な税金の消費、理不尽なお金の流れを生んでいます。

 なんだかおかしな悪循環の連鎖がどんどん広がっていきます。


<関連>

「フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_31.html

「権利を主張する割には義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html

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